3 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:03:59.988 ID:
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タプリス「ひ、人に追われている……んですか?」
不審な男「はいぃ。僕、実は芸人をしているんですけど」
不審な男「あ、名前は田中っていいます」
タプリス「芸人の田中さんって、もしかして……」
タプリス「テレビに出て、お笑いをやっている、あの人ですか!?」
田中「ええ、まぁ……」
タプリス「わ、わたし、テレビで見たことがあります!」
タプリス「すごい、有名人じゃないですか!」
田中「あ、ありがとうございます」
タプリス「でも、そんな有名人さんが、どうしてこの街に?」
タプリス「追われていることと、何か関係があるんですか?」
田中「えっとですね。今、諸々の事情で少し騒ぎになってまして」
田中「いろんな人から追われてるんです」
田中「だからほとぼりが冷めるまで、少しでも遠くに逃げようと思って」
田中「この街に、たどり着いたんです」
タプリス「なるほど、有名人さんも大変なんですね……」
6 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:06:56.521 ID:
x9N5zZI00.net
タプリス「でもその、正直言いづらいですが」
タプリス「そんなにオドオドしていますと、逆に怪しいですよ?」
田中「そ、そうですかね」
タプリス「堂々としていたほうが、まだ普通に見える気が……」
田中「やっぱりそうですか」
田中「わかってたんですけど、直そうにも昔からずっとこんな性格でして」
田中「結婚して子供ができてからも、ちっとも変わらないんです」
タプリス「あ、お子さんもいらっしゃるんですね」
田中「ええ、息子が二人。でも、僕こんなんですから……」
田中「息子たちからも、どんな風に思われてるやら」
タプリス「……」
田中「できたら、変わりたいとは思ってるんですけどね」
田中「息子たちのためにも……父親として」
田中「……特にこれからは」
タプリス「……変わりましょう!」
田中「えっ?」
7 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:09:58.241 ID:
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タプリス「くよくよして何も行動しなかったら、何も変わりません!」
田中「……ッ」
タプリス「わたしだって、いつもドジや失敗ばかりですけど」
タプリス「この街に引っ越してきてから、周りの人たちのおかげで」
タプリス「本当に少しずつですが、成長してきている実感があるんです」
タプリス「だから田中さんも、頑張って頑張り抜いて」
タプリス「お子さんたちに、すごい、かっこいいって言われる」
タプリス「お父さんを目指しましょう!」
田中「そうですね……そう、したいです」
田中「……こんな年下の子に諭されるなんて、情けない」
タプリス「こちらこそ、生意気言ってしまってすみません……」
田中「いえ、そんなことないです、ありがとう」
田中「……やりますよ、僕。やってやろうと思います」
田中「尊敬される父親に、絶対なってみせます」
タプリス「その意気ですよ! 田中さん!」
田中「ですけど、具体的に何をすれば……」
タプリス「あ、わたしに良い考えがあります」
9 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:12:55.774 ID:
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-ガヴリールの家-
タプリス「父親としての役割の一つとして」
タプリス「子供たちとの触れ合い、つまり遊び、があると思うんです」
田中「なるほど、たしかにそうですね」
タプリス「ですから、遊びの達人である、わたしの先輩……」
タプリス「天真=ガヴリール=ホワイト先輩に、ぜひ、ご指導いただきたいと!」
ガヴリール「めんどい」
タプリス「即答!?」
田中「えっと、大丈夫なんですか?」
10 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:14:10.702 ID:
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ガヴリール「というか、この男誰だよ。勝手に家にあげやがって」
タプリス「いやいや、事前に電話でお話しましたよね」
