ヘッドライン

ココア「シャロちゃんごめん。ここのお会計任せちゃってもいい?」

1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:15:12.23 ID:/erZYPPV0.net
レストランで食事を終えると、ココアが突然そう切り出した。

「え……」

シャロは絶句した。
財布には、今月の生活費のすべてが入ってはいるが……。

「ほんとにごめんね! 今、私持ち合わせが無くて……」

ココアが申し訳なさそうな表情を作って、
顔の前で両手を合わせている。

「今度返すから。ねっ?」

2 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:15:55.61 ID:bxagbS//0.net
やめろ

5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:17:52.67 ID:/erZYPPV0.net
「高かったけど、おいしかったねー」

帰り道、ココアが笑顔で言う。
確かに高かったな。シャロは思った。
普段している食事の、軽く10倍以上の値段だった。

「でも、やっぱりシャロちゃんってお金持ちなんだね。
 いつもお財布にあんなたくさんお金入れてるの?」

「う、うん……」

ココアの質問に、シャロは曖昧に返す。
食事の支払いで、今月の生活費がほぼ無くなってしまった。
給料日までの2週間。どうやって生活しよう。
ココアの話も上の空で、シャロはそればかりを考えていた。

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:21:00.15 ID:/erZYPPV0.net
「やっぱり無理だよね……」

家の中の食材をすべてかき集めたシャロは、
それらを前にしてため息交じりに呟いた。
小麦粉とパスタと調味料が数種類、
あとは今朝食べた残りのベーコンが少しある程度だった。

「2週間は長いなぁ」

どう節約して食べても、1週間の食事にも満たない量だ。
シャロは再び、ため息をついた。

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:21:03.62 ID:qaY3OHwg0.net
割り勘でも残り1週間の食費なくなってますやん

12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:24:20.88 ID:/erZYPPV0.net
「とりあえず、明日はココアの働くラビットハウスに行ってみよう」

ココアは『今度返すから』と言っていた。
もしかしたら、今日はたまたま持っていなかっただけで、
家に帰ればあるのかも知れない。

「きっとそうだよね。あんまり深く考えないようにしないと」

先のことが不安で、シャロは胸を押し付けられるような、
嫌な息苦しさ、圧迫感を覚えていた。

「今日はもう寝よっと」

呟くように言うと、シャロは布団に潜り込んだ。

15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:27:27.07 ID:/erZYPPV0.net
「いらっしゃ……。あ、シャロさん」

「こんにちは。チノちゃん」

翌日。ラビットハウスに出向いたシャロを、チノが出迎えた。

「ココア、いる?」

単刀直入に訪ねた。

「ココアさんなら、2週間の長期休暇を取って実家に帰りましたよ」

え……?
シャロは、チノの発した言葉の意味がよく分からなくて、
しばし呆然とその場に立ち尽くしていた。

22 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:30:50.01 ID:/erZYPPV0.net
「すいません。ココアさんに何か御用が」

言いかけたチノが、少し考え込むような素振りを見せた。

「そういえば、伝言を預かっていたんでした。
 お金の件ですよね?」

「そ、そうよ!」

シャロが激しく反応した。
ココアはチノにお金を返すようにと、
言付けでもしておいてくれたのだろうか。
助かった。シャロは胸を撫で下ろした。

「ココアさんはお母さんにお小遣いをもらってくるそうですよ。
 それで返すからごめんね、ってシャロさんに伝えるように言っていました」

24 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:33:57.73 ID:/erZYPPV0.net
「はぁ……」

出てくるのはため息ばかりだった。
これから、どうやって生活していこう。
シャロは考えながら夜の街を歩いていた。

人に頼るのは簡単だ。
それこそ千夜やリゼに正直に話せば、
2週間程度なら食事の世話くらいしてくれるだろう。
しかし、それはシャロのプライドが許さなかった。
今まで全部一人でやってきたんだから。
今回もきっとなんとかできるよ。

「はぁ……」

ため息を繰り返し吐きながら、シャロはあてもなく夜の街を歩く。

28 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:37:17.67 ID:/erZYPPV0.net
「お嬢ちゃん、ひとり?」

突然声をかけられた。
気が付くと、俯いて地面ばかり見ていたようだ。
シャロはふと立ち止まり、顔を上げた。

「おじさんといっしょに遊ばない?」

脂ぎった顔に禿げ上がった頭。
全体的に丸い体型で、おなかだけが異様にぽっこりと膨らんでいる。
狸みたいな見た目の男が、シャロの目の前に立っていた。

29 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:38:11.66 ID:BLvKJwxX0.net
あ、あかん…
ワイのシャロちゃんの純潔が…

