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緒方智絵里「遠く、遠く」ライラ「いつか、きっと」

1 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:13:49 ID:y3i

・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・描写について、複数のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります


-----事務所・中庭-----


緒方智絵里「…………」ガサガサ

智絵里「……うーん、見つからないなぁ……」ハァ

智絵里「もっと、別の場所も見てみたほうがいいかな……?」ガサガサ


ライラ「……あのー」

智絵里「ひゃあ!?」ステーン

2 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:14:52 ID:y3.3p.L1


ライラ「大丈夫でございますかー?」

智絵里「び、びっくりしたぁ……」ドキドキ

ライラ「驚かせてしまって、ごめんなさいですよ」

智絵里「う、ううん。こっちこそ……周り、誰もいないと思ってたから……」

ライラ「ライラさんは最近、気配を消す練習をしていたので、そのせいかもしれませんですねー」

智絵里「気配を消す……? どうしてそんな、忍者みたいなことを……?」

ライラ「公園で出会った少年たちと、ハトさんを捕まえる遊びをしたのでございます」

ライラ「本当はご飯をあげればすぐに懐いてくれるのですが、前にプロデューサー殿から、むやみにご飯を与えるのは良くないと言われたのでございますよ……」ショボン

智絵里「な、なるほど……?」

3 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:17:28 ID:y3.3p.L1
智絵里「でも確かに、公園のハトさんって、見ているとなんだか癒されますよね」

ライラ「チエリさんもそう思いますですか? ハトさんが地面をとことこ歩く様子は、かわいらしいでございます」

智絵里「ふふっ」

ライラ「ところで。チエリさんはここで、お探し物でございますですか?」

智絵里「う、うん。実は、そうなんです」

ライラ「それでは、ライラさんもお手伝いいたしますですよー」

智絵里「えぇっ。そんな……いいんですか?」

ライラ「助け合いは、大事でございますです。ライラさんも、日本に来て、たくさんの方たちに助けていだだきました」

ライラ「それに、よければチエリさんともっと、おしゃべりしたいですねー」

智絵里「ライラちゃん……ありがとうございます。えと、よろしくお願いしますっ」ペコリ

ライラ「はい、よろしくでございます」ペコリ

4 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:20:42 ID:y3.3p.L1
ライラ「さあ、はりきって四つ葉のクローバーを探すでございますですよー」

智絵里「あっ! あの、そ、そうじゃなくてっ」

ライラ「……? 四つ葉じゃなくて、五つ葉でございますですか?」キョトン

智絵里「ごめんなさい、ちゃんと説明しますね」

智絵里「今日はクローバー探しじゃなくって……落とし物を、探しているんです」

ライラ「落とし物、でございますですか」

智絵里「はい……。あ、落とし物っていうか、無くし物かな……?」

智絵里「実は、今日付けていたペンダントが、いつの間にか無くなっていて……。レッスンが終わって着替えるときにはあったから、どこかでチェーンが千切れちゃったのかもって」

ライラ「なるほど、それは大変でございますですねー」

智絵里「無くしたことに気付いたのはついさっきだから、落ちてるとしたら、その間に通ったこの辺りだと思うんだけど……」

5 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:22:26 ID:y3.3p.L1
ライラ「わかりました、ライラさんにお任せでございます。わたくし、探し物には自信がありますですよ」

智絵里「そうなの?」

ライラ「商店街の八百屋のおじさんに、新鮮なお野菜の探しかたを教わっているのでございます」

智絵里「そ、それはちょっと違うような……でも、心強いです。その、大事な物だから、どうしても見つけたくて……」

ライラ「では、わたくしはこちらの草の中を見てみますです」ガサガサ

智絵里「じゃあ、私はこっちを……」ガサガサ

ライラ「……」ガサガサ

智絵里「……」ガサガサ



ライラ「……おや」

智絵里「ライラちゃん? もしかして、見つかった?」

6 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:26:05 ID:y3.3p.L1
ライラ「見てくださいませチエリさん。タンポポが咲いていますですよ」

