3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:01:30.19 ID:
FYSK8pu40
学校、廊下
夏目「え?明日、アイドルがやってくる?」
西村「そうなんだよ、今大人気のアイドルいるじゃん、765プロの」
夏目「ごめん…俺あんまりそういうの興味なくて…」
西村「まあそれぐらい分かってたけどさ、でも人目見たらメロメロになっちまうかもよ夏目でも~、だから一緒に行こうぜライブ!」
夏目「……分かった、考えておくよ」
西村「おう!頼んますよ、未来のアイドルファン、夏目!」
夏目「アイドルファンって…」
北本「おい西村、冗談言う暇があるなら早く塾に行ったほうがいいんじゃないか?」
西村「……北本…なんてこと言うんだ…折角学校終わってまで勉強しなきゃならない現実を夏目との会話で忘れようと思ったのに!」
北本「いいから早く行って来い、お前が行かなかった時、俺の家に電話来たんだぞ」
夏目「ああ、それは俺もだ」
西村「……迷惑掛けてすいませんでした」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:04:19.20 ID:
FYSK8pu40
北本「申し訳ない気持ちがあるなら早く行って来い」
西村「はぁ…じゃあ夏目、約束覚えててくれよー!」タッタッタ…
夏目「分かったー!……いつも忙しい奴だな、西村は」
北本「……なあ夏目、約束って何の話だ?」
夏目「ああ…いや、ここにアイドルが来るらしいから明日の放課後、一緒に見に行かないかって話だよ」
北本「ああなるほど、そういえばアイツそんなこと言ってたな…夏目、お前は行くのか?」
夏目「うーん…西村が行きたいっていうなら俺は別に構わないよ」
北本「そっか、じゃあ俺も行くとするかな、どうせ暇だろうし」
夏目「北本も興味あるのか?アイドルに?」
北本「馬鹿言え、テレビで見れる美人をこんな田舎の畑をバックに見たら、折角の美人が残念になってしまうに決まってる」
夏目「はは、それもそうだな、期待しないでおこうか」
北本「けどアイツの前ではそんな素振りみせないでくれよ、変に絡まれるのは面倒だからな」
夏目「ああ、分かってるよ」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:06:08.76 ID:
FYSK8pu40
八ツ原の森
ニャンコ先生「アイドル?何だそれは?うまいのか夏目?」
夏目「おいしいわけないだろ、人間の職業だよ」
ニャンコ先生「はぁ?お前達はその職業の人間を見たいがために折角の休日を潰すというのか?なんと愚かしい」
夏目「……今回ばかりはニャンコ先生の言うとおりだな」
ニャンコ先生「別に美人な女子が見たいのなら私が変化してもいいんだぞ夏目~、ほらほら今ならまんじゅう三つで…」
夏目「はいはい、買って帰ろうか、ニャンコ先生の分のまんじゅう一つ」
ニャンコ先生「おいこら夏目!?一つとは何だ一つとは!そういう所をケチるなたわけ!」
夏目「あー…もう分かった分かった!分かったから今度の休み、アイドルを見に行く時についてこないでくれよ、先生」
ニャンコ先生「分かっとるわ!アイドルアイドル、色気づきおって!」
「アイドル…」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:11:31.16 ID:
FYSK8pu40
ニャンコ先生「……夏目、妖だ」
夏目「……やっぱりこの森を通るのは止せばよかったかな」
バッ
ニャンコ先生「来るぞ!」
夏目「っ!」
美希「ねぇ!今アイドルって言った!?言ったよね!?」
夏目「………」
ニャンコ先生「何だこの小娘は…」
美希「ねぇってば!あっ!人間じゃなくてこっちの猫ちゃんが言ったの?」
ニャンコ先生「ま、まあ…言いはしたが…」
美希「じゃあこの森に来るの!?アイドルが!ねぇ、どうなの!?」ガシッ
ニャンコ先生「ニャァっ!お、おい!助けてくれ夏目!」ジタバタ…
夏目「お、おい落ち着いてくれ…」
美希「もう!猫ちゃん全然使えないの!」ブンッ
ニャンコ先生「ぐほっ!?」ギュムッ
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:15:09.87 ID:
FYSK8pu40
美希「ねぇ人間!ここに来てくれるの!あの人が!」
夏目「あの人…いや俺も友人に聞い…」
夏目(っ…何を言ってるんだ俺は…迂闊に喋ったら西村達に…)
夏目「……そこら辺の中級たちがそう言っていたんだ」
美希「ホント!?ありがとうなの!」タッ…
夏目「っ!ま、待て!」
美希「……まだ何かあるの?」
夏目「お前…どうしてアイドルについて聞いてきたんだ?」
美希「………」
夏目「聞く権利はあるはずだぞ…こっちはペットまで酷い目に合わされたんだ…」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:19:45.91 ID:
FYSK8pu40
ニャンコ先生「分かってるなら早く助けろ夏目…岩と岩に挟まってから抜けられん…ふんっ!ふんっ!というかペットじゃない!ふんっ!」
美希「………」
夏目(もし今から来るアイドルの人に被害があったら……取り返しがつかなくなる…)
夏目「早く答えてくれ…」
美希「………」
夏目「………」
美希「別に、ミキはただアイドルになりたいから聞いただけだよ?」
夏目「……は?アイドル?」
美希「うん!」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:25:46.86 ID:
FYSK8pu40
夏目「約束をしたのか…その人と」
美希「そう、ミキをアイドルにしてくれるって」
ニャンコ先生「はんっ!お前みたいなあぶなっかしい奴がアイドルになんてなれるわけないわい!」
美希「なっ!なんなのこの猫ちゃん!とっても失礼なの!」
夏目「いやこれは先生の言うとおりだ、妖怪がアイドルになれるわけなんてない」
美希「むっ…妖怪とか人間とか関係ない、ミキはアイドルになりたいからあの人にあってアイドルにしてもらうの」
夏目「それに妖怪が人間に見えるわけ……っていうかどうしてその人には見えたんだろうか…」
美希「ミキはその気になれば人間にだってちゃんと見えることが出来るの!そこのネコちゃんみたいに!」
ニャンコ先生「にゃん!?」
美希「だからミキはアイドルにしてもらうの!」
夏目「……でもそれはやっぱり無理だよ、妖怪が人間の世界に入るなんて…」
美希「だからそんなのミキ知らないってば!ミキはアイドルになりたいだけだってば!」
ニャンコ先生「……この小娘、全く分かっていないな」
夏目「……とにかく、もしアイドルになれたとしてもきっとお前は後悔するよ…絶対に」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:30:15.84 ID:
FYSK8pu40
美希「………」
夏目「分かってくれ、俺はお前のために…」
美希「もう人間と話しててもムダなの!ミキ、もう行くから」
夏目「お、おい待っ…」
美希「うるさい!早く消えてよ人間!」
ボウッ!
夏目「っ…!?……火?」
ニャンコ先生「うわっ!?あちちちちちちち!お、おい夏目!早く消してくれぇ!」バタバタ…
夏目「……火…火の妖」
夏目「………」
夏目「もう逃げたか…あいつ…」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:32:36.39 ID:
FYSK8pu40
自室
ニャンコ先生「で、あの妖をそのままにしていいのか?」
夏目「いいわけないだろ、もしあの妖が感情的になったりでもしたら…」
ニャンコ先生「人間には危ないだろうなぁ~」ゴロゴロ…
夏目「………」
ニャンコ先生「止める気か?夏目?」
夏目「……ああ」
ニャンコ先生「ほぉ」
夏目「確かに今までも妖が人間に会いたいっていうことはたくさんあった…それには賛成できるし、手伝いたいとも思う」
夏目「けどそこからだ…アイドル…もしなれたとしてもあんな感情的な妖が人間の世界に入ったら危ない」
夏目「それに、妖だと知ったらその人はきっと…」
ニャンコ先生「避ける…いやもっと酷いことをするだろうな」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:36:08.76 ID:
FYSK8pu40
夏目「……だからやっぱりあの妖は止めないと…あの妖も絶対に後悔することになる」
ニャンコ先生「けど夏目、今からどうするというんだ、あの妖はどこかに行ってしまったぞ?」