ガヴリール「こんなノッポが来るなんて聞いてない」
タプリス「そ、そう言わずに先輩……」
ガヴリール「嫌だ、時間の無駄だ」
タプリス(仕方がありません、奥の手を使いましょう)
タプリス「先輩……」スッ
ガヴリール「これは……プリペイドカード」
ガヴリール「というのは冗談で、そろそろ修業を始めようか、田中さん」
田中「いや、めちゃくちゃ買収されてましたよね、今」
13 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:15:06.464 ID:
x9N5zZI00.net
ガヴリール「あんたには、このレースゲームで私と戦ってもらう」
田中「ゲーム、ですか。ゲームなら少し得意ですよ」
ガヴリール「そうか、じゃあこっちも手加減はしないぞ」
田中「はい、負けませんよ」
――
ガヴリール「一戦目、私の勝ちだ」
田中「ですね、完敗です」
ガヴリール「とりあえず今の一戦を終えて、どう思った?」
田中「え、どう思った、ですか?」
ガヴリール「うん」
田中「いや、純粋に強くて、すごいと思いましたけど……」
ガヴリール「そうか、じゃあ続けるぞ」
田中「……? え、えぇ」
――
ガヴリール「これで私の、30連勝」
田中「そ、そうですね」
ガヴリール「続けるぞ」
田中「……はい」
タプリス(田中さんもどんどん上手くなっている気がするんですが)
タプリス(それ以上に、天真先輩が上手すぎますね……)
14 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:18:59.624 ID:
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-数時間後-
ガヴリール「……連勝は50でストップか」
田中「や、やった。やっと、勝った……」
タプリス「お、おめでとうございます、田中さん!」
ガヴリール「そろそろいいかな。それで、今の気持ちはどう?」
田中「え、それは嬉しいに決まってるじゃないですか」
田中「今までずっと負け続けてましたし」
ガヴリール「そうか。じゃあ、さっきの負け続けていた時は、どう思ってた?」
田中「え?」
ガヴリール「早く」
田中「えっと、疲れたといいますか、もうやめたかったといいますか……」
ガヴリール「もっと正直に言うと?」
田中「そ、そうですね。正直……つまらなかったです」
ガヴリール「でも、今は?」
田中「今は、さっきも言いましたけど……って、あ……」
ガヴリール「気づいたみたいだな」
タプリス「えっ? ど、どういうことですか?」
17 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:22:05.555 ID:
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ガヴリール「私は遊びであっても、格下の相手に対して」
ガヴリール「わざと手を抜いて勝たせてあげるのは好きじゃない」
ガヴリール「なぜなら挑み続けて、やっと勝利した時の」
ガヴリール「楽しさを知っているから」
田中「僕も今、実感しました……」
ガヴリール「要するに、だ。相手のご機嫌ばかりをとっていても」
ガヴリール「自分にも相手のためにもならないって、こと」
田中「なるほど……、すごいですね、天真さん」
タプリス「さすが天真先輩です……3000円の価値がありました」
田中「いや、数字がリアルすぎますって」
ガヴリール「ともかく、私が教えられるのは、ここまでだ」
田中「ありがとうございます。子供にも、そう接したいと思います」
タプリス「先輩、ありがとうございました!」
ガヴリール「それで、この後は?」
田中「僕も気になってました。どうするんですか」
タプリス「えっと次はですね……」
19 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:25:03.591 ID:
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-ヴィーネの家-
タプリス「田中さんの事情をお聞きしまして」
タプリス「料理の達人である、月乃瀬=ヴィネット=エイプリル先輩に」
タプリス「お料理をご指導いただきたいと思います!」
ヴィーネ「タプちゃん。そんな……達人だなんて」
田中「よろしくお願いします、月乃瀬さん」
ヴィーネ「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
田中「たしかに、これからは僕が料理して子供に食べさせてあげる機会って」
