2 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 09:19:35.27 ID:
Jn0r4ypAO
冬馬「冬馬でいい」
春香「え?」
冬馬「ライバルとはいえ、同期のアイドルだ。冬馬でいい」
春香「そっか……じゃあ、冬馬君」
冬馬「お、おう」
春香「私も、春香でいいよ」
冬馬「女を名前で呼び捨てるわけには、いかねえだろ」
冬馬(もしそういう時があるなら、それは……)
春香「そういう事、すごいこだわるんだね」
冬馬(天海を、俺の彼女にした時だ……)
3 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 09:26:28.33 ID:
Jn0r4ypAO
冬馬「うるせえ。それで? なんの用だよ」
春香「あ、うん……ええと……」
冬馬(な、なんだ!? 天海のヤツ、急に真っ赤になりやがって。もしかしてこれは……)
春香「冬馬君、誕生日のプレゼントって何をもらうと嬉しい?」
冬馬「は?」
春香「男の人の……まだお父さんとかよりずっと若い人の好みって、よくわかんなくてー……」
冬馬「……オマエらんとこの、プロデューサーか」
春香「な、なっ、なんでわかるの!?」
冬馬「まあ……そうだろうなあ、って」
春香「そんな……私、わかりやすい?」
冬馬「ミエミエ」
春香「はうう……////」
冬馬(そうか……)
春香「あの、このことは……」
冬馬「言わねえよ。別に」
春香「ありがとう……うん」
5 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 09:35:48.47 ID:
Jn0r4ypAO
そして
春香「今日はありがとう。アドバイスもらえたから、ちょっと自信あるプレゼント買えたよ」
冬馬「別にいいって。……天海」
春香「え?」
冬馬「上手くいくと……いいな」
春香「うん。ありがとう」
冬馬「あのプロデューサーさ、すげーよな。アイツのせいで、ジュピターは……961プロは大変だぜ」
春香「敏腕だよね。いつも私……達の為に一生懸命だし。だから、頼れるし……夢や将来を託して一緒に歩んでいけるんだ」
冬馬「……そうか」
春香「本当に、ありがとうね。また改めてお礼、するから」
冬馬「だから別にいいって。じゃあな」
6 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 09:39:01.86 ID:
Jn0r4ypAO
冬馬「……」
ピッ
冬馬「もしもし。ああ、俺だ。あのさ……今日、時間あったら会ってくんねーか?」
冬馬「ちょっと……相談にのって欲しいんだよ」
冬馬「ああ。悪いな」
ピッ
P「よお、悪かったな。遅くなった」
冬馬「いや、無理言って来てもらったのは俺だしな。こっちこそ悪かった」
P「なんだ? 今日は妙にしおらしいな。ははは」
冬馬「……俺、普段そんなに威張ってるか?」
P「いや、冗談だって。それにしても、結構いい店を知ってるんだな。個室があるとは便利だ」
冬馬「やっぱそこは芸能人だしな。それに、これから俺がする事は……誰にも見られたくねえからな」
P「? これからする事?」
7 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 09:43:46.43 ID:
Jn0r4ypAO
バッ
P「な、なんだよ冬馬! 土下座なんかして」
冬馬「頼む! 俺にプロデュースってヤツを教えてくれ!! 俺、プロデューサーになりてぇんだよ!!!」
P「は? はあ?」
冬馬「ワケは言えねえ。けど、俺は真剣だ。この通りだ、俺にあんたのノウハウを仕込んでくれ!」
P「……この事、黒井社長は?」
冬馬「っ! い、言ってねえ」
P「961プロは、プロデューサーはおかない主義だろう? 個々人が自身の判断と行動でトップを目指す、いわば孤高を理想としている」
冬馬「……そうだ」
P「まあ、もう起きて座れ。それじゃ話しにくい。言えないって言うなら訳は聞かないが、プロデューサーになるのは961プロの理想に反する。冬馬は、961プロを辞めるのか?」
8 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 09:49:29.01 ID:
Jn0r4ypAO
冬馬「そんなつもりはねえ! けど、プロデューサーにはなりてぇんだよ!!」
P「……俺もまだ若いつもりだったが、やっぱり更に若いな冬馬は」
冬馬「は?」
P「言ってる事はメチャクチャだが、気持ちは伝わった。わかった……教えてやるよ、プロデュースを」
冬馬「あ、ありがてえ。恩に着るぜ」
P「ただ、この事は765プロにも961プロにも内緒だ。俺も敵対するライバルプロダクションの人間に、プロデュースを仕込んでいるのを知られたくはない。冬馬も黒井社長に知られたくない。そうだろう?」
冬馬「そりゃもちろんそうだが、じゃあどうすんだよ?」
P「俺に考えがある」
9 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 11:37:46.97 ID:
Jn0r4ypAO
高木「あー、みんな聞いてくれ。今日から不定期だがプロデューサーとして、新しいスタッフが加わってくれる事になった」
あずさ「ちょっと~……」
やよい「ぅっぅー」
貴音「面妖な……」
雪歩「ま、真ちゃん……」
真「雪歩、ボクの後ろに隠れてて」
真美「クスクス」
亜美「ゲラゲラ」
千早「……」
春香「?」
高木「あーっと……君、名前はなんと言ったかな」
X「謎の覆面プロデューサーX、だ。いや、です」
高木「うむ。みんな、仲良くしてやって欲しい。謎の覆面プロデューサーX君も、がんばるように」
10 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 11:39:53.44 ID:
Jn0r4ypAO
律子「ちょっと待ってください、社長!」
高木「? なにかね」
律子「この目の所だけ穴の空いた紙袋を被った不審者、これが新しいプロデューサーだって言うんですか!?」
伊織「……?(誰よアイツ……見ない紙袋ね……)」
高木「いかにも。この既成の概念を覆す斬新な風貌……ティンときたよ」
律子「斬新通り越して、要注意人物ですよ。こんな不審者、どこの局やスタジオも相手にしてくれませんよ!」
X「おい、メガネ女」
律子「は?」キッ
X「じゃなかった、秋月。人を見た目で判断するのは、感心しねーな……しませんよ」
律子「その前に、人なんですか? あなたは」
11 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 11:49:06.72 ID:
Jn0r4ypAO
P「まあまあ律子、当面は俺のバックアップというか指導を受けてもらうからさ」
律子「プロデューサーの、ですか?」
P「それにさ、実は彼……事故で顔に酷い火傷痕があるんだ。それで仕方なく……」ヒソヒソ
律子「! そうだったんですか。ごめんなさい、知らなかったとは言え」ペコリ
X「? 別にいいぜ……ですよ。よろしくお願いします」
律子「ほら、みんなも!」
あずさ「よろしく……」
真美「おねがい……」
亜美「……します」
響「だぞ」
千早「……」
春香「?」
P「さあ、それじゃあ仕事だ。竜宮小町以外の者は、今日はダンスレッスンだからな」
12 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 11:53:50.60 ID:
Jn0r4ypAO
真「へへっ、やーりぃ!」
響「真、負けないぞ!」
雪歩「うう……2人ともダンスが得意でいいなあ」
やよい「雪歩さんも、最近はすごいじょうたつしたと思いますよー?」
真美「そ→そ→」
千早「ヴォーカルレッスンじゃないのね……」
春香「がんばろうよ! ね」
レッスン場