32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:39:22.44 ID:dpIWLRF40.net
やばい

34 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:40:23.54 ID:/erZYPPV0.net
「すいません。急いでいるので」

また視線を下げると、シャロは足早に立ち去ろうとした。

「お小遣い。あげるけど」

その背中に声が飛んできた。
シャロは立ち止ると、弾かれたように振り返る。

「一晩相手してくれたら、これだけ払うよ」

脂ぎった顔の横で三本指を立てた男は、
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべてそう言った。

36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:41:32.78 ID:xbc2xQZs0.net
300円かぁ

44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:45:35.88 ID:/erZYPPV0.net
ホテルに入ると、シャロはまずシャワーを浴びた。

「どういうことか、分かっているよね?」

男の問いに、体にバスタオルを巻いただけの格好のシャロは黙って頷いた。
3万円。それが自分の体の価値だ。
ベッドに寝かされると男が覆いかぶさってくる。
鼻腔をくすぐるのは、汗臭さなんかでは無く、中年男性特有の嫌な臭い。

「じゃあ、たっぷりサービスしてもらおうかな」

男のいやらしい声が耳元で響く。
シャロはベッドに横になったまま顔を背けると、きつく目を閉じた。

50 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:48:58.65 ID:/erZYPPV0.net
数時間にわたり凌辱の限りを繰り返し、
シャロの体をその歪んだ欲望のはけ口にした男は、
タバコをふかしながら悪態をついていた。

「女ってのは楽でいいよなぁ。
 股を開けば簡単に金が稼げるんだからさぁ」

バスタオル一枚を体に巻き付けただけのシャロは、
ベッドのふちに腰掛けて、男の言葉にただ黙って耳を傾けている。

「どうせバイトとかもしたことないんだろ?
 ちゃんと汗水たらして働くってことをさぁ、覚えた方がいいよ」

シャロは膝の上で握った小さな拳を震わせて、
必死に屈辱に耐えていた。

56 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:52:19.95 ID:/erZYPPV0.net
「だから最近の若いやつはダメなんだよ。
 年長者のありがたい言葉もろくに聞きやしねぇ」

黙って俯いているだけのシャロに飽きてしまったのか、
男は吐き捨てるように言うと立ち上がり、服を着た。

「あの、お金」

シャロは憔悴しきった顔を上げると、ようやくそれだけ言った。

「ああ」男はつまらなさそうな顔を向ける。
「ほらよ」

そうしてシャロに向かって紙幣を3枚投げた。

59 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:55:36.61 ID:/erZYPPV0.net
シャロは床に這いつくばって金を拾い集めた。

「おー、おー。惨めだねぇ」

上から嫌な含みを持たせた声が降ってくる。

「これ」呟くように言ったシャロの言葉は、かすかに震えていた。
「三千円しかないじゃないですか……」

驚愕の表情を男に向けた。

「あー? 三千円じゃ少ないってか。
 じゃあお前、ちょっとこっち来いよ」

這いつくばったままのシャロの首を、
男が腕でがっちりと抱えた。

66 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 22:59:02.38 ID:/erZYPPV0.net
「いっ! 痛いっ!」

男に首を抱えられたまま、
引きずられるようにしてシャロは、
室内にある大きな鏡の前に連れていかれた。

「おら。見てみろよ」

「ひっ」

そしてバスタオルを引きはがされた。
シャロは体を丸めると、慌てて手で前を隠す。

「おいおい」男は呆れたように言った。
「さっきまで俺の下で散々よがってたくせによぉ、
 今更恥ずかしがってんじゃねぇよ。
 おら。いいから鏡で自分の体見てみろ」

72 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:02:46.46 ID:/erZYPPV0.net
シャロは言われるままに、鏡の中の自分の体を見た。

「そんな貧相な体でよぉ、いくらもらえるって期待してたんだ」

横から男の声がする。
貧相な体。
少年のように平らな胸。
くびれもなく、すとんと凹凸のない腰からお尻にかけてのライン。
細いふともも。

「変に顔がいいから騙されちまったよ。
 まさかこんなガキだったとはなぁ。
 やってる最中も、あそこをたたせるのに必死だったぜ」

シャロの頭の中で、歪んだ笑い声が響いていた。

78 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:06:09.26 ID:/erZYPPV0.net
どうやって帰ってきたのかも覚えていない。
家に着くなり嘔吐したことだけが頭の端にこびりついている。