田中「増えると思いますからね、これは本当に助かりますよ」
タプリス「わたしも、料理は全然なので、一緒に学ばせてください!」
ヴィーネ「田中さんはお仕事の関係上、空き時間もあまりないですよね」
田中「まぁ、そうですね。不定期ですし、遠出も多いです」
ヴィーネ「では、そんな田中さんにおすすめの……」
ヴィーネ「ぱぱっと早くて簡単にできる、料理を作りましょう」
田中「あ、それ、めっちゃ嬉しいです。助かります」
20 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:28:04.587 ID:
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ヴィーネ「今日作るのは、大葉ツナトマトのあっさり和風パスタ、です」
田中「おぉ、なんだかおしゃれですね」
ヴィーネ「火はパスタを茹でる時にしか使いませんから、楽なんですよ」
タプリス「簡単でいいですね!」
ヴィーネ「ではお湯を沸かしながら、具材の下ごしらえをしていきましょう」
田中「は、はい」
――
ヴィーネ「いやっ、やめて! ボクを潰さないで!」
田中「……」
ヴィーネ「そんなの聞いてあげませーん♪」
タプリス「……」
ヴィーネ「真っ赤なトマトを、ざっくざく、ざくーん♪」
田中「あの」
ヴィーネ「どうしました? 田中さん」
田中「その歌も真似したほうがいいですかね?」
ヴィーネ「えっ、歌って何のことですか?」
田中「あ、なんでもないです」
タプリス(む、無意識だったんだ……)
21 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:31:02.601 ID:
x9N5zZI00.net
ヴィーネ「できました! これで、完成です!」
田中「かなり早かったですね」
ヴィーネ「ええ、それでは、いただきます」
タプリス「はい、いただきます!」
――
田中「うわっ、彩りも綺麗なのに、めっちゃうまっ」
タプリス「ほんのり鼻に抜ける、梅の風味もたまりませんねっ」
ヴィーネ「よかった、気に入ってもらえて」
田中「しかもこれなら、僕だけでもできそうなので」
田中「子供に作ってあげたいと思います」
田中「本当にありがとうございます、月乃瀬さん」
タプリス「わたしからも、ありがとうございます、先輩!」
ヴィーネ「いえいえ、どういたしまして」
田中「それにしてもこんなに、うまく作れるなんて」
田中「やっぱりコツとかあるんですかね?」
ヴィーネ「そんなのは特にないですよ。手順通りに作るだけです」
田中「そうですか」
田中「……やっぱり、あの歌も真似したほうがいいですかね?」
ヴィーネ「えっ、あの歌って何ですか?」
田中「いえ、なんでもないです」
22 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:34:02.786 ID:
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タプリス「ごちそうさまでした!」
ヴィーネ「はい、お粗末さまでした。それで、この後はどうするの?」
田中「そうだ、それ僕も聞きたかったんですよ」
タプリス「この後はですね……」
-ラフィエルの家-
タプリス「人の生き方を語らせたら天界一、白羽=ラフィエル=エインズワース先輩に」
タプリス「道徳についてご指導いただきたいと思います!」
ラフィエル「あらあら~」
田中「えっ、天界一って?」
タプリス「あ、間違えました。て、天下一、です」
田中「そ、それ、すごくないですか」
ラフィエル「もう、そんなに褒めても何も出ませんよ、タプちゃん」
タプリス「いえいえ、本当のことですから!」
ラフィエル「……それにしても、この方が田中さん、ですか」
田中「よ、よろしくお願いします」
ラフィエル「もう見るからに、存在自体が、オモチャ――」
田中「えっ?」
ラフィエル「おほん、面白そうな芸人さんですね♪」
田中「いや、今、めっちゃ言い直しましたよね」
24 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:37:02.577 ID:
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ラフィエル「では今は、電撃離婚をされて、報道陣から逃げていると」
田中「はい。ですけどもう少し、オブラートに包んでほしかったです」
タプリス「えっ、田中さん、そうだったんですか!?」
田中「いやいや、千咲さんには最初に話しましたよね」
ラフィエル「とまぁ、田中さんは少し、周りの目を気にしすぎているようです」
