199 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/23(月)23:57:39 ID:
UYp
~廊下~
P「あ、聖さん、お疲れ様です」
ベテトレ「プロデューサー殿。…ちょうど良かった、少し、時間を頂けないだろうか」
P「構いませんけど……何か問題でも?」
ベテトレ「ここでは何だから…他の者に聞かれない場所に」
P「なら今の時間は……面談室ですね、行きましょうか」
200 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/23(月)23:58:00 ID:
UYp
~面談室~
ベテトレ「私が個人の事に公で口を出すと、贔屓をしているととられかねないからな…」
P「何か、あったんですね…」
ベテトレ「ああ、ここ最近…北条のテンポが他と比べて走り気味でな」
P「加蓮が?」
ベテトレ「何かこう、微妙な差でしかないのだが……恐らくは無意識でずれているんだろうな…」
P「ふうむ……」
ベテトレ「元々、北条は他と比べてもどこか危うさと言うか……ともすれば悪い意味で、どこか生き急ぐようなパフォーマンスをする事が多かったように思うんだ、昔から」
ベテトレ「最近はそれも落ち着いてきてたのだが……ここに来て、どうも…ぶり返したようだな」
P「…まさか、加蓮の身に何か…」
ベテトレ「いや、恐らくだがそれはない。……と、断言するにも私では些か畑違いだが…それでも、長くトレーナーをしている者の勘によるところだが」
P「と、なると……」
ベテトレ「心当たり、ありませんか、プロデューサー殿」
P「………以前と違う、という点でなら一つ心当たりがあります」
P(もしかすると、アイツ……)
201 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/23(月)23:58:32 ID:
UYp
~事務所~
※ぷちかれ達がライブ映像を見ているようです。
ぷちかれ「アイドル…」「アイドル…」「ポテェ…」
P「今日も見に来たんだな、ぷちかれ達」
ちひろ「食い入るように見てるんですよ、1日。加蓮ちゃんが出てくると、ぽてーっ、て大騒ぎなんですから、ふふ。」
P「そうですか…加蓮がホントに大好きなんだなあ、ぷちかれは」
ぷちかれ「カレン!」「カレン」「ポテエエエエ」
ちひろ「加蓮ちゃん出たみたいですね、今」
P「ははは、わちゃわちゃしてて和むなぁ…」
P(けど……恐らくは…)
ガチャリ
加蓮「ただいま戻りました~」
202 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/23(月)23:58:50 ID:
UYp
P「お、お疲れさん。冷蔵庫にスポドリ入ってるよ」
加蓮「うん、ありがと……あ……」
ぷちかれ「カレン」「アイドル-」「キラキラ…」
加蓮「…………」
P「加蓮」
加蓮「え、あ、うん……何、どうかした?」
P「…よしよし」ナデナデ
加蓮「あ……」
加蓮「Pさん…私……」ジワッ
P「ちひろさん、もう少しだけぷちかれ達、お願いします」コソッ
ちひろ「廊下、突き当りの部屋なら今オッケーです」コソッ
P「加蓮、行くぞ」
加蓮「うん……ごめん…」
P「大丈夫だから。ほら、手」スッ
加蓮「ん…ありがと…」ギュ
203 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/23(月)23:59:12 ID:
UYp
~別室~
P「とりあえず…お茶でも飲んでさ」コトッ
加蓮「…こうやって話すの、結構久々だよね…ちょっと役得かも…へへ」
P「…無理して、笑わなくていいんだぞ」
加蓮「…バレたか。バレるか。だよね。」
P「こないだのサマーライブからだよな、ぷちかれ達がアイドルにドハマリしたのって」
加蓮「うん、凄く嬉しかった。もっともっと頑張ろうって、思えたんだ、あの時」
加蓮「けど……気ばかり焦ってさ、何ていうのかな……足元見えてない感じって言うか……うかれてるつもりはないんだよ、だけど」
P「怖く……なったんじゃないか、間近で好意を向けられて」
加蓮「……ううん、違う」
加蓮「ただ、私さ、言ったよね、昔…病院のベッドで、TVで見たアイドルに憧れたって話」
P「ああ」
加蓮「別にさ、有名なアイドルに憧れたわけじゃないんだ。けど、何ていうか……私には、生きる意味だったの」
加蓮「あのアイドルに憧れて、どこかで人生を諦められずにいた。しがみついて生きてこられた。それは、間違いなく…あのアイドルがいたからなんだ」
