3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 22:38:02.56 ID:
rEeRI3as0
都「どうしたの、さくらちゃん?」
さくら「あ……都さぁん……」
現場に到着すると、そこにはがっくりと肩を落としてうなだれるさくらちゃん。
彼女は私の後輩で、同じくアイドルです。
都「何か……事件かな?」
さくら「は、はい……実は……」
さくらちゃんの話に耳を傾けつつ、現場周辺の様子を確認。
ここは事務所のリビング。人通りも多く、大がかりなトリックを組むには前もって仕掛けていなければ不可能な場所……
さて、今回の事件は、いったいなんでしょう?
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 22:43:45.17 ID:
rEeRI3as0
都「ゆっくりでいいですよ……さぁ、落ちついて。いったいどんな事件が?」
あまり急かしてもいけない。被害者は気が動転していることも多いのだから探偵はクールにいなければ。
そう、私は稀代の名探偵……予定なのだから、この基本は抑えているのです。
少し間をおいて、さくらちゃんが応えました。
さくら「実は……わたしのケーキがなくなってるんですよぉ……」
都「……なるほど」
都「え?」
さくら「楽しみにしてたのにぃ……ひどいよぉ……」
また、がっくりと肩を落とすさくらちゃん。
なるほど、確かにここには冷蔵庫が……この中に、ケーキを入れておいたんでしょうね。
最初は驚きましたが……事件に貴賎なし。
どうするかなんて決まっています!
都「……さくらちゃん」
さくら「は……はぁい……」
都「安心してください。この事件……この安斎都の名にかけて! 解決してみせますから!」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 22:49:45.91 ID:
rEeRI3as0
さくら「ほ、本当ですかぁ!? 流石都さぁん! わぁい!」
都「いえいえ、この程度。朝飯前にちょちょいと解決してみせてさしあげましょう!」
さくらちゃんの顔がぱぁ、と明るくなりました。
やっぱり、女の子は笑っている顔が一番ですね……
しかし、どうしたものか。ケーキ紛失……これは手ごわい事件になりそうです。
都「……」
さくら「あの、都さん……? どうしちゃったんですかぁ?」
都「あ、あぁ。いえ、少し考え事を」
さくら「そうなんですかぁ……わたしに、何かお手伝いってできませんかぁ?」
ありがたい提案です。
そして、探偵が不安がるところを見られてしまうだなんて……私はまだまだ探偵失格ですね。
都「まずはアリバイ調査から始めましょう!」
さくら「はぁい! わかりましたぁ!」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 22:57:32.95 ID:
rEeRI3as0
――ケース1 佐久間まゆ(16)の証言
まゆ「まゆに、お話ですかぁ?」
都「はい……現在聞きこみ調査中です。ご協力をお願いします」
まゆ「ふふっ……いいですよ。何が聞きたいんですか?」
佐久間まゆさん。同じ事務所のアイドル。
とても可愛い人で、一時は人気の雑誌モデルでした。
しかしある日、ぱったりとモデルの仕事をやめて我が社に入社。
現在はまた、1からキャリアを積み直している段階です。
そう、とても可愛らしく、人当たりも良くて、すっかり事務所にも溶け込んでいる――
完璧な、女の子です。だけれど、彼女の瞳の奥には……何か……
まゆ「安斎さん? どうしたんですかぁ?」
都「あぁ。すみません……どうも、考え事をしすぎているみたいですね」
今回の事件には関係のない話でした。犯行があったであろう時間帯の話を聞かせてもらうことにします。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 23:09:07.86 ID:
rEeRI3as0
都「正午ごろから、3時にかけて……何をしていたのか、また、その最中に見かけた人などがいたら教えてください」
さくらちゃんから聞きだした証言によると、彼女がケーキを買って来て冷蔵庫に入れたのが正午。
そして、無いことが判明したのが3時半――私が事務所に帰ってきたのは3時。
この間のアリバイを、証明できない人がいれば……それはつまり、怪しい人ということになります。
まゆ「そうですねぇ……正午はまだダンスレッスンをしていました。さっきあがったばっかりです」
都「ダンスレッスン……なるほど、ご協力ありがとうございます。上のレッスンルームですね?」
まゆ「えぇ、この事務所は広いですから……とぉっても……」
この事務所は5階建て。ここ、休憩室があるのは2Fです。
そして、ダンスレッスン場は4F……見つからずに移動するのは、簡単ではないでしょう。
都「では、そのレッスン最中に席を外したりしましたか?」
まゆ「……2回ほどお手洗いに行きました。1回あたり、5分もかけていませんよぉ?」
都「なるほど、ありがとうございます。お手数おかけしました」
まゆ「いえいえ、頑張ってくださいね?」
にこやかに笑う、まゆさん。
なんだか、その笑顔の裏に……鳥肌が立つような何かを感じながらも、聞きこみを切り上げました。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 23:15:34.53 ID:
rEeRI3as0
都「まゆさんはシロ……でしょう」
さくら「そうなんですかぁ?」
都「えぇ。なぜなら……5分で、階段を降りて、ケーキを取り出し、食べ、証拠を隠滅し、戻るというのはほぼ不可能ですしね」
プカプカと、パイプを……もとい、息を吹き込むとボールが浮き上がるおもちゃをふかせながら。
さくらちゃんに理由を話しました。
さくら「うぅん……あ、じゃあ他の人はどうなんでしょぉ?」
都「他の人?」
さくら「レッスンは、基本的に何人かでするじゃないですかぁ……その中に、長時間席を外した人がいるかもって思うんですよぉ!」
都「……なるほど」
確かに、正午からのダンスレッスンでまゆさんと一緒だった人たち。
彼女たちの中に怪しい人がいるかもしれない……なら、早くしないと帰ってしまうかも?
