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律子「おはよう、ダーリン♪」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:47:19.43 ID:hP1KOQIw0
――――765プロ・午前――――


律子「おはよう、ダーリン♪」

P「おはよう、律子。って、……え?」

律子「どうかしましたか、プロデューサー」

P「あ、え? えっと、さっきなんか変わった呼び方しなかった?」

律子「あ、はい。ずっとダーリンって呼んでる方がいいですか? さすがに業務中は止めた方がいいかと思って、最初の挨拶の時だけにしたんですけど」

P「その気のつかいようは実に律子らしくていいな……じゃない。いや? え? ダーリン?」

律子「繰り返されると、ちょっと恥ずかしいですよ、ダーリン」

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:49:16.33 ID:hP1KOQIw0
P「恥ずかしいって律子が……。いや、違う、ちょっと待て。ダーリンって……なんだ?」

律子「なんだって言われても、そりゃあ、大好きな……この世で一番大事な人への呼びかけですよ。もう、恥ずかしいこと言わせないでくださいよっ!」

P「……う、うん。ええと……」

律子「じゃあ、私、約束がありますんで出てきますね。また後で」

P「あ、ああ……」

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:52:12.96 ID:hP1KOQIw0
 どういうことだ?

 俺は混乱していた。

 俺と律子は同僚。765プロの二人きりのプロデューサーだ。

 律子は元アイドルで、美人だし、気が利くし、仕事も出来る。たまに抜けてるところもあるけど、それはお互い様だ。

 尊敬できる同僚ではあるが、それ以上の関係はない。


 ない、はずだ。


 そりゃあ、俺も男だし、近くにいる魅力的な女性と関係が発展する……なんて都合の良い妄想を抱いたことはある。

 でも、それはあくまでも妄想。現実じゃあない。

 だが、あの態度はどういうことだ。頬まで染めていたし、目も潤んでるように見えた。まるで、俺のことを愛しているとでもいうように。

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:55:03.70 ID:hP1KOQIw0
P「あ、そうか。なにかの罰ゲームか? 亜美か伊織に言われて俺をからかってみたとか、そういう……」

P「でも、律子がそんなことするだろうか。彼女は人を傷つけるような悪戯はやらないだろ」

P「うーん」



小鳥「どうしたんですか、プロデューサーさん。ぶつぶつと」

P「あ、小鳥さん。ちょうどいい。聞きたい事が……」

小鳥「はい? なんでしょう」

P「律子のことなんですけど……」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:57:22.81 ID:hP1KOQIw0
小鳥「はあ、律子さんの態度がおかしいと」

P「はい。なにか心当たりありますか」

小鳥「心当たりって、やだなあ、プロデューサーさん。そんなの当たり前……って、あ、これ、のろけですか。のろけってやつですか!」

P「へ?」

小鳥「婚約してすぐの相手と職場で会ったら、変な雰囲気になるのは当たり前じゃないですか。もう、やけちゃうなあ」

P「はい? 婚約?」

小鳥「あ、結納でしたっけ?」

P「はい?」

小鳥「まあ、ともかくおめでとうございます。式では私、ブーケ狙っちゃいますから!」

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 22:58:57.89 ID:hP1KOQIw0
P「はあ。ありがとう……。え? はい?」

小鳥「もう、幸せぼけしちゃって。あ、この書類お願いしますね」

P「あ、はい」

小鳥「ふふっ。お幸せに」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:00:30.84 ID:hP1KOQIw0

――――765プロ・午後――――

 なんなんだ、一体。

 俺はがらんとした事務所で仕事をしながら、相変わらずわけのわからない、気持ちの悪い状態を維持していた。

 律子は営業に出ているし、小鳥さんは社長が融資の話をしにいくのについて行ってしまった。

 事情を問いかけようにも、誰も居ないのだ。


 いや、気にしててもしかたがない。

 結局は律子に確認するしかないのだ。それよりも、気を切り替えていこう。

 アイドルたちもそろそろやってくる頃だ。

 ほら、ちょうど……。

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:04:04.29 ID:hP1KOQIw0
春香「おはようございます」

P「お、春香、おはよう! って、なんか元気ないな、どうした?」

春香「元気ないってわけでもないんですけどね」

P「そうか? 顔色が……」

春香「それより! 少し、いいですか?」

P「うん? いいぞ。仕事まではまだ余裕があるしな」

春香「はい、あの」

P「うん」

春香「あの、ですね」

P「うん」

春香「あ……ちょっと待ってください。深呼吸します」スーハー

P「な、なんだ? 一体……」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:08:57.50 ID:hP1KOQIw0
春香「あの、出来れば、私が言い切るまで口を挟まないでいてくれると嬉しいんですけど……」