204 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/23(月)23:59:28 ID:
UYp
加蓮「なんて、引くよね、重いよね、アタシ……けど、ホントにさ」
P「大丈夫だ、引かないさ。俺だって業界人だ、それは軽んずべきものじゃないとわかってる」
加蓮「……Pさん、さ……アタシ……大丈夫かな……あのアイドルみたいにさ……まだまだ、全然、足りないって……わかってるの、アタシっ………!」ポロ…ポロ…
P「加蓮…」
加蓮「いいのかな……アタシで……あんなふうに憧れて貰えるアイドルで……アタシ………うっ………あぁぁ……」
P(ずっと、弱さを見せられなかったんだな)
P(憧れられている、その相手が近くにいる事で、加蓮は……)
205 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/23(月)23:59:45 ID:
UYp
P「加蓮、大丈夫だ。ぷちかれ達はお前を見限ったり、冷めたりなんてしないよ」
加蓮「本当…? でも、だってまだ……」
P「憧れていたアイドルに追いつけていないから、か。でもな、加蓮」
P「憧れとか理想とか、夢とか希望とか……目的とか、存在理由なんてものはさ、きっと完成されたものじゃない。……一つきりじゃないんだよ」
加蓮「………ぐすっ」
P「あるべき姿とか、確かにそれを目指して走ることは大事だし、そうやって成長するからこそ見つけられるものも、見つけてもらえるものも、ある」
P「俺だってまだまだ未熟だし……ちひろさんだって、ベテランのセイさんだって間違いも犯すし、つまずくことだってある」
加蓮「Pさん、達でも…?」
P「当たり前だ、俺なんてうっかりミスはしょっちゅうだし、アイドルに置き換えても……楓さんなんか酒癖凄いし」
加蓮「楓さんに言いつけるよ?もう」クスッ
P「完璧な人なんていやしないって事さ、それに…」
206 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/24(火)00:00:13 ID:
zZ5
P「間違えたら、それを正して導いてやれる。倒れたら、手をとって助け起こしてやれる」
P「そんな仲間が…お前にはたくさんいるじゃないか、加蓮」
加蓮「……一人じゃ、ない?」グス
P「……少し前にさ、ぷちかれ達がおかゆ作って、持ってきてくれたんだろ?」
加蓮「あ………あっ……」ポロッ
P「大丈夫だ、憧れられることを、怖がらなくていい。」
P「胸を張ろう、加蓮。顔を上げて、ぷちかれ達にも、皆にも、ありのままの北条加蓮をさ…見せて、いいんだ」
ぷちかれ「カレン」「ナカナイデ」「ゲンキ」ボコッ
加蓮「わっ……だ、ダメでしょ、アンタ達、そんなとこ穴掘ったりしたら……もう、ぐすっ……あはは……」
泣きながら笑顔を浮かべる加蓮。
その表情は、嘘も、偽りも、諦めも、寂しさも、曇りもなく。
P(きっと、大丈夫だ。そうだろ?)
未来の、トップアイドルなら!
207 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/24(火)00:00:50 ID:
zZ5
~ライブ会場~
加蓮「じゃあ、まずはこの曲で!…皆、見えてる? 私、北条加蓮の……全力のステージ!」
ワアアアアアアア……
加蓮「今日は覚悟してよ?……忘れられなくしてあげるから」ニヤッ
「いくよ!皆!BEYOND THE STARLIGHTっ!!」
ゴールはない世界に。
P「さあ、お前達も行って来い、ぷちかれ軍団!」
「「「「「ポテエエエエ」」」」」ダッ
加蓮「誰よりも!光れ…………っ!」
私の。生きている証をー!
つづく。
208 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/24(火)00:02:03 ID:
zZ5
最終回ではないですよ。
次回から再び日常回です。
お目汚し、失礼をば。
209 :
名無しさん@おーぷん 2018/07/24(火)05:34:39 ID:YtP
乙
たまには見たいマジなお話……
ふーん、悪くないかな(最上型な褒め方)
おーぷん2ちゃんねるに投稿されたスレッドの紹介です
元スレ:
加蓮「イモ掘ったら何か食いついてきた」ぷちかれ「ポテエエ」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1527793435/
歌・トーク:原紗友里&青木瑠璃子 from CINDERELLA PARTY!
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