8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 00:13:00.41 ID:
Q8m2VJee0
オフの日 レッスン場
貴音「……」
P「……」
貴音「いかがですか、あなた様」
P「少し表情が固いな。曲に合わせようとして、そっちに気が回っている」
貴音「ご指導、ありがとうございます」
P「構わないさ」
P「さあ、続けてくれ」
貴音「はい……」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 00:21:10.69 ID:
Q8m2VJee0
貴音「……」
P「貴音、少し休憩だ。息が上がってきてる」
貴音「はい……」
P「ほら、水だ……」
貴音「あっ……」
P「ほらほら、床に落ちた水を舐めとるんだ」
貴音「……」
P「あはははは! 水を求めて、アイドルが濡れた床に舌を這わしてるよ!」
P「中々な絵面じゃないか」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 00:29:18.20 ID:
Q8m2VJee0
貴音「……」
P「うん……いい目だな。そういうのがなくちゃあ俺も面白くない」
P「すぐに壊れてしまうのは、面白くないからな」
貴音「あなた様の戯言に付き合うつもりはありません」
P「それもそうだな。レッスンを続けよう」
貴音「はい……ご指導よろしくお願いします」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 00:33:29.44 ID:
Q8m2VJee0
P「ダンスが遅れてるぞ」
貴音「はい!」
P「表情が固い」
貴音「はい!」
P「音がずれてる」
貴音「すみません」
P「謝るくらいならどうすればいいか、さっさと考えろ」
貴音「……はい」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 00:40:33.48 ID:
Q8m2VJee0
P「今日はここまでだな」
貴音「あの……」
P「なんだ?」
貴音「もう少し指導を……」
P「明日は普通に仕事があるだろ?」
P「それとも……」
貴音「……」
P「こっちの指導をしてほしいのかい、四条のお嬢さん?」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 00:50:50.28 ID:
Q8m2VJee0
貴音「あの……汗をかいてしまっているので」
P「貴音の事情なんて知らないんだよ」
P「だったらさ……そういう思わせぶりなことを言うのやめろ」
P「俺がレッスンはやめだと言ったんだ。食い下がるなよ」
貴音「……はい」
P「俺の指示通りにいけば、トップアイドルになれる」
P「貴音のいう高みに連れて行ける」
貴音「……そうですね。あなた様は既に結果をだしておられますからね」
P「そういうこと。俺のやり方でトップアイドルが生まれているんだよ」
P「だから、貴音も俺の元から離れていない」
貴音「はい……」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 01:03:59.42 ID:
Q8m2VJee0
P「んっ……」
貴音「っ!? んっ、んんっ……んちゅ、ぴちゅ」
P「ぷはっ……」
貴音「はぁ、はぁ、はぁ……」
P「へえ……」
貴音「なんでしょうか……」
P「上手になっているじゃないか。指導の成果っていうやつだな」
貴音「私は、そんな……はしたない女では」
P「はしたないよ。厭らしい」
P「オフの日に俺の指導を受けるために、あんなことして」
P「そして、いま……俺を求めてる。見てみろよ、あのミラー」
貴音「……」
P「映っている貴音の顔、恍惚としてるな?」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 01:14:14.50 ID:
Q8m2VJee0
P「あれを見ても、まだ自分がはしたなくないって言えるのか?」
貴音「……はい」
P「そうか。なら、本当に今日のレッスンはやめだ」
P「俺自身は、処理の相手は貴音じゃなくてもいいわけだしな」
貴音「あなた様……それは、どういう意味ですか!?」
P「言葉の通りだ」
P「あっ、そうだ……貴音、言い忘れてたよ」
貴音「何でしょうか?」
P「トップアイドルを目指しているのは、貴音だけじゃないからな」
貴音「……それは!」
P「じゃあ、俺は帰るからな。明日の活動もよろしく」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 01:33:26.55 ID:
Q8m2VJee0
朝
貴音「あなた様……今日の仕事は」
P「PV撮影だな」
P「今日もよろしく頼むよ」
貴音「はい……」
P「まあ、俺は見ているだけだからな」
貴音「わかっています」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 01:42:16.44 ID:
Q8m2VJee0
撮影現場
貴音「あなた様、ここはどのように意識して動けば」
P「自分で考えろ」
P「とりあえず動いて、あとで撮ったの見ろ。その後に、どう動くべきか考えろ」
P「あまり人に頼るな」
貴音「はい……わかりました。できるだけ己の力でやってみます」