夏目「それなら探すさ…まだ近くの森に居るはずだ、中級たちにも手伝ってもらえば…」
ニャンコ先生「何を言っとるんだ、もう夜更けに近いんだぞ?」
夏目「妖怪の先生がそんなこと心配するな、ほら、行くぞ先生」
ニャンコ先生「にゃっ!?い、いやだ!私はもう酒を飲んで寝る準備が…」
夏目「用心棒だったら用心棒らしい仕事をしてくれ!ほら!」
ニャンコ先生「………」ズーン…
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:41:11.87 ID:
FYSK8pu40
夜、八ツ原の森
夏目「よかった…中級たちが手伝ってくれて」
ニャンコ先生「別に明日でも良かったではないか…なんでこんな夜中に…ふぁぁぁぁ…」
夏目「……明日になったらそのアイドルが来るんだ…今、どうにかしないでどうするんだよ…」
ニャンコ先生「はぁ……だが夏目、あの妖の匂いは全く感じられんぞ」
夏目「………」
ニャンコ先生「どうしようもなくね?」
夏目「何言ってるんだ先生…どうにかしなくちゃいけないんだ…僕達で」
ニャンコ先生「はぁ…分かった分かった、仕方ないのう……夏目、ちゃんとしがみつくんだぞぉぉぉぉ!」
ドゴッォォォォォォン…
夏目「う、うわっ……ありがとう、先生」
斑「どうだ夏目?何か見えるか?」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:46:30.73 ID:
FYSK8pu40
夏目「いや…何にも…」
斑「だろうな…よし……アイドルが来たぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
夏目「お、おい先生!そんな大声出したら後で色々と…」
斑「いいから夏目、お前は早くあの妖を見つけろ、必ず出てくるはずだ……アイドルが来たぞぉぉぉぉぉぉ!!!」
夏目「あ、ああ!……っ!」キョロキョロ…
斑「アイドルが……ふっ…早々に出てきたな」
美希「……アイドル…何処なの?ねぇ、何処なの!」
夏目「す、すまない!…騙すような真似をして…」
美希「……ミキのこと騙したの?」
夏目「あ、ああ…でも違うんだ!俺達はただ話を…」
ボウッ!
夏目「っ!?」
美希「………」グ…
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:49:43.11 ID:
FYSK8pu40
夏目「せ、先生!」
斑「分かってるっ!」
ドォォォン…
美希「……っ…」
斑「おい…あまり手間を取らせるな……食うぞ」
夏目「……先生」
美希「……分かったよもう…話…聞くから」
ニャンコ先生「うむ、賢明な判断だ」シュゥゥ…
夏目「それじゃあ…」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:51:35.64 ID:
FYSK8pu40
夏目「……っていうことなんだ」
美希「………」
夏目「俺も出来ることなら手伝ってやりたい…でもアイドルになるっていうことはそれぐらい危険なことなんだ」
美希「………」
夏目「……分かってくれたか?」
美希「……分かってたよ…それくらい」
夏目「えっ…分かってた…?」
美希「ミキだって…なりたいものくらいちゃんと分かってるの…」
夏目「………」
美希「何回も見てきたよ…人間の家のあの箱に移ってるアイドルを…」
夏目「そうだったのか…」
美希「だからどれくらいアイドルがミキに向いてないってことくらいちゃんと分かってるの……でもなりたいのっ!」
夏目「………」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:55:21.80 ID:
FYSK8pu40
美希「ミキは妖怪で人間じゃない……でもアイドルになりたいって気持ちは誰よりも負けないのっ!誰よりも強いの!」
美希「それなのに……諦めろって…無理に決まってるの!絶対!絶対にっ!」
夏目「……そっか」
ニャンコ先生「どうするんだ?夏目?」
美希「………」ハァ…ハァ…
夏目「………」
美希「………」
夏目「それでもやっぱり…ダメだよ」
美希「っ!」
夏目「お前の気持ちだってよく分かってる…でもやっぱりアイドルになることを許すことは出来ないよ」
ボウッ!