P「今日はまず、手本を彼にやってもらう。全員、よく見ておけよ」
響「え!?」
美希「そこの人、踊れるの?」
P「ああ。頼むぞ、謎の覆面プロデューサーX。曲は『I Want』だ」
春香「私の曲ですか?」
X(天海の曲なら、毎日DVDで見てるからな。フリもよくわかるぜ)
13 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 11:55:54.41 ID:
Jn0r4ypAO
♪ まるで荒れる波頭のように♪
♪ 背筋つらぬき 心狂わす出逢い♪
♪ そう出逢い♪
響「えっ!?」
真「フリも完璧だけど、身体のキレが凄い!」
真美「え→! カッコE!」
千早「春香より上手いわね」
春香「うう……否定できない」
美希「……の」
P「どうした? 美希?」
美希「あの人、踊っているとキラキラしてるの」
P「……そうか。わかるか」
美希「フリだけだから歌ってないし、顔だって見せてないのに……どうしてなの?」
P「そりゃあ、あいつのダンスが凄いからだろうな」
美希「ダンスだけでも、キラキラできるの?」
P「そのダンスが本物の一流なら、な。今日はみんなにそれをわかってもらいたかった」
美希「……ミキ、今日はダンスをがんばりたいって思うな」
P「よし」
14 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 11:57:56.23 ID:
Jn0r4ypAO
X「っと、こんなもんだな。あれ?」
パチパチパチパチ☆☆☆
真「すごい! すごいですよ!!」
響「あのサビの所、もっかい見せて欲しいぞ!」
美希「ミキは、Xプロデューサーと一緒に踊ってみたいの」
X「お、おう。いや、はい」
千早「私にも……ダンス、教えてもらえますか」
真美「ええ→(゜゜;) 千早お姉ちゃんが、自分からダンスを!?」
千早「み、魅せるステージ作りには、歌だけじゃなくてそういう要素も必要よ」
P「そうだな。頼むぞ、謎の覆面プロデューサーX」
X「え? あ、ああ。いや、わかりました。よし、じゃあ頭からいくぞ」
春香「……?」
PERFECT COMMUNICATION☆☆☆
15 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/14(水) 12:06:51.00 ID:
Jn0r4ypAO
P「あれですっかりみんなと打ち解けたな、さすがだ」
冬馬「まだなんにも、プロデューサーらしいことしてねえけどな」
P「何を言ってるんだ。担当アイドルとコミュニケーションをとって、思い出を増やすのも大事な仕事だ」
冬馬「そういうもんなのか?」
P「まあいつまでもそれだけではダメだからな、明日はこの仕事をやってもらう」
冬馬「? 高槻の番組のゲスト選びと、段取り?」
29 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:07:22.35 ID:
DIbSPBDp0
春香「千早ちゃんが料理番組に!?」
千早「どうしよう……」
春香「Xプロデューサーさん! そういう仕事なら、やよいか私が」
X「その高槻の番組のゲストなんだよ。それにその日、天海はグラビア撮影」
春香「でも!」
千早「そうです。私も高槻さんの番組、いつも見ていますけど、なぜ私が」
X「歌がうたえる。今度のCDのプロモの一環だ。」
千早「!」
X「具体的には『5分間蒸し上げます』の時間に『ではこの待ち時間を利用して、ゲストの千早さんに新曲を歌ってもらいたいとおもいまーす』って流れだ」
千早「やります!」
春香「千早ちゃん!?」
千早「テレビで生でうたえる機会。私、やりたいです」
30 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:09:14.17 ID:
DIbSPBDp0
X「如月なら、そう言うと思っていたぜ……いたぞ」
千早「がんばります、Xプロデューサー」
春香「ちょ、ちょっと待ってください!」
X「どうした? 天海」
春香「趣旨は理解できました。でも、生放送の料理番組でいかにゲストといえども、まったく料理をしないわけにはいかないんじゃないですか!?」
X「そりゃそうだ」
春香「それはつまり、千早ちゃんも料理をするってことですよね?」
X「そうなるな」
春香「そんなのムリですよ!!」
X「……随分とハッキリ言うな」
千早「……くっ」
春香「千早ちゃんだって、練習や経験を積めばできるようになると思いますよ? でも、今の千早ちゃんは生活のほとんどを歌に費やしているわけじゃないですか」
31 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:10:21.36 ID:
DIbSPBDp0
千早「そうね。否定はしないわ」
春香「それなのに、テレビでいきなり料理はハードル高過ぎですよ」
X「やっぱり、そうかな。じゃあこの話は、別の……」
千早「待ってください! 私だって独り暮らしです。料理だって、春香ほどではなくてもある程度はできます!」
X「そうなのか? じゃあ……ちょっとお手並みを披露してくれよ」
千早「わかりました。では、ちょっと買い出しに行ってきます」
X「……行ったか。天海、正直な所どうなんだ? 如月の料理」
春香「私が前に千早ちゃんの家に泊まった時、一緒に料理しましたけど……あんまり手慣れていない印象を」
P「ヘタではないんだよな?」
春香「そうなんですけど、あまり食事とか料理に興味が無いみたいで」
X「歌以外の事に、あんまり関心が無いんだよな。それはそれで如月の凄い所でもあるんだが……」
32 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:11:35.98 ID:
DIbSPBDp0
千早「ただいま、帰りました」
X「如月!? は、早いな!」
千早「そこのコンビニでしたから」
X「そ、そうか……コンビニ?」
千早「では給湯室で、調理してきます」
春香「う、うん」
X「……コンビニに食材とか、売ってねえだろ?」
春香「最近は、野菜とかある所もありますけど……」
千早「出来ました」
X「なっ! はっ、早いな!!」
千早「味を見て下さい」
春香「これは……ポタージュスープ、かな?」
X「へえ、所々に野菜の赤や緑が溶け込んで……どれどれ? うん!」
33 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:13:20.01 ID:
DIbSPBDp0
春香「美味しいですよ、普通に。ジャガイモの味がいきてて」
X「凄いじゃねえか、あの短時間でこの味は」
春香「若干、塩味が強くて油っこい気もするけれど……若いんだからこのぐらいの方が美味しく感じるよね」
千早「良かった」
X「これ、どうやって作るんだ?」
千早「簡単です。まずこのじゃがりこを……」
X「じゃがりこ?」
千早「牛乳に入れて、レンジで……」
春香「レンジ?」
チーン☆
千早「完成です」
X「……」
春香「……」
34 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:15:05.83 ID:
DIbSPBDp0
千早「この料理で、高槻さんの番組に……」
X「……いや」
春香「これ、料理って言えるかな?」
千早「えっ!?」
X「料理ってのはなあ。ほら、もっとなんていうか……ちゃんと……」
千早「?」
春香「原材料が、お菓子っていうのは良くないと思うよ。うん」
千早「そうなの?」
X「す、スポンサー企業の兼ね合いとかあるじゃねえか……」
千早「わかりました。では、他の料理を」
X「……また、給湯室に」
春香「普段も、ああいう食生活なんでしょうか? 私、親友として心配になってきました」
35 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:16:11.71 ID:
DIbSPBDp0
千早「出来ました」
X「あっ! あいかわらず、早いな!!」
千早「味を見て下さい」
春香「これは……また、ポタージュスープ?」
X「へえ、所々に今度は本物の野菜が……それに、今度は挽肉も混ざってるな。クルトンぽいものも浮いてるし。どれどれ? おお!」
春香「美味しいですよ、普通に。ジャガイモの味がいきてて」
X「凄いじゃねえか、あの短時間でこの味は」
春香「若干、油っこい気もするけれど……若いんだからこのぐらいの方が美味しく感じるよね」
千早「良かった」
X「これ、どうやって作るんだ?」
36 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:17:29.70 ID:
DIbSPBDp0
千早「簡単です。まずこのコンビニで買った、野菜コロッケを……」
X「野菜コロッケ?」
千早「牛乳に入れて、レンジで……」
春香「レンジ?」
チーン☆
千早「すこし崩して、完成です」
X「……」
春香「……」
千早「この料理で、高槻さんの番組に……」
X「……いや」
春香「これ、料理って言えないよね?」
千早「えっ!?」
X「料理ってのはほら、もっとなんていうか……ちゃんと……」
千早「?」
37 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:18:39.74 ID:
DIbSPBDp0
やよい「うっうー! みなさん、かえりましたー! いぇい☆」
P「おかえり、やよい」
やよい「あ、みんなでお昼ごはんですか?」
千早「高槻さんの番組に、私が出る為に作ったんだけど……」
やよい「あ、そうでしたねー。私、千早さんと番組でお料理できるの、とーっても楽しみにしてますねー」ニコニコ
X「うっ……」
春香「やよいには……言えない。千早ちゃんの、料理の腕前のこと……」
X「と、とにかくだ。如月、少し料理のレッスンをやるぜ」
千早「え? は、はい」
春香「行こう、千早ちゃん」
38 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:20:15.98 ID:
DIbSPBDp0
X「まずは基本からだ。如月、俺達は日本人だから和食の基礎からいくぞ」
千早「わかりました」
X「和食には俗に『和食のさしすせそ』と呼ばれるものがある、和食の基本となる味付けの頭文字を並べると『さしすせそ』になるんだ」
千早「そうなの? 春香」
春香「うん。やよいの『お料理さしすせそ』っていう番組名も、そこからきてるんだよ」
千早「知らなかったわ……」
X「じゃあまずは、如月の料理に対する感性を試すぜ。別に正解で無くていいから、さしすせそが何を指しているか言ってみろ」
千早「え?」
X「天海、頼むぜ」
春香「はーい。じゃあ千早ちゃん、いくよ」
千早「え、ええ」
39 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:21:51.95 ID:
DIbSPBDp0
春香「和食のさしすせそ、の『さ』ー!」
千早「……さっぱり?」
X「……そうだな。ま、和食だから『さっぱり』……まあアリだな。うん」
春香「和食のさしすせそ、の『し』ー!」
千早「……しっかり?」
X「あれー? おかしくね? 今、『さっぱり』って言ったよな。なんで急に『しっかり』に方向転換したんだろうなー? あれー?」
春香「和食のさしすせそ、の『す』ー!」
千早「……スッキリ?」
X「そうだよな! 和食だから『すっきり』!! な、路線も元に戻ったよな。いやー良かった良かった。安心したぜ」
春香「和食のさしすせそ、の『せ』ー!」
千早「……せいいっぱい?」
X「根性論かよ! 精神的な問題になっちゃったのかよ!!」
40 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:23:48.63 ID:
DIbSPBDp0
春香「和食のさしすせそ、の『そ』ー!」
千早「……ソース?」
X「和食だっつてんだろ!!!」
千早「きゃっ!」
春香「Xプロデューサーさん、そんな怒鳴らなくても」
X「あ、ああ。すまねえ、如月。けどな、もう少しお前……君は食というものを真剣に考えるべきだぞ」
千早「そう、ですか?」
X「食事は生きていく上での基本だぜ、それに喜びでもある」
千早「喜び?」
X「高槻の料理も、ありゃあ家族のための料理だ」
千早「はあ」
X「……言葉で説明するより、実地で見せた方がいいな。見てろ」
タンタンタンタンタン トントントントントン
春香「うわ、Xプロデューサーさんすごい」
41 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:24:58.60 ID:
DIbSPBDp0
X「俺は自炊してるからな」
千早「私もしていますが……」
X「如月のは料理じゃねえ。料理ってのはな、食べる相手の事を思ってやるもんだ」
ジャージャー
X「俺は自分で食べる為の自炊でも、俺自身が美味いと思えるように作るぜ。如月のは……栄養と食べやすさしか考えてねえだろ」
千早「それは……」
X「歌やダンスでも、一緒だぜ。自分だけが、楽しけりゃいいってもんじゃねーだろ? 聞いてくれるヤツ、見てくれるヤツの事を考えなきゃな」
春香「うわ、美味しそう」
千早「……」
X「肉と野菜、炒めただけだが美味そうだろ? 天海、如月、食ってみろよ」
春香「はーい。! ……うん、美味しいですよ!」
42 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:26:22.60 ID:
DIbSPBDp0
千早「……本当」
X「如月がその気なら、教えるぜ?」
千早「はい! 教えてください。でも……」
X「ん?」
千早「高槻さんの番組の件は、辞退させてください。お願いします」
X「……いいのかよ?」
千早「今からでは、間に合いませんから。でも……私もちゃんと会得したいです、相手のことを思うという事を。どうしても!」
春香「おおー……ち、千早ちゃんが燃えてる……」
X「と、なると……高槻の番組のゲストは……」
千早「?」
春香「?」
44 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:28:36.47 ID:
DIbSPBDp0
カメラマン「ハーイ千早ちゃーん、恥ずかしがってる表情もいいけど、もう少し大胆にしてくれるかなー」
千早「はぃ……//」
カメラマン「いやー千早ちゃんはグラビアのお仕事、あんまりしてくれないから、すごい貴重な体験。嬉しいなー!」
千早「どぅも……////」
カメラマン「スレンダーで魅力的だよ。はい、もっと笑顔! 笑顔!」
千早「ぅぅ……//////」
カメラマン「今回は、春香ちゃんの代わりって事らしいけど、千早ちゃんのグラビア! これ、大反響間違いなしだよ!!!」
千早「は、春香ぁ……は、はずかしぃ……////////」
千早(だけど今日は、春香の代理のお仕事なんだから……がんばらないと)
NORMAL COMMUNICATION☆
45 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:30:24.47 ID:
DIbSPBDp0
やよい「高槻やよいの、お料理しゃ……さしすせそ! 今日はゲストに765プロのお姉さん。春香さんが来てくれましたー!!」
春香「こんにちは、天海春香です。今日はよろしくね、やよい」
やよい「はい! 春香さんは、お菓子とか作るのがとーってもじょうずなんですよねー」
春香「うん。お菓子なら、ちょっと自信あるかな。それで? 今日は何を作るのかな」
やよい「今日のメニューは、『おでん』ですよー」
春香「……お菓子じゃないんだ」
やよい「はうあ! ごめんなさい、春香さん」
