2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:15:22.84 ID:
i5ML6JIO0
沙綾「オッケーりみりん、ちょっと話を整理しよっか?」
りみ「名前書いてくれるの?」
沙綾「オッケーはそこにかかってないよ?」
りみ「そっか……」
沙綾「それで、えーっと、とりあえずさ、色々言いたいことはあるんだけど」
りみ「うん」
沙綾「どうしてウチに臨時バイトで来るのに婚姻届けなんて持ってきたの?」
りみ「お姉ちゃんがね、もしもの時の為にってくれたんだ」
沙綾「ゆり先輩は何を考えて妹にそんなものを……」
りみ「あと、なんか……ガラナチョコ? っていうチョコもくれたんだ」
沙綾「それは間違っても口にしちゃいけないよ、りみりん」
りみ「え、さっき食べちゃった」
沙綾「……そう」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:16:01.93 ID:
i5ML6JIO0
りみ「そしたらね、なんだか無性に沙綾ちゃんと結婚したくなっちゃって……」
沙綾「……気付いたら婚姻届けの記入が終わってた?」
りみ「わぁっ、沙綾ちゃんすごい。私のことはなんでもお見通しなんだ……えへへ」
沙綾「可愛く笑ってもやってることえげつないからね?」
りみ「そんな、可愛いって……照れてまう……」
沙綾「はいはい関西弁もしまっておいてね」
りみ「あ、ごめんね?」
沙綾「その『ごめんね』はもっと別の場所に欲しいんだけどなぁ」
りみ「……?」
沙綾「うわー、全然私の言いたいこと分かってなさそうな顔してる」
りみ「……あっ!」
沙綾「ん、分かってくれた?」
りみ「やっぱりゼク〇ィの付録の婚姻届けじゃダメだったかな? ピンク色で可愛いなって思ってたんだけど……ごめんね、気付かなくて」
沙綾「……うん、まぁ、プレッシャーだよね、そのピンク色は」
りみ「そ、そしたらお役所に行ってちゃんとしたのもらってくるね!」
沙綾「いい。いいから。それ持ったままお店から出て行こうとしないで」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:16:31.57 ID:
i5ML6JIO0
りみ「いいの? 良かったぁ……。それじゃああとは沙綾ちゃんの名前を入れるだけだから……」
沙綾「違うよ? いいってそういう意味じゃないよ? ていうかどうして私の名前以外の項目がもう埋まってるの?」
りみ「やっぱり沙綾ちゃんの名前は沙綾ちゃんの字で書いて欲しいなって……沙綾ちゃんの字、優しい感じがして好きなんだ」
沙綾「笑顔でいいこと言ってる風だけどやってることはかなりヤバい人のそれだからね? そもそもそれ、確実にバイト中にやることじゃないよね?」
りみ「え、でも沙綾ちゃんが『ハンコはここにある』って言ったから、そういうことなのかなって……」
沙綾「あれ、この事態ってもしかして私が悪い?」
りみ「沙綾ちゃんに悪いところなんてないよっ!」
沙綾「あーうん、ありがとう?」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:17:29.78 ID:
i5ML6JIO0
りみ「それじゃあここに名前を……」
沙綾「書かないよ?」
りみ「えっ」
沙綾「いやいや、なんでそんなびっくりしてるの?」
りみ「だって沙綾ちゃん、この前私のこと大好きって……」
沙綾「うん、確かに言ったね? でも友達としてって意味だよ?」
りみ「じゃあお友達から?」
沙綾「……それになんて返せばいいかちょっと考えてもいいかな? いや、何言ってもダメそうな気がするけど」
りみ「私は沙綾ちゃんが大好きだよ」
沙綾「その言葉、今だけはちょっと聞きたくなかったかなぁ」
りみ「子供って……可愛いよね」
沙綾「上目遣いで頬を染めながら言うのはやめよっか? 可愛いけどやめようね?」
りみ「あ、やっぱり生活が安定するまで我慢しないとダメだよね」
沙綾「りみりんは一体なんの心配をしてるのかなぁ私にはまったく分かんないやー」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:18:02.18 ID:
i5ML6JIO0
りみ「わ、私、沙綾ちゃんをしっかりリードできるように頑張るね……!」
沙綾「無理しないでいいと思うよ? ていうか今日のりみりん、ちょっとアレだけど大丈夫? 熱とかない?」
りみ「えっ、いつも通りだよ?」
沙綾「あれぇ、私の知ってるいつも通りとかなり離れてるなぁー……」
りみ「朝焼けに目覚めた空がそれぞれの決意を照らして新たな『いつも通り』になるんだよ、沙綾ちゃん」
沙綾「それはアフターグロウの歌だよね? 微妙に似てる蘭の声真似入ってるし」
りみ「練習したんだ」
沙綾「練習したんだ?」
りみ「あとね、このBメロのあとにバンドのみんなで歌う『Wow Wow Wow...』に繋がるのめっちゃ好き」
沙綾「そうだね、アフターグロウらしくてカッコいいね」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:18:38.62 ID:
i5ML6JIO0
りみ「だから、はい、沙綾ちゃん」
沙綾「今の話は『だから』で繋がらないよね?」
りみ「からだで……?」
沙綾「りみりん今日本当にアレだけど大丈夫? 初バイトで疲れちゃった?」