P「ああ、そりゃいいけど……」

春香「ありがとうございます。……じゃあ、行きます」


春香「ご、ご婚約おめでとうございます。

前々からおつきあいしていることは聞いていたんですけど、やっぱり実感がなかったっていうか、信じたくなかったっていうか……。

でも、いまの律子さんの幸せそうな顔を見ていると、こっちも嬉しくなっちゃうくらいで、ああ、やっぱり結婚するんだな、って納得して、

それで、ようやく、気持ちにけじめをつけられるっていうか……。

ええと、その、本当におめでとうございます。

おめでとう……ございます!」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:13:58.30 ID:hP1KOQIw0
P「お、おい、春香」

春香「あれ? 私、お祝いしたいのに、なんで泣いちゃってるんでしょうね。ほんと、ばかみたいですよね。うん、その、じゃあ、それだけですから!」

P「お、おい、春香!? どこいくんだ!」

春香「お化粧なおしてきますから!」

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:18:44.98 ID:hP1KOQIw0

――――Pの自宅近くの駐車場・宵の口――――


 あの後、戻って来た春香は、泣いていたことなど微塵も感じさせないいつも通りの笑顔で、俺はその様子になにも訊くことができなかった。

 しかも、今日は、春香だけではなく、皆がおかしな調子で、どうにも落ち着かない一日となってしまった。

 千早はいつも以上に無口で寂しそうに微笑みかけてくるだけだし、あずささんはたまに俺に近づいてきては頭をなでて来たりする。

 亜美、真美、やよい、伊織のちびっ子軍団は普段より随分大人しく、俺に悪戯を仕掛けてくるどころか、どこか遠巻きにしているような雰囲気。

 真と響、それに美希は俺と話す度に表情をころころ変えて百面相を見せてくる始末だし……。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:24:05.70 ID:hP1KOQIw0

 唯一まともだったのは、雪歩か。お茶を淹れてくれる時に、何か涙目だったような気もするが。

 オフだった貴音を除けば、全員が妙にぎくしゃくとしていたような感がある。

 おそらくは俺と律子のことを誤解しているのだ。

 だが、それに触れるのも正直恐ろしい。なにしろ当の俺がよくわからないのだから。

 ともあれ、こうして帰ってきたわけだが、どうにも車を出て部屋に戻る気力がわかない。

 このまま帰れば、自宅という日常空間に、今日のおかしな空気を持ち込んでしまうような気がするのだ。

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:29:02.43 ID:hP1KOQIw0
P「一体どういうことだろうなあ……」マホウヲカケテ~♪

P「電話か……って、お袋?」

P「どうしたー? なにかあった?」

P母『なにかあったじゃないわよ。あんた、律子ちゃんから聞いたわよ』

P「……は?」

P母『またとぼけちゃって、そんなだから律子ちゃんが細々と私に教えてくれることになるのよ』

P「律子が?」

P母『照れくさいのもわかるけど、きちんとしなきゃだめよ。こういうことは』

P「ええと、こういうことってなにかな?」

P母『もう。今日はとぼけきるつもり? まあ、あたし相手ならそれでもいいけど、ちゃんと実際に籍入れる前にお父さんに連絡しておくのよ』

P「籍か」

P母『ええ、そうよ。そりゃあ、うちは別に大層な家でもないけど、お嫁さんとのおつきあいはどうやってもあるわけだし……』


 そこから先、なにを話したか、俺はよく覚えていない。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:34:23.72 ID:hP1KOQIw0
 俺は車を出ると、煙草に火を点けた。

 俺が煙草をやるのは、仕事上でのつきあいのためだ。

 喫煙者に対して自分も吸いますよというアピールをするのと、喫煙所でのコミュニケーションのためでしかない。

 正直、最初の一口以外は、指の間で燃やしているほうが多いだろう。

 そして、最初期に練習したのを除けば、プライベートで喫んだことはそれまで一度も無かった。

 だが、この時、俺は車にもたれかかりながら、丸々一本を吸いきっていた。

 職場の人間も、両親も……俺の近しい人間の全てが、俺が律子と結婚するものと思っている。

 しかし、俺にはそんなことになった自覚がない。記憶もない。

 はたして、俺がおかしいのか。

 あるいは、周囲がおかしいのか。

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:39:15.01 ID:hP1KOQIw0
 いや……。