春香「ううん、ちょうどいい機会だよ。この天海春香、お菓子作りだけじゃ無い所を今日は見せちゃう、ね☆」
X「……女神だ。女神があそこにいやがる……」
やよい「じゃあまずは、おだしをとっていきますねー。えへへ」
X「女神のまわりを、天使が……なんだここ、天国か? 極楽か?」
46 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:32:05.68 ID:
DIbSPBDp0
収録後
春香「Xプロデューサーさん、どうでしたか?」
X「……菩薩……如来……輪廻……涅槃……」
やよい「? Xプロデューサー?」
X「はっ! お、おお、終わったのか」
春香「え? もしかして、見ていてくれなかったんですか?」
やよい「えー!?」
X「い、いや、見てた、見てたって!」
春香「……ホントですか?」ジー
やよい「あ、今日はとってもおいしそうにできたと思うんですけど、どうでしたかー?」
X「お、おお。美味そうだったぜ」
春香「……どの具がですか?」ジー
X「ど、どの具って、ほら、あれだ、その……」
やよい「?」
X「し、し……し……」
春香「し?」
48 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:36:10.17 ID:
DIbSPBDp0
X「シラタキとか……」
春香「……」
やよい「あの、Xプロデューサー? 今日のおでんに、シラタキは……」
春香「……帰ろう、やよい」
やよい「あ、はい……」
X「……し、しまったあああぁぁぁーーーっっっ!!!」
BAD COMMUNICATION★
50 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/15(木) 00:38:15.80 ID:
DIbSPBDp0
P「ま、最初はそんなもんだ。そう落ち込むな」
冬馬「自分で自分が情けねえ……担当アイドルに見とれて、我を忘れてたなんてな。もうアイツらに顔向けもできねえよ」
P「たった1回の失敗で、もう泣き言か」
冬馬「……なんだよ。笑ってんのかよ」
P「俺も、そうだったからな」
冬馬「本当かよ……」
P「最初から、失敗しない奴なんていないさ。それよりこれを、次回に活かせ」
冬馬「次回……」
P「そういう事を教わりに、765プロに来たんじゃないのか?」
冬馬「……そうだな。そうだったな」
P「それに、彼女たちが魅力的なのは俺にもよくわかる」
冬馬「あ?」
P「だからもう、落ち込むな。そして次の仕事だ」
冬馬「……四条の売り出し?」
71 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:14:25.56 ID:
JteE1SOs0
貴音「しゃいにーふぇすたで、わたくし妹にお土産を買いました」
春香「貴音さん、妹がいるんですか」
貴音「ええ。互いに忙しくなかなか会う機会は無いのですが、いつでも渡せるよう常に持ち歩いています」
伊織「貴音の妹、ねえ。やっぱり貴音に似てるの?」
貴音「どうでしょうか……? わたくし達はさほど似ているとは思わないのですが、周囲からは姉妹なので似ていると言われますね」
真美「あ→わかるわかる」
真「え?」
亜美「他人から見ると姉妹って、そんなに似てなくてもそう言われちゃうんだよね→」
響「……真美と亜美は、そっくりだぞ。双子なわけだし」
真美「ぶ→! またそう言われる」
亜美「しょせん他人は、亜美たちのごくひょうめん的なトコしか見てないんだよね→」
あずさ「別にそんな事はないんだけど~」
春香「ねえ」
貴音「わたくしも、真美と亜美は色々と違って見えますよ」
響「貴音……目はあんまり良くないのに、そういう所は鋭いぞ」
72 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:15:12.97 ID:
JteE1SOs0
雪歩「あ、Xプロデューサー。おはようございます」
X「おう……おはよう萩原、それからみんな」
一同「「おはようございます」」
X「四条……ちょっといいか」
貴音「なんでしょうか? えっくすぷろでゅうさぁ」
X「ネットでまた、四条がお忍びでラーメン食べている所が流出してたぞ」
貴音「そうですか」
X「……反省は?」
貴音「わたくし、なにもやましいことはしておりませんが」
X「まあ別にラーメンの食べ歩きが、悪いわけじゃねえ」
貴音「はい」
X「アイドルのイメージってモンもあるが、四条の高貴な雰囲気とラーメンという庶民的な食べ物ののギャップもいいさ」
貴音「はい!」
73 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:15:56.50 ID:
JteE1SOs0
X「けどな、同じ店で有名アイドルが3杯もラーメン食べるのは問題だぜ」
貴音「どれも美味しそうで、ひとつに絞れなかったもので……」
X「そのすぐ30分後に、別の店にいる所がツイッターで広まっているんだが……」
貴音「行きたい店が、ひとつに絞れなかったもので……」
X「そこでは4杯食べたな?」
貴音「まことに申し訳なく……」
X「そして夜には、3店で7杯食べたろ」
貴音「まあ、4店目は隠しおおせたのですね」
X「……四条」
貴音「はい」
X「物事には、限度ってモンがある」
貴音「承知しております」
X「俺は新曲の『edeN』に合わせて、四条に小悪魔系路線を考えていたんだが」
貴音「大人の魅力、ですね。わたくし、嬉しいです!」
X「最近の、ネットでの四条のあだ名は『食欲魔神』だ」
貴音「……」
74 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:17:28.19 ID:
JteE1SOs0
X「小悪魔路線でいこうと思っているのに、あだ名が魔神ってどうなんだよ!?」
貴音「申し訳ありません」
X「なあ、四条。さっきも言ったが、ラーメンの食べ歩きが悪いわけじゃない。俺だって食う」
貴音「お互い芸能人でも、らぁめんは食べたいものですからね」
春香「……」
X「けどな、今や貴音も有名人だ。人前での行動は、慎重に頼むぜ」
貴音「あいわかりました。えっくすぷろでゅうさぁの窘めを、わたくしも重く受け止めます」
X「それでいい。時間をとらせたな」
貴音「………………」
貴音「わたくしも、まだまだ未熟でした。自らの欲望に自らが負けてしまうなど、あってはならない事でした……」
貴音「慢心……わたくしは、なんと思い上がっていたのでしょう」
貴音「そしてその事で、えっくすぷろでゅうさぁにまで心痛を……」
貴音「わたくし、決めました!」
75 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:18:16.59 ID:
JteE1SOs0
貴音「わたくし、らぁめんを絶ちます!!!」
76 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:18:57.53 ID:
JteE1SOs0
貴音「そして思い上がった自分自身を忘れるため、初心に戻ります」
貴音「とっぷあいどるという立場は忘れ、明日からは一介の駆け出しに戻りがんばります」
翌日
貴音「新たな第一歩。生まれ変わったわたくしとして、いざ参りましょう!」
貴音「初めまして」
春香「はーい。って、あれ? 貴音さん?」
貴音「初めまして、天海春香」
春香「? 初めまして? あの、貴音さん?」
貴音「わたくし、四条……」
春香「あーーーっっっ!!!」
貴音「な、なんですか?」
春香「わかった! わかりましたよ!!」
77 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:19:57.21 ID:
JteE1SOs0
春香(昨日、貴音さんが言っていた妹さんだよきっと!)
貴音(流石は、天海春香。わたくしの心境を即座に理解してくれたのですね!)