P「それでいい。味をしめるとな、そればっかりになるからな」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 01:54:27.37 ID:
Q8m2VJee0
貴音「……」
P「上手くいってないな」
貴音「……」
P「そこら辺が今の貴音の限界ってことだな」
貴音「言葉もありません……」
P「貴音、これ……つけろ」
貴音「これは……あなた様、冗談はよしてください」
P「でも、このままじゃあ仕事進まないから」
P「俺の指示に従え。こんな仕事、すぐに終わらせてやる」
貴音「……わかりました。あなた様を信じます」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 02:02:02.35 ID:
Q8m2VJee0
貴音「……」
カメラマン「うん、いいねいいね。貴音ちゃん、色っぽいよ」
貴音「はぁ、はぁ、はぁ……」
カメラマン「うん、どうしたの貴音ちゃん? 息、荒いよ」
貴音「いえ、なんでもありません。少し、動きが大きかったからでしょうか」
カメラマン「そうなんだ。でも、すごいね。さっきまで正直いまいちだったのに途端によくなるんだもの」
カメラマン「やっぱり、あれ? プロデューサーさんのお力ってやつ?」
貴音「そう……ですね」
P「……」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 02:14:35.48 ID:
Q8m2VJee0
車内
P「撮影、終わってよかったな」
貴音「……」
P「カメラマンの人、色っぽいって言ってたな」
P「貴音のミステリアスな雰囲気に色っぽさが加わる、いい出来だったよ」
P「まあ、色っぽくて当然なんだけどな」カチッ
貴音「くっ……ああっ!?」
P「あそこにオモチャいれて、撮影してたんだから」
P「流石に振動を「強」にすることはしなかったが、それでもまあ……」
貴音「……はぁ、はぁ」
P「見ていて面白かったよ、ははは!」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 02:26:05.91 ID:
Q8m2VJee0
P「出来上がったPVを見て、ファンは貴音のことをどう思うんだろうな」
P「まあ、エロイと感じるんだろうな」
P「画面にうつるアイドルが、オモチャでよがっているなんて知らずにさ」
P「バカな奴らだよ」
貴音「あなた様といえど、私のファンにそのような言い方は!」
P「だが事実だよ、貴音。お前はアイドルだ。当然、それにふさわしい外見をもっている」
P「そして、男どもはそういう貴音の外見や振る舞いにつられてファンになっていくんだ」
P「もちろん、それだけが貴音の魅力とは言わないが」
P「水着のグラビアだって、そういう奴らの股間を刺激するためにやっているようなものだからな」
貴音「……」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 02:37:41.22 ID:
Q8m2VJee0
P「貴音、事務所についたぞ。この後は、レッスンだ」
貴音「……」
P「どうした、貴音?」
貴音「一つ、お聞かせください」
貴音「あなた様にとって、私を含めてアイドルとは何なのですか?」
P「そうだな……答える前に俺が聞いていいか?」
貴音「はい……」
P「貴音、トップアイドルについてどう考えてるんだ?」
貴音「それは大変、名誉あるものだと思います。極めた者がたどり着ける高みなのでしょう」
P「じゃあさ……もう一つ質問で悪いけど」
P「『トップアイドルを生み出したプロデューサー』について、どう考えているんだ?」
貴音「……っ!」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 02:52:43.38 ID:
Q8m2VJee0
P「俺も目指しているんだよ。トップアイドルを生み出す敏腕プロデューサー」
P「そのためには、貴音たちアイドル達の力が必要なわけだ」
貴音「しかし、あなた様は既にトップアイドルを」
P「全員なんだよ。俺の目標は765プロの全員をトップアイドルにすることだ」
P「初めてトップアイドルが生み出したとき感動したよ」
P「でも、それまでだ。トップを生み出してもそこがゴールじゃない」
P「次を考えなくちゃいけない。高校に受かったら、大学、次は就職……みたいな感じでな」
貴音「私達は、あなた様の目標を叶えるための駒ということですか」
P「そう捉えてもらっても差し支えない」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:08:56.72 ID:
Q8m2VJee0
P「さあ、質問には答えた。レッスンに行ってこい」
貴音「あなた様は、どうなさるのですか?」
P「当然、次の仕事をとりに行く。それと他のアイドルの相手だな」
貴音「そうですか」
P「貴音、今の俺の話を聞いて765プロを抜けようと思うなら早めに頼むよ」
貴音「それは……どういう意味ですか」
P「どういう意味もなにもないだろ」
P「負け犬になる予定のアイドルに時間をかけるくらいなら、他のアイドル達のプロデュースに力をいれたいからな」
貴音「……レッスンに行ってきます」