 律子がおかしいのか。




 結局、一本吸いきっても、答えは出なかった。

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:43:21.64 ID:hP1KOQIw0

――――Pの自宅・夜――――



P「結局、なんの指針も立てられないまま、部屋に戻ってきたわけだが……」

律子「お帰りなさい。遅かったですね」

P「うん。どうやって入ったんだ、律子?」

律子「むう。なんだか無感動ですね。もう少し感激してくれてもいいのに」

P「いや、びっくりしすぎて、感情が動かないんだよ」

律子「そうですか? まあ、いいです。ともかく、座ったらどうです?」

P「ああ、そうだな」

律子「そうそう、どうやって入ったか、でしたっけ。そりゃあ、合い鍵を使って、ですよ」チャラ

P「合い鍵?」

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:48:16.09 ID:hP1KOQIw0
律子「ええ。こないだ、作っておくようにって渡してくれたじゃないですか」

P「え?」

律子「ああ、いや、あなたは口ではそうは言いませんでしたけどね。倉庫の鍵がないからって鍵束全部渡して合い鍵作らせるなんて、

迂遠なやり方が好きなんですね!」

P「ああ、しばらく前にあったな。時間なくて、キーホルダーごと……」

律子「はい」ニッコリ

P「でもな、律子。俺はそういうつもりじゃ……」

律子「じゃあ、どういうつもりだったんですか?」

P「どういうつもりって、あの時は倉庫の鍵を渡すつもりで……」

律子「だから、それを口実に、合い鍵を作れってメッセージですよね?」

P「律子」

律子「はい?」

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:51:53.28 ID:hP1KOQIw0
P「違う」

律子「なにがですか?」

P「お前は俺の意図を自分勝手に解釈している。俺は合い鍵を作れなんて思ってない。部屋に勝手に入ってもらうのも困る」

律子「そんなこと言っても、私たち結婚するんですから」

P「それも違う」

律子「なにがですか?」

P「なあ、律子、教えてくれ。俺は記憶喪失かなんかなのか? 俺とお前がつきあってるとか、結婚するとか、全く心当たりがないんだ。どういうことだ?」

律子「……」

P「俺の記憶では、この部屋に、お前を入れたことは一度も無い」

律子「……」

P「お前と二人きりでデートしたことも、抱き合ったこともない」

律子「……」

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 23:55:50.83 ID:hP1KOQIw0
P「なあ、律子。俺がおかしいのか?」

律子「まだ……」

P「え?」

律子「まだ、思い出してくれないんですね」

P「なにを……だ?」

律子「……」

P「俺がなにを忘れていると言うんだ、律子」

律子「プロデューサーと私はずっと二人三脚でやってきたじゃない」

P「ん? ま、まあ……」

律子「たしかに衝突したり、私がさぼったりして、迷惑をかけたこともあった。でも、あなたは私に真摯に向き合い続けてくれたわよね」

P「え? いや、そんなことあったか?」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/28(金) 00:00:44.07 ID:GAN8warH0
律子「扱いづらい人間だったとも思うわ。眼鏡にも髪型にも拘って、衣装も着たがらないし」

P「衣装……?」

律子「他のアイドルとは違う、独特な距離の取り方が必要だったと思うの」

P「そりゃアイドルじゃないし……」

律子「でも、あなたは私を導いてくれた。私が拗ねても、困らせても」

P「……いや、そんな大層な事は……」

律子「自分で思い返しても、扱いづらいアイドルだったと思うわよ? ニッチ狙いとか自分で言っちゃってね」

P「おい、律子、なにを……?」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/28(金) 00:02:55.18 ID:eeKtgrPD0
無印Pと2P?

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/28(金) 00:03:08.21 ID:GAN8warH0
律子「それでもあなたは私をトップアイドルにしてくれた。引退コンサートのこと、いまでも覚えてる。ドームいっぱいのファンのみんなと……」

P「おい!」

律子「はい?」

P「何の話をしているんだ!」

律子「なにって……」

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/28(金) 00:05:40.98 ID:GAN8warH0








律子「前の世界での話よ」

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/28(金) 00:06:37.13 ID:fQlM62tr0
怖すぎ

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/28(金) 00:07:20.09 ID:y71JzATIO
パラレルワールド的なやつか

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/28(金) 00:08:36.27 ID:GAN8warH0


    大丈夫ですよ、プロデューサー。

    あなたが忘れても、何度忘れても、

    私が思い出させてあげますから。

    あなたは、私の、

    私だけの、

    ダーリンなんだから。






    ねえ、ダーリン♪





                                   おしまい

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/28(金) 00:10:07.37 ID:GAN8warH0
おわりー。
なんでホラーになっちゃったのかは、自分でもよくわからない。
律っちゃんにダーリンって言われたいだけなのに……。



元スレ: 律子「おはよう、ダーリン♪」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348753639/


[ 2018/09/13 02:55 ] アイマスSS | TB(0) | CM(0)
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