春香「はじめまして! 私、天海春香です」
貴音「無論、存じております。今後とも、よろしく」
春香「あ、はい。こちらこそ」
春香「それにしても……」
春香(どう見ても、貴音さんそのものだよ。昨日も言ってたけど、やっぱ本人達にとっては全然似てないって思うものなんだな)
貴音「なにか?」
春香「いえいえ。どうぞお座りください」
貴音「これはどうも」
78 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:20:49.74 ID:
JteE1SOs0
X「で、あれがその四条の妹ってわけなのかよ?」
雪歩「本当に、貴音さんにそっくりだね」
伊織「というか、あれ貴音じゃないの?」
春香「それが違うんだよ、見てて」
やよい「うっうー! お昼なんですけど、カップラーメンでいいですかー?」
貴音「高槻やよい……申し訳ありません。わたくしは、らぁめんなどというものは食べません」
やよい「ええー! そうなんですか!?」
貴音「昼食は、持参いたしましたこのお弁当で」
やよい「……それだけで足りますかー?」
貴音「ええ。大丈夫ですよ」
春香「……ね」
伊織「あのお弁当箱……普通の女性用サイズじゃないの」
X「確かにあれは、四条じゃねーな」
雪歩「本当に、姉妹だからっていっても何から何まで一緒じゃ無いんだね」
79 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:22:15.51 ID:
JteE1SOs0
やよい「私は、失礼してカップラーメンをいただきますねー」
貴音「どうぞ」ジー
やよい「ほんとうは私も、おべんとう作りたかったんですけど、みんながおもったよりもあさごはんをたくさんたべちゃったんで、新しく炊くのも大変だしぶしょうしちゃいましたー!」
貴音「そうなのですか」ジー
やよい「お湯をそそいで……っと。あとは3分、まつだけですー」
貴音「5分です」
やよい「え?」
貴音「そのかっぷめん、『特濃らぁめん・あっさり』はお湯を注いで五分でできあがりです」
やよい「あ、ほんとうにそう書いてありました。ありがとうございます」
貴音「いえ。らぁめんは、制作者の意図した完全なる食し方に従うのが最良ですから」
やよい「……ラーメン、好きなんですか?」
貴音「いえ。わたくしは、らぁめんなどというものは食したりいたしません」
やよい「? そうなんですか……」
貴音「ですが、最近はねっとでらぁめんの情報を読んだりいたします」
やよい「あーブログとかあるんですよねー」
貴音「ええ。らぁめんに関するぶろぐは、どれもらぁめんへの愛に満ちており、読むだけで私は腹が高鳴る思いです」
やよい「わー。私、ケータイとかパソコンとか持ってないから、そういうのうらやましいです」
80 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:23:14.51 ID:
JteE1SOs0
貴音「ですが中には、看過し難きぶろぐもまたあるのです」
やよい「え?」
貴音「特にあの、麺吉なる者のぶろぐにはわたくし、怒りを禁じ得ません!!!」バン
やよい「はぅあ! こ、こわいですー……」
貴音「はっ! す、すみません。わたくし、少々興奮したようで」
やよい「いいえー。あの、ラーメンに興味があるんですね?」
貴音「それは……そう、興味はあります」
やよい「私のカップラーメン、少しどうですか?」
貴音「いいえ! わたくし、らぁめんは決して食べません!!」
やよい「そうですかー……」
貴音「ですが……」
やよい「はい?」
貴音「その……香りをかがせていただいても、よろしいでしょうか?」
やよい「え? あ、ど、どうぞ」
貴音「……なんと芳しい香り……ああ」
81 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:24:00.27 ID:
JteE1SOs0
やよい「もう少し、近くからどうぞー」
貴音「忝ありません。おお!」
やよい「私、カップを持ち上げてあけけますね」
貴音「ああ! ああ!! ああ!!! なんという、なんという香り……香りが……香る……」
やよい「スープを一口飲むと、もっと香りがよくわかるとおもいますよー!」
貴音「それはなりません! わたくし、らぁめんは食べない事に……」
やよい「食べませんよー。ちょっと味見をするだけですよ」
貴音「味見?」
やよい「はーい。私もお料理をするときは、味をかくにんしますけど、それはお食事をしたたことにはなりませんよ」
貴音「なるほど、どのようなものか確認の為にすぅぷだけを」
やよい「そうですよ。お味見は、お食事じゃないですから」
貴音「では一口だけ」
やよい「はい、あーんしてください」
貴音「あーん」ズズッ
やよい「どうですかー?」
82 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:24:41.64 ID:
JteE1SOs0
貴音「……あっと言う間に、飲み込んでしまいました」
やよい「じゃあ、味は……」
貴音「申し訳ありません」
やよい「いいですよー。じゃあもう一口」
貴音「! よろしいのですか!?」
やよい「もちろんですー。はい、あーん」
貴音「あーん」ゴクゴク
やよい「こんどは、どうでしたかー?」
貴音「あ」
やよい「? どうしました?」
貴音「麺がひとすじ、口の中に」
やよい「それぐらい、だいじょうぶですよー」
貴音「そうですよね、これは味見。味見なのですから」
83 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:25:51.85 ID:
JteE1SOs0
伊織「何のかんの言っても、やっぱり姉妹よね」
雪歩「そうだね」
春香「というか……」
X「あれ、四条だろ?」
伊織「そう言われると……」
雪歩「響ちゃんなら、一目で見抜くと思うんだけど……」
X「おい、高槻」ヒソヒソ
やよい「あれー? Xプロデューサー」
X「ちょっと代われ。ラーメンは後で、俺がやるから」ヒソヒソ
やよい「? あ、はい」
X「さあ、麺も一口味見をしてみろよ」
貴音「そうですね、味見。味見だけなら……」ズルズル
X「チャーシューもほれ」
貴音「最近は、具だけが別袋で入っていてれとると言えど、再現度が高いですね」ハムハム
X「具を食べた後の麺の風味も、しっかりと味見を」
貴音「そうですね。そうですとも!」ズルーッ
X「そしてスープも」
貴音「無論です」ゴクゴクゴク
84 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:26:27.27 ID:
JteE1SOs0
X「……美味かったか?」
貴音「それはもう! ……げえっ、えっくすぷろでゅうさぁ!!」
伊織「え?」
春香「え?」
雪歩「え?」
X「……何やってんだ? 四条?」
貴音「それはその……わたくし、らぁめんを絶とうと……」
X「もしかして、昨日俺が言ったからか?」
貴音「……はい」
X「あのな、昨日も言ったがらぁめんは悪くねえ……ありませんよ。ただ、食いすぎるなって話だ」
貴音「……」
85 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:27:10.10 ID:
JteE1SOs0
春香「あの、貴音さん? じゃあ私に『はじめまして』って言ったのは……?」
貴音「心機一転、初心に戻ろうと……春香も、それを察してくれたのでは」
春香「私はてっきり、昨日話していた貴音さんの妹さんかと……」
貴音「まあ!」
X「なんにせよ、だ。無理はすんな」
貴音「ですけど……」
X「貴音の為に、こういう仕事を用意した」
貴音「なんでしょう? これは……『四条貴音の小悪魔らぁめん』!?」
X「企業とのコラボ商品だ。前々から話はあったらしいがな、今回は急遽とりまとめてきた。試作品1号だぜ」
貴音「らぁめんに、わたくしごときの名が冠されるとは……ああ!」ギュッ
X「ラーメン屋巡りもこの為って、事にするからな。ま、これからはほどほどにしろよ」
貴音「はい。あの、それではこの試作品1号は……」
X「もちろん、これから実食だ」
貴音「はいっ!」
X「高槻がな」
86 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:29:02.90 ID:
JteE1SOs0
貴音「えっ!?」
X「だって四条、お前……君はさっき高槻の昼食を全部食っちまったろ?」
貴音「ええっ!? あっ……」
X「て、わけでこれは高槻の昼食だ。さ、感想を頼むぜ、高槻」
やよい「あ、はいー!」
貴音「や、やよい! ひ、一口だけでも……」
X「ダメだ」
貴音「そんな」
伊織「貴音ってば、さっきも味見って言いながら、やよいのラーメン全部食べちゃったじゃないの」
X「そういうことだ。さ、高槻! 作ってやるからな」
やよい「はーい! うっうー楽しみでーす。いぇい☆」
貴音「……えっくすぷろでゅうさぁは、いけずです……」
貴音「やよい、美味しいですか?」ジー
やよい「はいっ!」
貴音「美味しいのですか?」ジー
やよい「はい」
貴音「美味しいのですね?」
やよい「うう、なんだか食べにくいですー」
GOOD COMMUNICATION☆☆
89 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/17(土) 20:36:38.76 ID:
JteE1SOs0
P「なかなか上手くやったな」
冬馬「まったく、ヒヤヒヤしたぜ。あんたの事前のコラボ企画案なけりゃ、ヤバかったかもな」
P「アイドルの個性を見抜き、リスク回避策を用意しておくのも大事だがな。今回は正直運だ」
冬馬「は?」
P「俺だってなんでもかんでも、予見してるわけじゃない」
冬馬「なんだ、そうかよ……」
P「そうそう上手くはいかないさ、まあ運も実力のうちだ」
冬馬「まあな」