夏目「……っ」
美希「じゃあもういいの!ミキはお前達を燃やしてでも……あの人に会ってアイドルにしてもらうんだからっ!」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 15:58:50.26 ID:
FYSK8pu40
夏目「………」
ニャンコ先生「何て命知らずな妖だ……これ以上メンドくさいことになると…食ってしまうぞ?」
美希「そんなの知らないっ!ミキはアイドルになりたいだけなの!何も悪いことなんてしてないの!」
ニャンコ先生「駄目だこりゃ…夏目、後は任せたぞ~」ゴロゴロ…
夏目「………」
美希「だから…だからミキの邪魔するなら……燃やしてやるのっ!」
夏目「………」
美希「………」プルプル…
夏目「……分かったよ…」ス…
美希「っ…」
夏目「さぁ、好きなだけ俺を燃やしてくれ……ほら!」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:03:36.20 ID:
FYSK8pu40
美希「…っ……」
夏目「………」
美希「……そんなの…出来るわけないの…」
夏目「………」
美希「ねぇ…もう…ミキどうすればいいの……アイドルになりたいのになれないなんて…」
美希「約束したあの日からずっと止まらないのに……諦められないのに……」
美希「ずっと…ずっと!なりたかったのに……ミキもああやってキラキラしたかったのに!」
美希「約束したあの日から…あの人と一緒に……アイドルになりたかったのにっ!」
夏目「……っ」
― また、この大きな木の下で会おう ―
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:07:43.83 ID:
FYSK8pu40
夏目「………」
夏目「分かった…じゃあ明日、会いに行こう」
美希「……え?」
夏目「明日…来るかは分からない…でも会いに行こう」
夏目「きっとその人は来てくれるはずだ……だからその時俺から話をする」
夏目「そして、もしもその人がお前を受け止めてくれたのなら……俺はもう邪魔はしないよ」
美希「………」
夏目「それで……いいか?」
美希「……うんっ!」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:13:16.25 ID:
FYSK8pu40
ニャンコ先生「良かったのか?夏目?」
夏目「何がだよ、先生?」
ニャンコ先生「あの妖が本当に人間の世界に出てしまうぞ?」
夏目「……ああ」
ニャンコ先生「ああって…危険だと言っていたのはお前ではないか!」
夏目「でもあいつは人間を傷つけたりしない……それにもしあいつ自身が傷つくことがあったとしても」
夏目「きっと大丈夫だ、乗り越えられるよ」
ニャンコ先生「……相変わらず緩い奴だな、お前は」
夏目「………そうかもしれないな」ニコッ
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:16:40.96 ID:
FYSK8pu40
翌日
夏目「はぁ…はぁ…」タッタッタ…
美希「早く走って!遅いの人間!」
夏目「そ、そういわれたって……」
ニャンコ先生「ほらもっと足を動かせ夏目、置いてかれてしまうぞ?」
夏目「だったら先生こそ走ってくれよ…っ!」タッタッタ…
ニャンコ先生「私はただのかわゆいニャンコなのでな」ガシィ…
夏目「このエセニャンコぉ…」タッタッタ…
美希「!もうすぐなの!早く早く!」
夏目「あ、ああ!」タッタッタ…
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:21:00.69 ID:
FYSK8pu40
大きな木の裏
美希「………」
ニャンコ先生「何時間待つ気だ…夏目ぇ…」
夏目「………」
美希「……やっぱり帰るの」
夏目「お、おい待てって!まだ来ないかは分からないだろ!」
美希「でも…人間からだとすごく時間が経ってるの……あの人も多分ミキのことなんか忘れてるに決まってるよ…」
夏目「………」
ニャンコ先生「まあそうだろうなぁ~」
夏目「お、おい先生!」
美希「……だからもうミキ帰るから人間達も早くここから…」
「なつかしいね、この大きな木」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:26:20.50 ID:
FYSK8pu40
美希「っ…」
ニャンコ先生「む?誰かが来たぞ?……オッサンとメガネ?」
夏目「……まさか…」
美希「来たの…あの人が…」
美希「約束を守りに…来てくれたの…やっと…」ポロポロ…
夏目「………」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:31:25.09 ID:
FYSK8pu40
P「社長、一度来たことがあるんですか?ここ?」
社長「ああ、まだ私がものすごく若くてアイドルという言葉もあまり広まっていない時期に少しだけね」
P「なるほど…だから今日社長も来てくれたんですね」
社長「ああ……そして今から少し思い出話になるのだが…私はね、その頃にある女の子と出会ったのだよ」
P「……女の子?」
社長「ああ、彼女はとても魅力的な子だったよ……それに私が初めてプロデュースしたいと思った子がその子だったのだから」
美希「………」
P「へぇ~…会ってみたいなぁ…」
社長「私もさ……でも今の私じゃ彼女をプロデュースできる力はもう無い…それにこの歳ではもうね…」
社長「だからもしも会ってしまったらきっと彼女を傷つけてしまうだろう…」
美希「………」
社長「約束を破ってしまうからね」
美希「………」