智絵里「本当だ……ふふ、可愛く咲いてるね」

ライラ「タンポポは、天ぷらにすると美味しいのでございますよー」

智絵里「そ、そうなんだ……」

智絵里「……あっ、でもタンポポ茶なら、よく淹れるかな。さすがに野草をそのままは使わないけど……」

ライラ「タンポポのお茶でございますですか。うーん……わたくしは、飲んだことがありませんですねー」

智絵里「だったら、今度ライラちゃんにもご馳走しますねっ。ほっとする味で、おすすめだから……♪」

ライラ「ありがとうございますです。楽しみですねー」

智絵里「お口に合うといいなぁ……ライラちゃんの国には、どんな飲み物があるんですか?」

ライラ「ドバイは暑いですので、熱いお茶はあんまりですねー。ライラさんは、ミントがたっぷり入った冷たいレモネードなどをよく飲んでいましたー」

智絵里「ミントかぁ……なんだかすごく、すっきりしそうだね」

ライラ「ひんやり気持ちいいのでございますよー。アイスと同じでございますです」

7 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:29:24 ID:y3.3p.L1
智絵里「そういえば、ライラちゃんはアイスが好きなんだっけ」

ライラ「アイスは素晴らしいものでございます……レッスンやお仕事のあとに食べるアイスは、ひときわ美味しいですねー」

智絵里「分かるなぁ。私もかな子ちゃんと一緒に、お仕事終わりに一緒にスイーツを食べたりするから」

ライラ「つまり、『美味しいから大丈夫だよ』というものでございますねー。ライラさん、日本のことわざも勉強中なのでございます」エッヘン

智絵里「こ、ことわざじゃぁない、かな……?」

ライラ「違うのですか? では、『働いたら負け』や、『煩わしい太陽ね』や、『はっぴー来い来いすまいるげーと』などは……?」

智絵里「……ライラちゃん、いろんな人たちに教えてもらってるんだね……」

ライラ「事務所のみなさんは、優しい方ばかりでございますねー」

智絵里「ふふ……♪ そうだねっ」

8 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:32:09 ID:y3.3p.L1


~~~


智絵里「それで、写真を撮ろうと思ったんだけど、ねこさん、植え込みの中に隠れちゃって」

ライラ「そのねこさんは、きっと恥ずかしがり屋さんだったのでございますね」

智絵里「そう言われると、なんだか他人事と思えなくなっちゃうなぁ……」

ライラ「チエリさんも、ねこさんの気持ちになるでございますですか?」

智絵里「そ、そっち……? うさぎさんの格好で撮影したことなら、あるけど……」

キラッ

ライラ「……! チエリさん、チエリさん。今、そちらのほうで何か光ったように見えましたですよ」

智絵里「ほっ、本当?」ガサガサ

ライラ「そちらの、左手のほうでございます」

智絵里「えぇと……」

智絵里「あっ! 見つけた……!」パァァ

ライラ「おー、おめでとうございますですー」パチパチパチ

9 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:35:02 ID:y3.3p.L1
智絵里「よかった……本当によかったです……! ライラちゃん、手伝ってくれて、ありがとうございました……!」

ライラ「わたくしも、チエリさんとたくさんおしゃべりできて、楽しかったでございますよー」

智絵里「……そういえば、探している間、ずっとおしゃべりしてましたね。ライラちゃん、聞き上手だから。私も楽しくなっちゃって……♪」

ライラ「……チエリさんのペンダント、とても綺麗でございますねー……」

智絵里「えへへ……そう言ってもらえると、嬉しいな。やっぱり、チェーンが壊れちゃってるけど、これくらいなら、お店に持っていけば修理できると思うから」

智絵里「……実は、このペンダント。両親からの、プレゼントなんだ」

ライラ「両親……チエリさんのママさんとパパさんでございますか」

智絵里「うん……去年、大きなステージでのライブが成功したお祝いにって……寮に送ってくれて」

ライラ「なるほど。素敵な贈り物ですねー」

10 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:36:18 ID:y3.3p.L1
智絵里「……私がまだ実家にいた頃、両親と、その……いろいろ、あって。会話もあまりしない時期があったんです」