「うっ……うううっ……」

シャロは自室のベッドで、声を殺して泣いていた。
酷く自分の体が汚れてしまったような気がして、
ホテルのお風呂で何度も体を洗ったが、
その不快感が拭われることは無かった。

「ううっ……」

シャロのすすり泣く声だけが、暗い部屋の中を支配していた。

85 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:09:32.35 ID:/erZYPPV0.net
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
シャロは、何かを叩くような音で目を覚ました。

「シャロちゃーん」

小さな声がする。
どうやら家の玄関をノックする音だったようだ。
シャロは薄ぼんやりとした頭のまま、ベッドから降りた。

「シャロちゃーん」

ココアの声だろうか。
依然として、ドアを叩く音が響き続けていた。

92 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:13:08.34 ID:/erZYPPV0.net
「良かった! 千夜ちゃんに聞いたら、
 シャロちゃんの家はここだって言うから」

玄関のドアを開けると、ココアの笑顔が視界に飛び込んできた。

「はい、借りてたお金! ありがとね。
 お母さんにお小遣い貰ったんだー」

笑顔のままで続ける。

「ん? ああ、チノちゃんが2週間休み取ったって言ってたでしょ?
 家に帰ったのは一日だけだよ。さっき帰ってきたの」

94 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:14:39.78 ID:bqypbtxZ0.net
なーんだ勘違いしたシャロちゃんが悪かったんだ

97 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:16:44.34 ID:/erZYPPV0.net
ココアの顔をまともに見ていられなかった。
無垢な笑顔がひどく眩しくて、目の前にいるのに、
遠くの世界の人間のように感じられる。

「シャロちゃん、もしかして元気ない?
 ……あ、分かった! ダイエットしてるんでしょ?
 シャロちゃんスタイル良いんだから、そんなことしなくてもいいのに」

スタイル良いんだから。
鏡に映った自分の体を思い出した。

98 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:17:46.47 ID:dpIWLRF40.net
シャロが汚されたとも知らずに・・・

103 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:20:26.23 ID:/erZYPPV0.net
「私なんて、あちこちお肉がつきやすくて」

そう言ってココアは、おなかをさすると笑顔を見せた。
服の上からでも分かる。
膨らんだ胸。女性らしい下半身のシルエット。

「無理しないでしっかりご飯食べるんだよ?
 お金、ほんとにありがとね」

107 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:23:40.05 ID:/erZYPPV0.net
キラキラと輝く笑顔を覗かせて、ココアは帰って行った。
彼女なら、ちゃんとお金をもらえたんだろうか。

「……」

そんなことを考えてしまう、自分がひどく嫌になる。
自室に戻ると、またベッドに潜り込んだ。
もう涙も出ない。いったい、何がいけないんだろう。

お金が無いせい?
子供みたいな体型のせい?
それとも。

……全部わかってる。
私のすべてがいけないんだ。

116 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:27:44.87 ID:/erZYPPV0.net
見栄っ張りで、プライドが高くて、
そのくせ大した能力もなく、目標ばかりが大きい。

人間っていうものは、分相応にしか生きられない。

リゼ先輩みたいに。見た目も。才能も。家柄も。
全てを持っている人に憧れるなんて、分不相応もいいところなんだ。

シャロはベッドの横にある窓のふちに手をかけた。
立て付けが悪く、カラカラと大きな音がする。

完全に開け放たれると、
湿り気を帯びた空気が室内を満たした。
今日は、雨が降るのかな。
遠くの空に、真っ黒な雨雲が流れていくのが見えた。

終わり

117 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:28:12.29 ID:1FgVzjD70.net
おつ

122 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:29:38.57 ID:/X3z4L2l0.net
青ブルマ「なんて話はどうでしょう~」
シャロ「ぜったいにやめてー!!」

127 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:31:10.35 ID:/erZYPPV0.net
読んでくれた方、レスくれた方、ありがとうございました。

不快な思いをされた方、申し訳ありません。
次は、心ぴょんぴょんする話を書きたいと思います。

128 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/08/15(金) 23:31:24.36 ID:Xc86V3Du0.net
おつ
シャロちゃんは立派だよ!



元スレ: ココア「シャロちゃんごめん。ここのお会計任せちゃってもいい?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1408108512/


[ 2020/11/27 14:55 ] ごちうさSS | TB(0) | CM(0)
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