美希「……覚えててくれたんだ…ミキとの約束…」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:37:51.74 ID:
FYSK8pu40
社長「それに彼女も覚えてはいないだろうしもう何十年も前の話だからね……よし、さぁもう戻ろうか、四条君達のリハーサルを見ておきたいからね」
P「そうですね、それじゃあ……しゃ、社長!」
社長「ん?何だね?」
P「後ろの地面を見てください!後ろの!」
社長「後ろの地面?どうかしたのか……ね…」クル…
ありがとう みきとのやくそく おぼえててくれて あいどるにしようとしてくれて ありがとう
社長「………」
P「これって……しかもこの文字煙が出てる…」
社長「………」グッ…
タッ…
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:42:40.39 ID:
FYSK8pu40
P「しゃ、社長!?どうしたんですか突然!」
社長「はぁ…はぁ…そこに居るのか…!」タッタッタ…
― うんっ!ミキもああやって踊ったりしてみたい! ―
社長「はぁ…はぁ…」ガサガサ…
― ほんとぉ!? ―
社長「……居ない…」
P「……社長…」
社長「っ……すまない…すまない…」グッ…
― うん!約束なの! ―
社長「君をアイドルにすることが出来なくて……本当に…すまないっ…本当にぃ…」ポロポロ…
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:46:12.45 ID:
FYSK8pu40
美希「………」
夏目「本当に良かったのか…」
美希「うん…だってミキはあの人にアイドルにしてもらいたかったの……でも出来ないなら仕方ないの」
夏目「………」
美希「えへへ…ずっとあそこで待ってたのに……ミキ…結局なれなかったなあ…」
夏目「………」
美希「ねぇ…ミキってやっぱり馬鹿だったのかなぁ…」
夏目「………」
美希「ミキなんかがアイドルになるなんて……無理だったのかなぁ……」
夏目「いいや…無理なんかじゃないさ……きっとなれたはずだ…いや、今からでもなれるさ」
美希「……本当に?」
夏目「ああ、それだけは俺が保障する……約束だ」ス…
美希「うん…約束なの…」ギュッ…
美希「……えへへ…ミキ、また大切な約束が一つ増えたね」ニコッ…
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:48:59.19 ID:
FYSK8pu40
ライブ会場
夏目「はぁ…はぁ…」
北本「よっ、夏目」
夏目「ご、ごめん北本、西村……遅れた…」
西村「はい夏目ギルティー!ファンたるもの二時間前にはセットするのが基本なんだぞ!」
夏目「そ、そうだったのか…」
北本「そういうお前も15分前に到着だったけどな」
西村「うるせぇ!……で、北本は一体何時間ここで粘ってたんだ?」
北本「う、うるさい!……!ほらステージを見ろ!来たぞアイドル達が!」
西村「っ!おっしゃー!来たぁっ!」
夏目「……あれが……アイドル…」
夏目「………」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:53:34.41 ID:
FYSK8pu40
オォォォォォォォォ!
亜美「亜美たちのために!」
真美「こんな特設ステージを作ってくれて!」
貴音「真に感謝しております」
オォォォォォォォォ!
西村「あー!俺ここに生まれて正解だったー!」
北本「俺もだぁー!」
美希「………」ス…
夏目「……美希」
美希「ミキもね…こうやってキラキラしたところで踊ったり、歌ったりしたかったんだ…」
夏目「………」
美希「いつかミキもなれるかな?……これぐらいキラキラしてるミキに」
夏目「……ああ、きっとなれる…妖怪とか人間とかそんなの関係無しで」
夏目「美希ならきっと、なれるよ」
美希「っ……うん!そうだよね!」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:57:59.55 ID:
FYSK8pu40
美希「それじゃあミキも…ちょっとだけお手伝いしてくるね」
夏目「手伝い?」
美希「うん…ミキはキラキラできないけど……あの娘たちはもっとキラキラできるから…そのお手伝い」
夏目「……そっか」
美希「だから、ハニーもちゃんと見ててね」ス…
夏目「え?ハニー?」
夏目「それにしても手伝いって…」
夏目「………」
西村「おぉ?夏目もアイドルの良さが分かってきたのか?」
夏目「え?」
西村「だって今の夏目、すっげーいい顔してるぞ」
夏目「そ、そうなのか?」
北本「ああ、それぐらい満足だったのか?このライブ」
夏目「……ああ、そうかもな」ニコッ…
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 16:59:31.52 ID:
FYSK8pu40
社長「………」
P「残るは一曲ですね…はぁ~…良かったぁ、何事も無くて」
社長「………」
P「でもあの時のあの言葉って一体何だったんでしょうね社長?」
社長「………多分あれは…」
ふわっ…
P「……あれ?何だこれ?…蛍?」
社長「この光…」
社長「……ふふ…何故だろうか…何故この光を見ていると…」
― うん!約束なの! ―
社長「彼女のことが頭をよぎるのだろうか…」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 17:01:56.43 ID:
FYSK8pu40
貴音「それでは最後の曲は…」
亜美・真美「READY!!」
亜美「みんなも一緒に!」
真美「歌って踊って飛んじゃおー!」
オォォォォォォォォォ!