智絵里「でも今は……二人とも、応援してくれてて。お母さんは、電話で……前よりもよく話すようになったし……」

智絵里「お父さんは……このペンダントと一緒に、お手紙で……『頑張れ』って、短い言葉だけでしたけど……嬉しかったなぁ」

ライラ「……」

智絵里「あっ、ごめんなさい……。こんな話を聞いても、困っちゃいますよね」

ライラ「そんなことはありませんですよ。……心がぽかぽかになる、素晴らしいお話でございますねー」

ライラ「チエリさんが、ママさんやパパさんのことを大好きなのが、伝わってきますですよ」

智絵里「えへへ……」

11 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:38:12 ID:y3.3p.L1
ライラ「……わたくしは、パパに内緒で、日本に来ましたです」

智絵里「ライラちゃん……?」

ライラ「ママは、それを手伝ってくれて……こちらでアイドルをしている写真を送ったら、お手紙も貰いましたです」

ライラ「けれど、今もまだ、パパには黙ったままなのでございます。見つかったら、きっと連れ戻されて、結婚させられてしまいますですねー」

智絵里「そんな……」

ライラ「でも……」

ライラ「いつか……いつか、わたくしがステージで踊り、歌う姿を、パパにも見てもらいたいですねー……。わたくしが、この国で、みなさんと一緒にアイドルができて、幸せだということを、教えてあげたいのでございますですよー」

智絵里「……」ギュッ

ライラ「……チエリさん? 握手でございますですか?」

智絵里「あのね、ライラちゃん……きっと、届くよ。ライラちゃんの気持ち」

智絵里「今は遠く、遠く離れていたとしても……家族なんだもん。きっといつか、伝わる日が来るよ!」

ライラ「……そうでございますね。いつか、きっと……」

12 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:42:30 ID:y3.3p.L1
ライラ「その時は、パパに紹介しなければなりませんですね。チエリさんや、アイドルのみなさん……プロデューサー殿に、チヒロさん。それに……」

智絵里「たくさんいるから、大変だね」クスッ

ライラ「パパは毎晩のようにパーティーでたくさんの人とお話していますですから、きっと慣れっこでございますです」

智絵里「そうなんだ……すごいね」

智絵里「あっ! そうだ、ライラちゃんに何かお礼しなきゃ……」

ライラ「お礼、でございますですか?」キョトン

智絵里「だって、長い間付き合ってもらっちゃったし……」

ライラ「おー、気にしなくてもいいのでございますのに。今日は、チエリさんと一緒にいられて、わたくしも嬉しかったのでございますよー」

智絵里「でも……」

ライラ「チエリさんは、優しいですねー」

13 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:43:20 ID:y3.3p.L1
ライラ「……でしたら、ひとつだけお願いを聞いてくださいますか?」

智絵里「はい! 私にできることなら、何でもっ」

ライラ「卵が欲しいのでございますです」

智絵里「…………えっ……たまご?」キョトン

ライラ「今日の卵の特売は、おひとり様1パック限り……チエリさんが一緒に来てくだされば、よりお得なのでございますねー」

智絵里「……ふふ、あははっ。分かりました! じゃあ、一緒にお買い物、行きましょうっ♪」

ライラ「おー、でございます!」



おわり

14 :名無しさん@おーぷん 20/04/28(火)04:43:48 ID:y3.3p.L1

以上、お付き合いありがとうございました。

現在開催中のシンデレラガール総選挙、及びボイスアイドルオーディション。
緒方智絵里とライラさんを、何卒よろしくお願い致します。


最近書いたの
椎名法子「ジャンボパフェに挑戦したい?」水本ゆかり「ええ」

こちらもよろしければどうぞ。



おーぷん2ちゃんねるに投稿されたスレッドの紹介です

元スレ: 緒方智絵里「遠く、遠く」ライラ「いつか、きっと」
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[ 2020/04/28 06:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)
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