P「じゃあ次は、テレビの仕事をやってもらう」
冬馬「テレビか……」
97 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:34:11.00 ID:
jP8noyMM0
北斗「明日のオフ、二人とも何か予定はあるかい?」
翔太「僕ねえ、ちょっと服を買いたいと思ってるんだ」
北斗「ああ、いいな。どうだ? 一緒に行くか」
翔太「そうだね。冬馬君もどう?」
冬馬「悪いな、俺はちょっと予定がある」
冬馬(コイツらには、迷惑も心配もかけらんねーからな。絶対に事情は話せねえ)
翔太「えー。冬馬君、最近つきあい悪いよ」
北斗「まあまあ、冬馬も色々とあるんだろ。な、冬馬」
冬馬「あ、ああ。すまねえな、また今度つきあうからよ」
翔太「約束だよ」
北斗「じゃあな、チャオ☆」
冬馬「ふう。それで……と、明日は営業回りか。自分の売り込みじゃなくて、人の売り込みは初めてだな」
98 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:34:45.72 ID:
jP8noyMM0
翔太「それにしても冬馬君、オフにまでプロデューサーの仕事なんてよくやるよね」
北斗「まあそう言うな。きっと冬馬には冬馬の、考えがあっての事だろう」
翔太「まあね、社長もそれを黙認だもんね」
北斗「社長は、冬馬には甘いからな。けど、それだけじゃないさ」
翔太「え?」
北斗「社長も765プロを、ひいてはあのプロデューサーを、そして高木社長を認めてるんじやないか?」
翔太「いつもあれだけ悪口を言ってて、敵視していても?」
北斗「ま、俺もわかるしな。ライバルって、案外そんなもんじゃないか?」
翔太「ライバル……か。そうかもね」
99 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:35:21.65 ID:
jP8noyMM0
ブーブーエス局
P「どうも、ディレクターさん」
D「……」コクリ
P「いつもウチのアイドルがお世話になってます」
D「……誰?」
P「ご紹介が遅れました。ウチの、期待の新人プロデューサーです。ほら」
X「謎の覆面プロデューサーX、だぜ。いや、です。お願いいたします」
D「……!」
P「まだ駆け出しですが、今後ともよろしくお願いします」
D「ユニーク」
X「は?」
D「これはイケる。いかせるべき」
X「?」
100 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:35:59.48 ID:
jP8noyMM0
生っすか本番中
春香「はい。では次のコーナーは……」
千早「春香」ヒソヒソ
春香「え?」
美希「カンペが出てるの」ヒソヒソ
春香「あ、ええと、ここで当初の予定を変更して……新コーナーの発表です……ぅ!?」
?「はーっはっはっはっはっはっ! 天海、如月、星井!」
春香「え?」
千早「この声……」
美希「Xプロデューサーなの?」
カッ☆
千早「春香、カンペがまた」
春香「う、うん。ご、ご紹介いたします。私たちのプロデュースを手伝ってくれている新プロデューサー、謎の覆面プロデューサーXでーすっ……」
美希「Xプロデューサー、スポットライトに照らされて……」
千早「不謹慎なほど派手な登場ね」
101 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:36:33.29 ID:
jP8noyMM0
X「天海! 如月! 星井!」
春香「は、はい」
千早「なんでしょうか?」
美希「どうしたの? 本番中に」
X「毎週のMC、ごくろう!」
春香「は、はい」
千早「恐れ入ります」
美希「ありがとうなの」
X「だが、それでいいのか!?」
春香「えっ!?」
X「この生っすか、MCはお前ら3人で本当にいいのか? 俺は常々、疑問に思っていた」
春香「それはどういう……」
102 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:37:06.00 ID:
jP8noyMM0
X「この中で1人!」チラッ
春香「!」
X「1回の放送中に、最低1度は必ず噛む者がいる」
春香「……3番カメラさん。今、私をアップにするのはやめてください……」
X「この中で1人!」チラッ
千早「!」
X「誰かが歌った後は聞き惚れていて、MCを忘れる者がいる」
千早「……すみません」
X「この中で1人!」チラッ
美希「?」
X「Vになるとコックリと船をこぐ者がいる」
美希「それは良くないの。誰なの?」
X「……ともかく、だ! MCをお前達3人にしたままでいいのか、それをこれから検討する」
103 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:40:03.38 ID:
jP8noyMM0
春香「ほ、本番中にですか?」
X「もちろんだ! そして先ずは、俺の歌を聴け!!」
千早「え?」
『おれはグレートプロデューサー/Xプロデューサーwithあみまみ』
パラッパッパッパパッパラパラーシュッシュッシュシュッパー♪
X「♪ げっちゅ! げっちゅ♪」
真美「♪ ランランララン♪」
X「♪ プッシュ! プッシュ♪」
亜美「♪ ランランララン♪」
X「♪ すぐトラブル! ラッシュ♪」
チャチャッチャチャッ♪
X「♪ 俺は涙を流さない♪」
真美「♪ ダサっさ→♪」
X「♪ 鬼畜だから! 外道だから♪」
亜美「♪ ガレッキ→♪」
104 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:40:54.54 ID:
jP8noyMM0
美希「亜美と真美まで一緒に……楽しそうなの」
千早「あの、それでXプロデューサー? この歌にどんな意味が……?」
X「ねえ! いや……ありません」
春香「え?」
X「それでは早速、3人にテストをおこなう!」
ジャジャン♪
X「これから問題を出す。きちんと回答できるか、3人に答えてもらうからな」
春香「あの、これって私たちに拒否権は……?」
X「ねえ! いや……ありません」
真美「んっふっふ→! じゃあいくよ」
千早「……やるしかないのね。まあ、なんでもいいですけど」
105 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:41:32.55 ID:
jP8noyMM0
真美「感性の問題! 新しくできたスパにフランスっぽいネーミングをせよ!」
春香「スパって温泉だよね?」
美希「そうなの。美希も大好きなの」
千早「私も、よくあずささんと行くわ。でもフランスっぽい温泉の名前って……」
X「ではまず、星井!」
美希「ミキならねー……マルセイ湯とかどうかな? あはっ☆」
春香「えっ!? ダジャレ?」
X「うむ! 確かにフランスっぽい。オーケーだ!」
亜美「ミキミキ、おっけ→!」ピンポーン
春香「ええー……」
千早「それでいいのね」
X「では次、如月!」
千早「……じゃあ、ベルサイ湯。ぷぷっ」プルプル
春香「千早ちゃん、自分で言って自分で笑って……」
X「おお、豪華絢爛な雰囲気があるな。よし!」
亜美「千早お姉ちゃん、おっけ→!」ピンポーン
春香「……いいんだ、それ」
106 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:42:06.40 ID:
jP8noyMM0
X「では最後、天海!」
春香「え、ええと……あの……そ、そうだ! バスチー湯!!」ビシッ
X「……天海、バスチーユは監獄の名前だぞ」
春香「え? そ、そうだっけ?」
亜美「はるるん、あうと→!」デデーン
X「スパに、監獄の名前はないだろ。天海、世界史の勉強ちゃんとやってるか? フランス革命の所で必ず出るぞ」
春香「はうう……」
107 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:42:57.14 ID:
jP8noyMM0
X「じゃあ、次の問題だ。フランスの次は、イギリスの問題。社会情勢や歴史を把握しているかを試すぞ」
真美「れきだいのイギリスの首しょ→を、誰でもいいので1人あげよ!」
X「じゃあ今度は、如月から」
千早「今の首相は確か、キャメロンだったわね」
亜美「千早お姉ちゃん、せいか→い!」ピンポーン
X「よし、星井!」
美希「ミキねえ、パパから外交のお話はよく聞くの。ブレアって人と外交でお話ししたって行ってたの」
亜美「おおっ! ミキミキせいか→い!」ピンポーン
108 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:43:31.15 ID:
jP8noyMM0
X「意外だな。じゃあ、天海!」
春香「……ええと」
真美「あれあれ→? もしかしてはるるん、わかんないのかな→」クスクス
春香「ひ、ヒント!」
亜美「え?」
春香「こういうの、先に言った人が有利じゃないですか! 後にいくほど不利なんですから、ヒントをくださいよぉ」
X「うーん。まあ、いいだろう。じゃあ……有名な女性首相がいるぞ」
春香「女性?」
真美「すごい強い女の人で→」
春香「強い女性首相?」
亜美「あだ名は『鉄の女』だよ→」
春香「! 思い出しました!」
X「よし、じゃあ天海。答えは?」
109 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:46:52.86 ID:
jP8noyMM0
春香「ブッチャー!!」
X「……」
真美「……」
亜美「……ふ、ふせいかい」デデーン
春香「ええっ!?」
X「一応教えてやるが、ブッチャーは懐かしのプロレスラーだ。ってか、よく知ってたな」
春香「お父さんが、好きでよく話を……」
X「もうちょっと、社会情勢とかを勉強しろ」
春香「がーん……い、異議あり! 異議ありですよ!」
X「今度はなんだ?」