都「そうと決まればさっそくです。いきますよ助手くん!」
さくら「え? あ、はぁい!」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 23:26:13.26 ID:
rEeRI3as0
――ケース2 双葉杏(17)の証言
杏「それで、この私の至福の帰宅を妨害してまで聞きたいことって何?」
都「杏さん、落ちついてください。これは重要な事件なんです」
杏「事件ね……はぁぁ、めんどくさい……」
明らかに非協力的な態度。普通だったらこれだけで十分怪しい要素と言えますが……
そうとはいえないのが彼女、双葉杏さん。私の先輩アイドルです。
彼女は世にも珍しい無気力系アイドルとして売り出され、実際に成功。
我が事務所の中でも稼ぎ頭……なのですが、とてつもなくやる気が無いというのはキャラではなく。
杏「だいたい杏が事件を起こすなんてめんどくさいこと、するわけないでしょ?」
都「そうですが……今回のチーズケーキ消失事件について、少しでも情報が欲しいんです。ご協力を」
杏「えー、めんどくさい」
ぐぅ、ちっとも態度が緩まない……流石は不働の、もとい、不動のアイドル。
と、そこに助け舟。
さくら「おしえてくれたら、わたしの持っている飴をあげますからぁ!」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 23:31:42.92 ID:
rEeRI3as0
杏「え、飴? ……そういうのは先に言ってよ。ちょっとだけだよ?」
都「あ、ありがとうございます!」
さくら「やりましたぁ、都さぁん!」
杏さんの好物は飴。やる気のないのはポーズではありませんが、飴のためにならば態度が柔化します。
これは、さくらちゃんのナイスフォローですね。
杏「それで、私に聞きたいことって?」
受け取った飴をひとつ口にほおりこみながら、けだるげな視線をこちらに。
気力は湧いていませんが、協力はしてくれそうです。
都「それじゃあ、今日のレッスン中に変わったことがありませんでしたか?」
杏「レッスン中かぁ……めんどくさいからサボろうとしてたんだけどな」
都「その時に、なにか?」
杏「んー、ちょっとね」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 23:37:51.44 ID:
rEeRI3as0
杏「――あれは、レッスンの最中だったんだけれどね」
―――
――
杏「あー、だるい、疲れた、帰りたいー」
美穂「あ、杏ちゃん……まだ始まったばっかりだよ?」
杏「他の人にとっては小さな一歩でも、杏にとっては大きな一歩なんだ」
美穂「かっこよくいってもだめだよ……ね?」
杏「あー、はいはい。美穂はおせっかいだなぁ」
美穂「そんなことない……と思うんだけど……」
杏「あ、一応褒めてるよ?」
美穂「あ、うん……ありがとう」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 23:44:03.44 ID:
rEeRI3as0
杏「というか、よく杏の世話焼いてくれるけどなんで?」
美穂「え? えっと……あのね」
杏「うんうん」
美穂「杏ちゃんといると……なんだか、緊張しないんだ」
杏「へぇ、杏の体からあの……アレだ、落ちつくなんとかってやつが出てるんじゃない?」
美穂「ふふっ……うん、そんなところ。見てるとわたし、緊張なんかなんでしてるんだろうって思えるの」
杏「ほうほう。ま、それほどでもあるけどねー」
まゆ「うふふ……2人はとっても仲良しなんですねぇ」
杏「ん? まぁね。美穂には飴もよくもらうしー」
美穂「そうかな……? えへへ、ありがとう」
まゆ「でも、仲良しっていいことだと思いますよぉ……ねぇ、三村さん?」
かな子「えっ?」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 23:49:41.29 ID:
rEeRI3as0
かな子「う、うん。そうだね?」
杏「んー? どうかしたの? ぼーっとしてたみたいだけど」
かな子「そ、そんなことないよ。大丈夫だから……うん」
杏「そう? ならいいけど……あっ、そうだ! 体調が悪いなら杏が病院に付き添ってあげようか?」
かな子「そういうのじゃないよ、本当に大丈夫、ありがとう」
杏「遠慮しなくても――ぐえっ」
ベテトレ「……遠慮しなくても、なにかな?」
杏「は、はろー、べてらんとれーなーさーん、ないすとぅーみーちゅー?」
ベテトレ「今日のレッスンは多少ハードでも大丈夫そうだな?」
杏「ち、違うんだよ! 杏はただ、かな子の体調を心配しただけなんだからねっ!」
ベテトレ「ほう……大丈夫か?」
かな子「あ、はい。平気ですから……心配しないでください」
ベテトレ「そうか……無理はするなよ?」