ラフィエル「それではいつか、疲れ果てて倒れてしまいますよ」
田中「はぁ。で、でも、誰だってそうじゃないですか」
ラフィエル「人はですね、目の前で起こった出来事について」
ラフィエル「自分の感情を選ぶことができるんです」
田中「えっ、どういうことですか?」
ラフィエル「例えば、AさんとBさんの二人が、同じ映画を見ていたとします」
ラフィエル「Aさんはそれを見て涙して、Bさんはそれを見て大笑いしました」
田中「まあ、内容によっては、そういうこともありますよね」
ラフィエル「ではAさんは、その映画を見て大笑いすることはできるでしょうか」
タプリス「そ、それは、難しいのでは……」
25 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:39:57.625 ID:
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ラフィエル「そうですね、そのままでは厳しいかもしれません」
ラフィエル「ですが、大笑いしたBさんに」
ラフィエル「何が面白かったのかを聞いてみたら、どうでしょう」
田中「Bさんが笑ったツボを教えてもらうってことですか?」
ラフィエル「ええ、その映画の見方を変えて、ただ一点に集中すれば」
ラフィエル「Aさんにだって、笑うことはできます」
ラフィエル「つまり、その人の受け取り方しだいなんです」
田中「なるほど、それで感情が選べる、ってことですか」
田中「……でもそれって、すごく難しくないですか?」
ラフィエル「たしかに、始めは難しいかもしれませんが」
ラフィエル「そういう時は、自分を客観的に見てみると良いですよ」
田中「なんか昔、偉い人が言ってたようなフレーズですね」
ラフィエル「ある出来事で、ひどく落ち込んでしまった時に」
ラフィエル「部屋の真ん中に座って、その自分を天井から眺めているイメージをするんです」
田中「え、落ち込んでる自分を、上から眺めてても意味ないんじゃ」
ラフィエル「その通りです。ですから、部屋の中にいる自分が」
ラフィエル「平然と元気に日常生活を送っている姿をイメージします」
タプリス「元気へっちゃらでいる自分を、天井から眺めるってことですか?」
ラフィエル「はい、そうです」
27 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:43:17.577 ID:
x9N5zZI00.net
ラフィエル「そのイメージを何度も続けていると」
ラフィエル「しだいに元気でいる自分が、自分の中に定着して」
ラフィエル「イメージした通りの生活を送ることができるようになりますよ」
田中「なるほど、そんな方法があるんですか」
田中「もし、本当にきつくなったら、やってみたいと思います」
田中「これでも僕、妄想は得意ですから」
ラフィエル「そうですかそうですかぁ」
ラフィエル「離婚というものは、世間一般には負のイメージがありますが」
ラフィエル「心機一転、再スタートと考え方を変えて、前に進んでみてください」
田中「はい、ありがとうございました、白羽さん」
田中「オモチャには、子供の夢を叶える力があるってことですね」
ラフィエル「うふふ、わかっていただけたようで、何よりです」
タプリス「何事にもあまり反応しすぎないように、わたしも頑張ります!」
ラフィエル「タプちゃんは、目の前であたふたしてる姿がかわいいので」
ラフィエル「ぜひ、そのままでいてくださいね」
タプリス「もう、白羽先輩ひどいです!」
ラフィエル「……それで、この後はどちらに?」
田中「もう今までの内容だけでも、かなりためになりましたけど」
タプリス「そうですね……次で最後です!」
28 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:46:12.871 ID:
x9N5zZI00.net
-河川敷のグラウンド-
タプリス「身体能力だけはピカイチ! 胡桃沢=サタニキア=マクドウェル先輩に」
タプリス「田中さんを鍛えていただきたいと思います!」
サターニャ「だけは、って何よ、だけはって! 訂正しなさい!」
サターニャ「しかも何よ、特訓したいから川に来いって」
サターニャ「大雑把すぎじゃない?」
タプリス「それでも来てくれる胡桃沢先輩が、素敵です!」
サターニャ「そ、そう。まぁ、特に用もなかったし? 別にいいけど」
サターニャ「それで、このナヨナヨしたひょろノッポが、相手なの?」
田中「今日一番、グサってきました。否定はしないですけど」
タプリス「お父さんといえば、息子さんに格好良いところを見せたいですよね」
タプリス「格好良いところといえば、まさにスポーツをするところ!」