りみ「ううん……初めてだったけど、沙綾ちゃんが優しくしてくれたから……」
沙綾「りみりん? 救急車呼ぼうか? いやもういっそ呼ぶね?」
りみ「産婦人科行き?」
沙綾「精神科行きだよ?」
りみ「病は気からって言うもんね」
沙綾「……そうだね、呼んでも意味なさそうだね」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:19:08.64 ID:
i5ML6JIO0
りみ「じゃあ、これ」
沙綾「まだ引っ張るの、それ?」
りみ「私は沙綾ちゃんを愛してて、沙綾ちゃんはお友達からなら、いざって言う時の為に書いておいた方がいいと思うんだ。心配だもん」
沙綾「大好きから愛してるに変わってるのはこの際目を瞑るけど、その心配よりもっと先にする心配があるよね?」
りみ「先に……?」
沙綾「先に」
りみ「うーんと……うーん……」
沙綾「……そんなに考えないと出てこないことかな」
りみ「あっ!」
沙綾「お?」
りみ「そっか、そうだよね……ごめんね、沙綾ちゃん。私、ちょっと先走りすぎてたかも」
沙綾「先走るっていうか、もうぶっちぎってたけどね。でも分かってくれたなら良かったよ」
りみ「流れで私が夫の方に書いちゃったけど、沙綾ちゃんの意見もちゃんと聞くべきだったよね」
沙綾「全然分かってなかったよ」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:19:45.55 ID:
i5ML6JIO0
りみ「でも、でもね? 私、思うんだ」
沙綾「聞きたくないなぁその先」
りみ「やまぶきベーカリーで仕事が終わって、お家の方に向かったらね、沙綾ちゃんが割烹着を着て料理を作っててくれるの」
沙綾「エプロンじゃないんだ」
りみ「それで私が来たことに気付いて、『今日もお疲れ様。忙しかったから大変だったでしょ? 晩御飯はあなたの好物だから、期待して待っててね』って優しい笑顔と声で言ってくれるんだ」
沙綾「耳栓どこかにないかなぁ」
りみ「もうそれだけでいいよね。人生をなげうつに値するよね。そのまま幸せな家庭を築きたいし、沙綾ちゃんを守ってあげたい」
沙綾「あーそろそろ明日の仕込みとかしなくちゃ」
りみ「でもそうだよね。沙綾ちゃんだってこうやってお店のことがしたいもんね。そうしたら私、一生懸命お家のこと頑張るっ」
沙綾「今はお店のこと頑張って欲しいかな」
りみ「そ、そう? それじゃあいい花婿になれるように、やまぶきベーカリーのこと頑張って覚えるね」
沙綾「そうじゃないんだよなぁ」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:20:36.24 ID:
i5ML6JIO0
りみ「あ……でも、私じゃ沙綾ちゃんをお姫様抱っこ出来ないかも……」
沙綾「しなくていいんじゃないかな?」
りみ「ううん、私、頑張りますっ! 薫さんにお姫様抱っこされる沙綾ちゃん、すごくキラキラしてたから……頑張って出来るようになるねっ」
沙綾「というか、まずお嫁さんとかお婿さんとかから離れて欲しいんだけど」
りみ「あれ? 沙綾ちゃん、やっぱり夫の方がいい?」
沙綾「えーっと、夫か妻かっていえばそりゃあ妻の方がいいけどさ、今はそういう話じゃないよね?」
りみ「そっか……うん、分かった」
沙綾「分かってなさそうだけど分かってくれた?」
りみ「私、沙綾ちゃんに相応しい立派なお婿さんになれるよう頑張るっ」
沙綾「うん、やっぱり何も分かってないね? 今は仕事を頑張ってほしいよ、私は」
りみ「花婿修行、頑張りますっ!」
沙綾「バイトだよ? あとその婚姻届けはそこの箱に入れておいてね」
りみ「あれ、それってゴミ箱じゃ……」
沙綾「ちょっと印鑑金庫にしまってくるから、りみりんは大人しくしててね」
―お店の外―
「印鑑……婚姻届け……なるほど……」
このあとも色々とこじれ、最終的にりみりんが山吹家に一泊していくことで話が落ち着くのは別の話。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:21:33.90 ID:
i5ML6JIO0
――後日 羽沢珈琲店――
羽沢つぐみ「今日は1日よろしくお願いしますね、紗夜さん」
氷川紗夜「ええ、よろしくお願いします。臨時のバイトとはいえ、ご迷惑をおかけしないよう努力します」
つぐみ「そんなに肩に力を入れないでも大丈夫ですよ。難しいことは特にありませんから」
紗夜「だといいんですが……こういう経験がないので」
つぐみ「私がしっかり教えますから、きっと大丈夫ですよ」
紗夜「すみません。よろしくお願いします、羽沢さん」
つぐみ「はい。それじゃあまず……印鑑はここにありますから、何か届け物とかが来たら押して下さいね?」
紗夜「分かりました」
というのも別の話。
おわり
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:22:00.51 ID:
i5ML6JIO0
印鑑ってすごいな、とふと思いました。
そんな話でした。すいませんでした。
HTML化依頼出してきます。
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【バンドリ】山吹沙綾「ハンコはここにあるからね、りみりん」
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