かな子「はいっ」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/22(木) 23:57:32.67 ID:
rEeRI3as0
――――
――
杏「で、そのあとのレッスンでもかな子は結構だめだめでさ」
杏「あと、やたら時計を気にしてたような気もするなぁ……途中で、疲れて休むっていって外したよ」
杏「今は休憩室で休んでるんじゃないかな?」
杏「杏? 私はね、トレーナーと美穂2人に監視されてて休むどころじゃなかったよ。まったく大きなお世話って感じ」
都「……なるほど。ご協力ありがとうございました」
これは、重要なファクターです。
杏さんは、美穂さんとベテラントレーナーさんの2人に監視されていた以上犯行および脱走は不可能でしょう。
そしてこれは逆に、監視をしていた側の美穂さん、ベテラントレーナーさんの犯行を不可能だという証拠でもあります。
三村かな子さん。お菓子が大好きな、私の先輩。
休憩室があるのは3階です。抜けだして2階にやってくることだって容易いはず。
……聞き込みを、続けましょう。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:02:57.74 ID:
ZlaOphko0
――ケース3 三村かな子(17)の証言
かな子「ふぅ……やっぱり……」
都「何がやっぱり、なんですか? かな子さん」
かな子「えっ? み、都ちゃん!?」
都「……何を、驚いているんですか?」
休憩室のドアをあけると、ためいきをついているかな子さん。
体調はもう平気なのか、顔色も良さそうです。
かな子「う、ううん。なんでもないよ?」
都「そうですか?」
かな子「うん。も、もう元気だから!」
若干声が上ずっているのがわかります。
かな子さんは、今、焦っている……
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:10:24.42 ID:
ZlaOphko0
都「元気なら、いいんです。かな子さん」
かな子「な、なにかな?」
都「今日は、何をしていましたか?」
かな子「何をって……えーっと、そうだなぁ」
目線が右斜め上へ。
かな子「今日は、朝からなんだか調子が悪くて……それでも、レッスンはしなくちゃって思ってたの」
都「なるほど……」
かな子「だから、頑張ってここに来たんだけれど。トレーナーさんにも止められちゃって、休むことになったんだ」
目線が、下に。
かな子「だから……それからは、ずっとここで休憩してたよ。休んでたの」
かな子「体調も、だいぶ回復したし今日は帰ろうと思ってるんだ」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:14:56.37 ID:
ZlaOphko0
都「そうですか……かな子さん」
かな子「どうしたの?」
都「……本当に、休憩室からは出ていませんか?」
かな子「そ、それはっ……」
都「……」
じっと、目を見つめる。
かな子さんも、私の目を見ている。
息がつまりそうな時間が、一秒、二秒と流れていく。
耐えきれなくなったのか、かな子さんが目線をそらしました。
かな子「う……実は、出たよ? で、でもそれは、その。お手洗いにいっただけで、すぐ戻ったし!」
都「流石に、それは苦しいですよ。かな子さん」
かな子「うぅっ……」
追い詰めた。
追い詰めてしまった。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:20:53.67 ID:
ZlaOphko0
かな子「実は、私は……」
都「……わかっています。体調不良は、実は嘘ですね?」
かな子「え?」
懐から吹き上げパイプを取り出し、ふぅと一息。
ふわりと浮かんだボールが、すとんと元の場所へ。
都「嘘、という言い方は正しくないかもしれません……実際に、身体はいつもの調子ではなかったようですし」
かな子「う、うん……」
都「お腹が、空いていたんですね?」
かな子「……」
この場での、沈黙は肯定の意味。
都「ひょっとしてかな子さんは、体重を気にしてダイエットでもしようとしていたのではないですか?」
かな子「な、なんで……それを……」
都「少し考えてみたんです。今回の事件を」
かな子「事件……?」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:27:40.67 ID:
ZlaOphko0
都「今回の事件は、さくらちゃんのチーズケーキが消失したところから始まります」
都「容疑者はレッスン中だった美穂さん、かな子さん、杏さん、まゆさんにしぼられました」
都「この中で犯行が可能だったのはかな子さんしかいないんです」
かな子「えっ……ちょ、ちょっと待ってよ!」
都「なんでしょう?」