タプリス「そこでスポーツ万能の胡桃沢先輩に白羽の矢が立ったわけです!」
サターニャ「ふーん、なかなか見る目があるじゃない」
ビュンッ ザクッ
サターニャ「うわっ、な、なにこれ!?」
サターニャ「危うく刺さるところだったでしょ!」
田中「これ矢じゃないっすか。一瞬で避けるなんて、すごすぎですよ」
29 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:47:59.938 ID:rq2AMHIVK.net
白羽の矢(物理)
30 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:48:57.758 ID:
x9N5zZI00.net
ラフィエル「うふふ、安心してください。ちゃんと地面を狙いましたから」
ラフィエル「でもサターニャさんに当たったら、もっと面白かったかもしれませんね♪」
サターニャ「ぜんっぜん、面白くないわよ!」
タプリス「あれ、先輩たち!?」
ヴィーネ「あはは、見学に来ちゃった」
ガヴリール「はぁ……なんで私まで」
タプリス「というわけで、田中さん」
タプリス「何かこれがしたいっていう、スポーツはありますか?」
田中「そうですね、だったら……サッカーが良いです」
タプリス「サッカー、ですか」
田中「息子がサッカーをやっているので」
田中「一緒にボールを蹴りながら、良いところを見せられたらなって」
タプリス「なるほど、それはたしかにそうですね」
31 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:52:01.421 ID:
x9N5zZI00.net
タプリス「胡桃沢先輩も、それで良いですか?」
サターニャ「なはっ、当然。サッカーは得意中の得意よ」
サターニャ「でも、ただゴールを狙うだけでは面白くないわね」
田中「え、できれば普通でいいんですけど」
サターニャ「じゃあ、私から一度でもボールを取れたら、あんたの勝ち」
サターニャ「もし取れずに終わったら、私のテレビデビューに協力してもらうわ!」
タプリス「えぇ……そんな無茶苦茶な……」
田中「……わかりました。その勝負、受けて立ちます」
タプリス「ちょ、田中さんまで! 胡桃沢先輩、ほんとに運動神経はすごいんですよ?」
田中「サッカーやってる息子に良いところを見せるには」
田中「これくらい乗り越えないとダメだから」
タプリス「田中さん……」
サターニャ「ふふっ、その心意気だけは褒めてあげる」
サターニャ「でも、手加減は一切しないわよ!」
33 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:54:59.403 ID:
x9N5zZI00.net
ラフィエル「それでは準備はいいですか?」
田中「はい」
サターニャ「いつでもいいわ」
ラフィエル「……よーい、スタート!」
ダッ
サターニャ「ふふっ、来なさい!」
田中「……」ジリッ
ダダダッ スッ
田中「えっ? いない?」
ズサァッ
田中「いたたっ……、速すぎません?」
サターニャ「どんくさいわね……止まって見えるわ」
田中「その速さがスタンダードってことですか」
田中「でも、まだ始まったばかり。どんどん、いきますよ」
34 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 21:57:56.738 ID:
x9N5zZI00.net
-三時間後 夕方-
バタンッ
田中「ぜぇ……ぜぇ……」
サターニャ「あら、もう終わり? だらしないわね」
田中「やっぱり、僕には無理だったんですよ……」
田中「息子たちに格好良いところを見せるなんて」
サターニャ「……甘ったれるんじゃないわよ!!」
田中「えっ」
サターニャ「私はね、そういうナヨナヨした奴が一番、大っ嫌いなの!!」
田中「だけどもう、僕の負けは確実……」
サターニャ「良いこと教えてあげる。たとえ、私に勝てないとしても」
サターニャ「私に挑み続けていれば、あんたは負けることはないのよ!!」
田中「!?」
サターニャ「あんたが諦めない限り、あんたは絶対に負けない」
サターニャ「さぁ、どうするの?」
田中「……すみません、弱音、吐きました」
田中「もういっぺん! たのみます!」
サターニャ「ふんっ、来なさい!」
36 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 22:00:58.249 ID:
x9N5zZI00.net
田中「つぎ! もういっぺん!」
サターニャ「甘い、わっ!」
ズサァッ
――