P「頑張ってくれ」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 08:25:24.45 ID:
Q8m2VJee0
レッスン場
貴音「……」
貴音「やはり、自分一人ではいまいち成果がみえないものですね」
貴音「指導してくれる人間がいないだけで、これほど違ってしまうとは……」
貴音「悔しいですが、今の私ではプロデューサーの指導がなければこの程度」
貴音「だからこそ、たとえ辱めをうけようと私はあの方を求めてしまうのでしょう」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 08:56:30.62 ID:
Q8m2VJee0
オーディション会場
P「今日は、オーディションだ」
P「いつも通り、俺の指示に従ってくれよ」
貴音「わかっています」
P「いい返事だ」
貴音「それではいってきます」
・
・
・
P「合格だな」
貴音「はい、これもあなた様の指示のおかげです」
P「当然だ。俺は俺の仕事をこなしている」
P「あとはそれに貴音がついていければなんの問題はない」
P「これからも、しっかり働いてくれよ……お互いのためにな」
貴音「……」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 09:11:31.61 ID:
Q8m2VJee0
貴音「お互いのため……そうですね」
貴音「あなた様が自らの目標のために私を駒として扱うならば」
貴音「私も、あなた様を高みにいたるための手段と考えます」
P「そうだな、それがいい」
貴音「あなた様、明日の予定は……」
P「休みだ。だが、やらなくちゃいけない仕事がある」
貴音「でしたら、私にご指導をお願いしたいのです」
P「おい、話を聞いていたのか?」
貴音「あなた様の言葉を借りるなら、あなた様の事情など知りません」
貴音「私が高みにいたるため、手段は選びません」
P「なるほど、そうきたか」
P「そこまで言うならいいだろう。だが……俺の授業料は高いぞ」
貴音「……存じております」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 09:49:00.23 ID:
Q8m2VJee0
翌日 P宅
P「……」
貴音「すぅ、すぅ……」
P「ハードなレッスンに、ハードな……」
P「少し調子に乗りすぎたな。壊れてしまったら元も子もない」
P「でも、その時は捨てればいいだけだけどな」
P「俺のやり方についていけないなら、必要ないしな」
P「さてと、仕事を始めるか……朝までには終わるだろう」
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 10:08:13.79 ID:
Q8m2VJee0
貴音「んっ……ここは」
貴音「そうでした。私は、昨日プロデューサーのレッスンを受けてその後……」
貴音「あなた様、どこにおられるのですか?」
P「……」
貴音「眠っておられるようですね。……これは企画書か何かでしょうか」
貴音「私の分だけではなく、他の皆の分まで」
貴音「……」
・
・
・
貴音「これ位のことなら、問題ないでしょう」
貴音「私自身の目的のために、あなた様には万全の状態であってもらわなくてはなりません」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 10:32:52.23 ID:
Q8m2VJee0
P「うっ……何時だ」
P「出社まで、まだ結構時間があるな」
P「朝飯でも食べるか」
P「あれ……もう用意してある」
P「んっ……これは貴音の書置きか」
誠に勝手ながら朝食を用意させてもらいました。
本日も活動、よろしくお願いします。
あなた様の手腕、見せていただきます。
追伸 冷蔵庫の中身がほとんどないようですが、しっかりしたものを食べてください。
P「……」
P「……」クシャクシャ、ポイッ
P「いただきます」
P「……」
P「おっ、美味い」
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 11:00:44.91 ID:
Q8m2VJee0
P「おはようございます」
貴音「おはようございます、あなた様」
P「今日は新曲の収録だ。準備はできてるか?」
貴音「いつでもどうぞ」
P「いくぞ」
貴音「はい……」
貴音「あの、あなた様……」
P「どうした?」
貴音「今朝は……」
P「食ったぞ」
貴音「そうですか。なら、いいのです」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 11:10:43.67 ID:
Q8m2VJee0
スタジオ
貴音「~♪」
P「……」
貴音「いかがでしょうか?」
P「ああ……いいと思うぞ」
貴音「……」
P「どうした、驚いた顔をして」
貴音「いえ、何かしら指摘の一つでも来ると思っていたので」
P「そういう出来だったのか?」
貴音「そのようなことは決して!」
P「なら、問題ない。少なくとも今の段階ではな」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 11:24:17.84 ID:
Q8m2VJee0
貴音「微妙な言い方ですね」
P「指摘するべきところはいくつかある」
貴音「ならば!」