春香「なんか構成上、必ず私が最後に答えているじゃないですか。芸能人としてこういうの、オチを期待されているような気分になっちゃうんですよね!」
X「そんなの期待してねえ。てか、天海はアイドルだろ? 芸人じゃねえだろ!」
春香「今度は私を最初に! いえ、私だけに出題して汚名挽回させてくださいよ!」
X「汚名を挽回するのは感心しねえが……いいだろ、じゃあ天海だけに出題だ」
真美「じゃあ、はるるんだけに問題! ロシアンティ→は紅茶の中に、何が入っているでしょうか?」
110 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:47:36.12 ID:
jP8noyMM0
X「今度はロシアで、グルメ問題だ。食べ物なら天海、得意だろ。これは正解しろよ」
春香「はいっ! ロシアンティー……中に入っているのは、ズバリ……毒!」
千早「え?」
美希「ええ?」
亜美「……はるるん……あうと→……」デデーン
春香「えーー!?」
X「天海、なんで毒なんて入れるんだよ」
春香「ロシアンティーって、紅茶が6つあって1つが毒入りじゃないんですか?」
X「萩原、頼む」
雪歩「は、はい。春香ちゃん、これがロシアンティーだよ」
春香「これ、6つあるけど毒は……」
雪歩「入れてないよぉ。みんなの分だよ。はい、飲んでみて」
春香「うん。あ、美味しい!」
雪歩「ロシアンティーはね、紅茶にジャムをたっぷり入れて飲むんだよ」
春香「知らなかった……」
111 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:49:14.51 ID:
jP8noyMM0
X「こりぁもう、MCから1人脱落は決定かもな」
千早「待ってください!」
美希「もう少し、春香にチャンスをあげて欲しいってミキ思うな」
春香「千早ちゃん……美希……」
X「いいだろう。じゃあ、来月の博多ロケに備えた問題だ」
真美「は→い。じゃあみんな、現地博多の人になったつもりで『お別れの挨拶』をしてね→!」
千早「え?」
美希「お別れの挨拶? バイバイなのー、じゃダメなの?」
X「それを博多の人になったつもりで、だ。まずは星井!」
美希「えっと、バイバイ……ばい?」
亜美「ミキミキおっけ→!」ピンポーン
X「次、如月!」
千早「ば、バイバイバイ」プルプル
亜美「千早お姉ちゃん、おっけ→!」ピンポーン
112 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:50:37.16 ID:
jP8noyMM0
X「最後、天海!」
春香「ヴぁいヴぁイヴぁ~い!」
亜美「はるるん、あうと→!」デデーン
春香「えええーーーっっっ!!!」
真美「 」ゲラゲラ
X「……言うと思った。じゃあこれ」
春香「? なんですか、これ」
X「研修中バッチだ。来週からは、これをつけてMCをやってもらう」
千早「じゃあ春香が即、MC失格というわけじゃないのね」
美希「よかったのー!」
春香「でもこれ、かなり恥ずかしいかも……」
GOOD COMMUNICATION☆☆
113 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/20(火) 13:51:18.45 ID:
jP8noyMM0
P「さすが現役芸能人だな、テレビでも堂々としたもんだ」
冬馬「あれ、プロデューサーの仕事か?」
P「ディレクターの意向には、沿わないとな。反響も大きかったし」
冬馬「? なんでニヤニヤしてんだよ?」
P「気にするな。次も、現場仕事に出てもらうからな」
冬馬「あ、ああ……」
119 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 09:57:50.04 ID:
0fuwFPHm0
冬馬「やべえな、遅くなっちまった。急がねーと」
冬馬「俺はまあ非常勤だからアレだが、プロデューサーって忙しいよな」
冬馬「……こんなこと、ずっとやってやがんだからスゲーよな」
冬馬「って、落ち込んでる場合じゃねーな。俺はアイツを越える、その為にこうして頑張ってんだからな」
冬馬「しっかし、意外とバレねえもんだな。765プロの連中も俺を疑わねーし」
冬馬「……ああやって仲良くされると、ちょっと罪悪感……あるよな。謝ったとはいえ、本来なら俺らは色々とやらかしたわけだし……」
冬馬「……ともかく、絶対にバレねえようにしねーとな!」
120 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 09:58:25.38 ID:
0fuwFPHm0
765プロ事務所
真美「ね→ね→、今日はあまとうの来る日だよね→? まだかな→?」
真「真美、それXプロデューサーの前でうっかりでも言うなよ」
雪歩「そうだよぉ。Xプロデューサー、みんなが正体に気がついているって知らないんだから」
伊織「気づかないと思っている方が、どうかしてると思うけどね」
貴音「律子嬢は、結構気がつくのが遅かったようですが……ふふっ」
律子「いやそれでも、二度目に会った時に気がついたわよ?」
響「誰が、一番最初に気がついたっけ?」
千早「春香じゃない? 最初の挨拶の時から、なんだか思い当たるみたいな顔だったから」
春香「うーん、確信は無かったけどそんな気がして」
やよい「私は、ダンスでわかりましたよー!」
真「まあほとんどみんな、初日で気がついたよね」
雪歩「時々、天ヶ瀬さんって呼びそうになるんだよね」
あずさ「わかるわ~。私もだから、いなくても普段からXプロデューサーって呼ぶようにしてるわ~」
千早「私もそうだけれど、逆に歌番組で共演した時にXプロデューサーって言いかけて大変だったわ」
亜美「あるある→!」ゲラゲラ
121 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 09:58:55.19 ID:
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律子「この間の反響も、大きかったですね」
雪歩「生っすか、だね」
P「ああ、ネットでも『なんでジュピターが出演てるんだ』『961プロとのコラボか!?』って大騒ぎだったな」
亜美「あんな紙袋をかぶせるなんて、兄ちゃんもなかなかやるな→」
P「ま、765プロにはイタズラのお手本がいるからな」
響「言えてるぞー!」
亜美「あはははは」
真美「ね→……」
響「どうした? 真美」
真美「あまとうってさ、けっこう……」
亜美「真美?」
真美「おこちゃまだよね→!」
亜美「言えてる、言えてる→! ハンバーグ大好きだったりぃ」
雪歩「コーヒーに、お砂糖をふたつも入れてたよ」
貴音「らぁめん二十郎にご一緒しましたが、小らぁめんを食べるのがわたくしの大豚Wよりも遅かったのです」
真「いや、それは……しょうがないんじゃないかな」
122 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 09:59:37.93 ID:
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律子「それで、いつまであの紙袋を被らせておくつもりなんですか? まあ外ではともかく、事務所内なら別にもういいんじゃないですか?」
P「いや、本人は気がついていないつもりなのが可笑しいのと、なんだか悪い気がしてきてな。あんなに真剣だと」
やよい「そんなに、しんけんなんですかー?」
P「アイツな、実は紙袋二重に被ってるんだぞ」」
真美「兄ちゃんも、人が悪いな→」
P「いくら社長でも、身元の定かでない人間を雇うわけないんだが、冬馬はすっかり信じていてなあ」
あずさ「社長さんも、黒井社長さんを身近に感じられて嬉しいんですよきっと~」
P「確かに冬馬は、黒井社長にとっては息子みたいなもんだろうからなあ」
春香「あの、プロデューサーさん?」
P「ん? なんだ、春香」
春香「冬馬君は、プロデューサーになりたいからって言ってきたんでしたよね?」
P「そうだが?」
春香「もしかして……」
千早「どうしたの? 春香」
123 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 10:00:20.70 ID:
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春香「引退したら、そういう道に入るのかな? っていうか、そういう将来のこと考えているのかな?」
P「……どうだろうな? 訳は言えないって事だから俺も聞かなかったけど」
響「だけど961プロは、プロデューサーをおかないんだからそれは無いんじゃないか?」
貴音「いえ、だからこそ初めてそういう仕事をする先駆者になりたいのやも知れません」
律子「その為にあえて、ライバルプロダクションに弟子入りとか考えると、ちょっと偉いと思いますね」
P「ま、当面は今のままでいいんじゃないか? 俺達もアイツと、ライバルとしてのジュピターの一員である冬馬とはできない事がいっぱいできたしな」
春香「ですね」
真美「それにしてもあまとう……じやなかった、X兄ちゃん遅いな→」
亜美「こりゃ→遅刻したらせっかんですな→」
あずさ「あらあら、お手柔らかにね~」
真美「紙袋のひたいの所に『29』って書いちゃおうか」
亜美「『↓弱点』って書くのもいいな→」
春香「あはははは。もう、かわいそうだよ」
124 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 10:00:57.06 ID:
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冬馬「ふう、やべーやべー。危うく遅刻だぜ……ん?」
冬馬「おい、そこのノラ猫! 危ねえ!! 飛び出すんじゃねえ!!!」
ダッ
キキキーーーッッッ!!!