貴音「……っ!」
亜美「ん?どしたのお姫ちん?」ボソッ…
貴音「いえ…何かが……っ!」
真美「っ!ね、ねぇ…ア、アレっ!」ビシッ
フワフワ…
北本「……なんだ…あれ」
西村「蛍か…火の粉か…よくわかんねぇけど雨みたいに落ちてくるぞ…」
夏目「………」
夏目「そうか…この光の雨はお前なのか…美希」ニコッ…
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 17:09:14.81 ID:
FYSK8pu40
貴音「……何と美しい光景でしょう」
亜美「ね、ねぇお姫ちん!何だかこのオレンジの火の粉みたいなの危なそうだから離れたほうが…」
貴音「何を言っているのですか亜美…この炎の雨はきっと私達のライブへの贈り物なのですよ…」
真美「贈り物…」
貴音「さぁ、歌いましょう…この美しい時間が終わってしまう前に…この光と共に…」
夏目「………」
― ねぇ、ミキ、ちゃんとお手伝いできてるかな? ―
夏目「……あぁ…美希…お前が今一番キレイで……一番キラキラしてるよ」
オォォォォォォォォォォォ!!!
―――
――
―
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 17:10:41.35 ID:
FYSK8pu40
翌日、八ツ原の森
ニャンコ先生「あの小娘は狐火という妖じゃ」
夏目「狐火…」
ニャンコ先生「小さい光が寄ってあの小娘は人間のような姿でいられたんだろう」
夏目「……そうだったのか」
ニャンコ先生「でも本当に良かったのか?人間の世界にあの小娘を野放しにして」
夏目「………」
夏目「ああ、きっと大丈夫だ……美希なら人間の世界でもやっていけるさ」
ニャンコ先生「………」
夏目「本当はニャンコ先生だってそう思ってるんだろう?」
ニャンコ先生「にゃーん……というか夏目!そんなことよりとっとと七辻屋だ!はよ走れ!」
夏目「はいはい」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 17:14:26.89 ID:
FYSK8pu40
数日後、765プロ事務所
社長「なるほど…昔、ある人と約束をしたからこの765プロのアイドルになりたいのだね?」
「うん!」
社長「そうか……でもその人はもう君をアイドルにしてくれないかもしれない…いいのかね?」
「……でもミキはとにかくアイドルにならなきゃいけないの」
社長「……理由を聞いてもいいかね?」
「約束をしたの…」
社長「約束?」
「うん、アイドルになったらハニーやその人にミキがキラキラしているところを見せてあげるって…ハニーと約束したんだ」
「だから絶対にミキはアイドルになるの……とっても大事な約束だから叶えなきゃいけないの」
社長「………」
「それにミキはどこかの誰かさんみたいに大事な約束は破らないの」
社長「……ははっ…そうかい、それじゃあ美希君、これから765プロのアイドルとしてよろしく頼むよ」
美希「分かったの!社長!」
終わり
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 17:16:32.57 ID:
FYSK8pu40
こんな駄文を呼んでくださった方々ありがとうございました
それでは
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/06(土) 17:30:27.94 ID:qpio2SmZ0
そうか美希は妖怪だったのか・・・
元スレ:
美希「ミキ、アイドルになりたい!」夏目「それは無理だ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1349503179/
THE IDOLM@STER FIVE STARS!!!!!(アーティスト)