かな子「事件って、なんのこと?」
都「いまさらしらばっくれる気ですか? ゲロって楽になってしまいましょう!」
かな子「だ、だって! 私が元気になったのは、休憩室のお菓子を食べたからだけど……」
都「や、やっぱり! 私のお茶受けが無くなっていたんですよ!」
かな子「ご、ごめんね? お、お腹がすいててつい……」
都「ついじゃありませんよ、もうっ!」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:34:00.98 ID:
ZlaOphko0
都「私、あまーいチョコレートと一緒じゃないとコーヒー飲めないんですよ。まったく……」
かな子「すごく美味しくて、元気出たよ……ごめんね?」
都「あと、推理とは関係ありませんけど……ほっぺ」
かな子「え?」
都「チョコのカケラがついてますよ。それも、休憩室のベッドにはチョコのあとが残っていない」
都「かな子さんが私のチョコを食べたことは確定的に明らかなのです!」
かな子「おぉ……流石都ちゃん……」
都「今度、何かお菓子を作ってください。私の推理料兼お詫びとして!」
かな子「う、うん。腕によりをかけて作らせてもらうよ」
都「……だいたい、かな子さんは魅力的なんですから、無理なダイエットなんかして体調を崩したりしたらどうするんですか?」
かな子「え?」
都「美味しいものを食べている時のかな子さんは素敵ですよ。ご飯を抜くなんて間違ってます」
かな子「そ、そうかな……うん。ありがとう都ちゃん……」
さくら「ちょ、ちょっとまってくださいよぉ!」ガラッ!
かな子「さ、さくらちゃん?」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:38:33.39 ID:
ZlaOphko0
さくら「わたしのチーズケーキはどうなっちゃったんですかぁ!?」
都「う……そ、それは」
ちひろ「ここからは私のターンですね」ガララッ
かな子「ち、ちひろさん?」
ちひろ「おはようございます、かな子ちゃん! ちゃんとご飯は食べなきゃダメですよ?」
かな子「は、はい」
都「……」
ちひろ「さて、今回の事件の真相をお話ししましょう」
さくら「真相ですかぁ……? わたしのケーキ……」
ちひろ「そう。さくらちゃんのケーキを食べた真犯人は、かな子ちゃんではありません。別にいます!」
さくら「そ、そぉなんですかぁ!?」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:42:41.45 ID:
ZlaOphko0
ちひろ「さくらちゃん、冷静になって考えてみましょう」
さくら「え?」
ちひろ「あなたはもう、犯人が分かっているはずですよ?」
さくら「犯人……? だ、だって、それはぁ……そのぉ……」
ちひろ「今回の事件の真犯人。それは――」
ちひろ「杏ちゃんでも、美穂ちゃんでも、トレーナーさんでもありません」
ちひろ「もちろん、かな子ちゃんでも」
ちひろ「そう。あなたなのよ……都ちゃん!」
都「っ……!」
かな子「えっ……」
さくら「えぇぇーっ!?」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:47:45.17 ID:
ZlaOphko0
さくら「だ、だってちひろさぁん、都さんは……」
ちひろ「そう、積極的に捜査してくれて探偵そのものでした」
ちひろ「だけどね、さくらちゃん……都ちゃんが帰って来てから、さくらちゃんが帰ってくるまでに30分のタイムラグがあるのよ」
さくら「あ……」
ちひろ「さらに、さくらちゃん。あなたは都ちゃんにケーキの種類を教えましたか?」
さくら「い、いいえ。わたしはただ、ケーキがなくなってます、とだけ……」
ちひろ「ならばなぜ、かな子ちゃんを問い詰める時に『チーズケーキが消失したところから始まる』なんて言ったのでしょう?」
さくら「そ、そういえば確かに……なんで知ってたんですかぁ?」
都「……」
ちひろ「それは、都ちゃんがチーズケーキを食べてしまったからです」
さくら「えぇぇーっ!?」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:50:53.53 ID:Ntn79tv80
えぇぇーっ(棒読み)
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:51:38.89 ID:kvz7UbB40
な、なんだってー
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:54:04.79 ID:bd7a/Rk50
ちひろさんマジ名探偵
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 00:54:12.80 ID:
ZlaOphko0
ちひろ「かな子ちゃんに、お茶受けのチョコレートを食べられてしまった都ちゃんは困ったんでしょう」
かな子「ご、ごめんなさい……」
ちひろ「それでも3時のティータイムはしたかった。探偵の嗜みとして……探したんですね。お茶受けになるものを」
都「だ、だって……」
ちひろ「えぇ、都ちゃんにとってとても大切なことだったんでしょう? そして、食べている最中にさくらちゃんが事務所に」
ちひろ「都ちゃんは内心焦ったはず。食べてしまったあと、買いにいくつもりででもいたんですね?」
都「……はい。あのチーズケーキなら、30分もあれば買いにいって、戻ってこれますから」
ちひろ「ところが、あの状況で食べてしまったとは言いづらい。どうにかお茶を濁してその場をさり、改めて買ってお詫びを……といったところでしょうか」
都「ふ、ふふっ……完敗です。ちひろさん」
都「私にはもう、探偵アイドルの資格はありませんね……」
かな子「み、都ちゃん……」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 01:01:12.10 ID:
ZlaOphko0
都「本当は、ごまかしてしまうつもりだったんです」
都「犯人はわからなかった、仕方がないなんて言って。それで、あとからケーキを買って、本当のことを言って、ごめんなさい、っていえばって」
都「でも、推理を始めたら……少しずつ、真実がわかっていったんです。さくらちゃんの知りたいものじゃなく、私の知りたかった真実が」
かな子「都、ちゃん……」
都「かな子さん。私は恨んでなんかいません……これは、我慢のひとつもできなかった私が悪いんです」
都「3時のティータイムを。冷蔵庫のチーズケーキを。お茶受け事件の推理を。我慢できなかった、私が……」
さくら「み、都さん!」
都「さくらちゃん。ごめんなさい……私ね、本当は探偵なんかじゃ……」
さくら「そんなことありませぇんっ!」
都「……!」
さくら「わ、わたしは、ほんとぉに、都さんが、かっこいいと思いましたからぁ!」
都「で、でも……さくらちゃんの、ケーキは……」
さくら「ケーキは、また買えます! でも、都さんは、ひとりしかいないんですよぉ!」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 01:07:16.88 ID:
ZlaOphko0
さくら「わたしは、都さんが、わたしから離れちゃうのが嫌なんです!」
都「さくら、ちゃん……私は……」
さくら「だから……だから、辞めるなんていわないでくださいよぉ……いやですぅ……」
都「……ごめんね、さくらちゃん……」
かな子「……よーっし! さくらちゃん、都ちゃん!」
さくら「な、なんでしょぉ?」
都「かな子、さん?」
かな子「こうなったら、もう……みんなでチーズケーキを作っちゃおう?」
さくら「チーズケーキ、つくれちゃうんですかぁ!?」
都「か、かな子さん。でも私は」
かな子「都ちゃんにはお詫びと推理料でお菓子を作ってあげないといけないんだよね?」
都「あ……そ、そういいましたけど……いいんですか?」
かな子「1人より、みんなで作ったほうが美味しいと思うから。どうかな?」
さくら「だぁいさぁんせぇです!」
都「……はい、ぜひっ!」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 01:11:45.26 ID:
ZlaOphko0
ちひろ「アイドル同士の友情、これもまた美しきかな……」
ちひろ「都ちゃんと、かな子ちゃん、さくらちゃん。とってもかわいらしいトリオですね」
ちひろ「よかったよかった、ハッピーエンドです♪」
かな子「あ、ちひろさんもよかったらどうですか?」
ちひろ「あら、いいんですか? それじゃあ遠慮なく」
おわり
まゆ「……ねぇ、プロデューサーさん?」
まゆ「まゆは、まだまだあなたのことを見てますよぉ……」
まゆ「毎日、少しずつだけれど、準備をしていますから」
まゆ「待っていてくださいね……」
――おわり?
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/23(金) 01:13:03.90 ID:
ZlaOphko0
都ちゃんSS催促されてたのとネタ浮かんだのでつい
結論:即興でミステリは無理がある。もうやめとこう
保守支援ありがとうございました
元スレ:
モバP「探偵アイドル安斎都の事件簿」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353591075/
(2018-08-29)
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ただPさんの安否が気になるな(笑)