田中「まだまだ! もういっぺん!」
サターニャ「くっ、やるわね! でも、無駄よ!」
ズサァッ
――
カァカァカァ
サターニャ「ぜぇ……ぜぇ、いい加減……諦めたらどう」
田中「はぁ……はぁ、まだ、まだ……」
田中「……あいつらだっていつも」
田中「このくらい必死になって、練習してるんだ」
37 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 22:04:37.959 ID:
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田中「僕だってぇぇぇぇぇっっ!!!」
ブンッ
サターニャ「そんなに足を振り上げたって、何も変わらな――」
むわぁ ぷーん
サターニャ「く、臭っ!? 何よ、この匂い!? あんたの足!?」
田中「ひ、ひるんだ!? チャンス!!」
田中「うぉぉぉぉぉぉっ!!」
スッ バシィィ
サターニャ「あぁっ、ボールが!?」
田中「よっしゃぁぁぁぁぁっ!!」
ラフィエル「勝者! 田中さんです!」
39 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 22:07:21.545 ID:
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サターニャ「まぁ、納得はいかないけど……あんたの勝ちは勝ち」
田中「ありがとう、胡桃沢さん」
田中「……挑み続けていれば、負けない」
田中「これからの、僕の信念にしたいと思います」
サターニャ「そう。まあ、せいぜいがんばりなさい」
――
タプリス「おめでとうございます、田中さん!」
田中「千咲さん、そしてみなさん……今日はありがとう」
田中「こんなダメダメな僕でも、色んなことを学ぶことができて」
田中「少しは父親としての自信がつきました」
タプリス「せ、先輩たちはたしかに、すごかったですけど……」
タプリス「わたしは何も……」
田中「いえ、あなたからは、一番大事なことを学ばせてもらいました」
タプリス「えっ」
40 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 22:09:58.001 ID:
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田中「それは、相手を思いやる気持ちです」
田中「見ず知らずの僕のために、ここまでしてくれて、ありがとう」
田中「子供たちには最優先で、この気持ちを教えていこうと思います」
タプリス「そ、そんな大層なものではないです」
タプリス「でも、少しでも助けになれたのなら、よかったです」ニコッ
田中「て、天使だ……」
――
田中「ああ、もう日が暮れそうですね」
田中「たぶん子供たちも家で心配していると思いますので」
田中「そろそろ、家に帰りたいと思います」
ラフィエル「これからも、面白おかしくがんばってくださいね」
ヴィーネ「テレビでのご活躍も期待してます!」
サターニャ「根性よ、根性! それを忘れないことね!」
ガヴリール「まぁ、てきとーになー」
田中「みなさん本当に、ありがとう!」
田中「それでは、また!」
41 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 22:13:02.678 ID:
x9N5zZI00.net
タプリス「田中さん!!」
田中「……?」クルッ
タプリス「田中さんはきっと、素敵なお父さんになれますよっ!!」
田中「ははっ、ありがとう!」
みんな「あ」
田中「え?」
デデーン♪
『田中、タイキック』
ダダダダダッ
キックボクサー「……」シュッシュッ
田中「ちょ、嘘でしょぉぉっ!!」
ブンッ ドゴォッ
田中「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」
絶対に笑ってはいけない舞天市
おしまい
44 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 22:36:01.711 ID:
x9N5zZI00.net
タプリスは生きてく強さ
42 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/03(水) 22:16:22.874 ID:SGEYg83e0.net
ワロタwwwwww乙
元スレ:
ガヴリール「千咲ちゃん、芸人の田中さんを激励する」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1493812841/