バン
冬馬「……なんだ、今の音?」
冬馬「お、このノラ猫め。俺が助けなかったら、お前轢かれてたぞ」
冬馬「走って行きやがった。はは、良かったな……あれ?」
冬馬「なんで俺の顔に地面がくっついてんだ?」
冬馬「え? 俺、もしかしてすっ転んでる? はは、ダセえ……これじゃあ天海のこと、笑えねーじゃん」
冬馬「あーあ、人が見てるよ……って、あれ? なんだよその顔」
冬馬「なんでそんな、怖そうに俺を見てるんだよ?」
冬馬「心配すんなって。今、起きるから……よ」
冬馬「あれ?」
冬馬「身体が……動かねえ?」
125 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 10:01:30.47 ID:
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冬馬「な、なんだよ? なんで息が苦しいんだよ?」
冬馬「おい、そこのあんた! 救急車とか要らねーから……」
冬馬「すぐ起き上がる……から……痛てえ!」
冬馬「む、無理矢理に身体を動かすと、死ぬほど痛てえ!」
冬馬「え? し、死ぬほど……?」
冬馬「うそ、だろ……?」
冬馬「あれ? なんだよ、このしょっぱいものは?」
冬馬「息が出来ないのに、しょっぱいものがどんどん口ん中に……なんだこれ?」
冬馬「血? 血、か……?」
冬馬「うそだろ。俺はこれからあいつらん所に行って……」
冬馬「!」
冬馬「俺がこのままほんとに死んじまったら……ポケットの中にある紙袋で、俺が謎の覆面プロデューサーXってバレちまうじゃねえか!」
冬馬「それだけは……それだけは隠さねーと……」
冬馬「あいつら……泣かしちまうじゃねーか」
冬馬「ぐっ……指1本動かすだけで、すげー痛てえ……」
冬馬「ぐくっ……動け……動けよ、俺の腕……」
ガサガサ
ポイ
冬馬「はあ……はあ……これで……これで……」
126 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 10:02:02.84 ID:
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翔太「あ、目を覚ましたみたいだよ冬馬君」
春香「あ、本当だ。大丈夫? 冬馬君」
冬馬「……ああ、女神がいる……やっぱ俺、死んだのか……」
春香「えっ?」
北斗「チャオ☆ しっかりしろ冬馬。ここは病院だ」
冬馬「病院……?」
黒井「大丈夫か、冬馬」
冬馬「ああ……おっさんがいる。こりゃ確かに天国じゃねーな。はは……」
黒井「ふん、それだけ言えるなら大丈夫だな。私は帰る」
翔太「えー」
高木「そうだ。久しぶりなんだから、ゆっくり語り合おうじゃないか」
黒井「話すことなどない!」
高木「ふっ、相変わらずだな。大丈夫かね?」
冬馬「ああ……俺、死なずにすんだんだな」
127 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 10:02:37.48 ID:
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翔太「やっぱり鍛えてると違う、ってお医者さんも言ってたよ」
冬馬「そうか……」
北斗「ま、今日は念のために入院しろってさ」
冬馬「そうか……は? 今日は念のため?」
春香「でも今日は大人しくしないとダメだよ? 一応、身体のあちこちを打撲してるんだから」
冬馬「あれ? もう痛くねえ……」
翔太「車にぶつかった直後は、身体もショック受けてるから痛かったんでしょ? お医者さんも言ってたよ」
冬馬「血は?」
北斗「鼻血が出ていたが、もう止まってるよ」
冬馬「んだよ……本当に死ぬかと思ったぜ」
春香「ぶつかった車も気がついて、スピードを落としていたんだって」
128 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 10:03:08.63 ID:
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冬馬「そうか……って天海、なんでいるんだよ!?」
春香「そりゃあ非常勤とはいえ、同じ事務所の仲間が事故に遭ったって聞いたから……」
冬馬「待て! 待て待て待て!! 同じ事務所の仲間ってお前……」
春香「あー……あのね、みんなその……気がついているんだよ」
冬馬「……マジか」
高木「ついでに言うと、黒井もそこにいるジュピターの彼らもね」
冬馬「……マジか」
翔太「うん、まあ」
北斗「冬馬ががんばってるみたいだから、あえて言わなかったけどな」
春香「765プロのみんなも、心配していたけど仕事があって。お大事に、って」
冬馬「もうあいつらに顔向けできねえ……バレてるとも知らないで、ドヤ顔でプロデュースなんかして……恥ずかしいぜ……」
春香「そんなこと言わないで、ね」
冬馬「天海……」
春香「みんな待ってるから、ね」
冬馬「……そうか」
129 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 10:03:38.38 ID:
0fuwFPHm0
そして
X「今日も営業だ! いくぞ、お前ら……君たち」
真美「へ→い!」
亜美「あったぼうであります、X兄ちゃん!」
律子「……で、復帰してもやっぱり紙袋は被るんですね」
X「恥ずかしくて、真顔じゃやってられねえ」
P「よし、じゃあまあこれからもがんばってもらうか」
X「おう! いえ……はい」
春香「今日はよろしくお願いしますね、Xプロデューサーさん」
X「ああ! これからも頼むぜ!! 研修中のMCさん!!!」
春香「もうー!」
X「あはははははは」
おわり
130 :
Swing ◆VHvaOH2b6w 2012/11/22(木) 10:06:15.40 ID:
0fuwFPHm0
以上で終わりです。
謎のヒーローにありがちな、実はみんな正体を知っているけど本人は秘密のつもりというのを、冬馬がプロデューサーをするという形でやりたいなーと思っていたのをそのまま書きました。
なかなかPではできない事を、冬馬にやらせられたので満足です。
ありがとうございました。
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/22(木) 12:32:55.16 ID:X9NpRW2ro
おつおつ
136 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/22(木) 13:21:10.04 ID:VfUlLaPDO
乙。あまとうさん可愛い
SS速報VIPに投稿されたスレッドの紹介です
元スレ:
春香「非常勤の新しいプロデューサーさんですか?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352852137/
神楽 麗(CV.永野由祐) 秋山隼人(CV.千葉翔也) 卯月巻緒(CV.児玉卓也) 岡村直央(CV.矢野奨吾)
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