P「だが、今の貴音の立ち位置なら、これ位の出来がちょうどいい。ちょっと必死に歌っているくらいの方がな」
P「完璧を求めるのは、それにふさわしい場所までたどり着いてからだ」
P「あんな風にな……」
千早「~♪」
貴音「如月千早」
P「そう、俺の生み出した記念すべきトップアイドル第1号」
貴音「……」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 11:34:10.29 ID:
Q8m2VJee0
P「俺は、千早の様子を見てくる。休んでいろ」
貴音「はい……」
・
・
・
千早「~♪」
貴音「いつ聞いても如月千早の歌は素晴らしいものです」
P「千早、そこ違うぞ!」
貴音「!?」
千早「……どういうことですか」
P「そこはもっと柔らかく歌え。作詞家の意図をはき違えるな」
千早「わかりました……」
P「わかったなら、同じミスをするなよ」
千早「はい!」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 11:41:01.11 ID:
Q8m2VJee0
貴音「……」
貴音「私には、何も指摘をしてくださらなかったのに」
貴音「トップアイドルである如月千早にはあれだけの熱意を……」
貴音「私も高みにたどりつけたら、あれほどの熱意を向けてもらえるのでしょうか?」
貴音「少し……恨めしいです」
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 12:03:46.10 ID:
Q8m2VJee0
千早「プロデューサー、本日はありがとうございました」
P「俺の夢である、全員トップアイドル」
P「それが完了するまでは、千早にはトップの1角であってもらわないと困るからな」
千早「わかっています。だから、こうして私もプロデューサーを使って……」
千早「自分の歌を完成させています」
P「立っているものは親でも使えって言うしな。だが、あまり」
千早「人に頼りすぎるな……そう言いたいのですよね?」
P「わかっているなら、それでいい」
P「俺は千早じゃないからな。結局の所、最後に頼れるのは自分自身だ」
千早「はい」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 12:23:53.31 ID:
Q8m2VJee0
事務所
貴音「おつかれさまでした」
P「ああ、おつかれさま」
貴音「あなた様は、まだ帰らられないのですか?」
P「すこし用事があるからな」
貴音「用事……ですか。それは」
P「話す必要はない」
貴音「それは話せない用事……ということですか?」
P「食い下がるな。まあ、いい……レッスンだ、他のアイドルのな」
貴音「しかし、本日はレッスン場は」
P「別にレッスン場だけが、レッスンする場所じゃない」
P「ほら、もう帰れ。遅いんだからな」
貴音「はい、わかりました」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 12:32:22.23 ID:
Q8m2VJee0
貴音「……」
貴音「やはり……気になります」
貴音「少々こころ苦しいですが」
・
・
・
P「……」
貴音「いったい、プロデューサーはどこでレッスンをするというのでしょうか」
P「……」
貴音「ここは公園……それにあれは」
貴音「響……」
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 12:41:25.82 ID:
Q8m2VJee0
響「はいさい、プロデューサー!」
P「静かにしろ。もう夜だ」
響「ううっ、ごめんなさい」
P「準備運動は?」
響「大丈夫だぞ。自分、いつでもいけるぞ」
P「わかった。ほら」
貴音(あれは携帯音楽ぷれいやーというものでしょうか?)
P「合図で曲を再生しろ。歌は歌うなよ」
響「わかってるぞ」
P「じゃあ、いくぞ。3,2,1……」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 12:52:49.99 ID:
Q8m2VJee0
響「……」
P「……」
響「どうだ、プロデューサー! 自分の完璧なダンスは!」
P「やり直し」
響「うぎゃ! それはどういうことだ、プロデューサー!」
P「やり直し」
響「うぐぐぐ……普段のレッスンだったらこれでオッケーくれるのに」
P「今は、プロデューサーとして戦略を練る時間じゃないからな。好きなだけダメ出しをしてやる」
響「よしっ、その言葉……自分への挑戦と受け取ったぞ」
P「喋ってないで、さっさとやれ」
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 13:09:00.58 ID:
Q8m2VJee0
P「……そろそろ俺は帰る」
響「ちょっと待って、プロデューサー! まだレッスンがしっかりできてないぞ!」
P「今日は、もう充分だ」
響「もう少し、もう少しで何かがつかめそうなんだ!」
P「俺には関係ないな。今の響の実力ならアイドルの活動には問題ない」
響「プロデューサーとして戦略を練る時間じゃないって言ってたじゃないか!」
P「なら、ハッキリ言ってやるよ。これ以上は、無意味だ。付き合う価値もない」
響「そんな……」
P「伸びしろが少ないんだよ。元々、ダンスの能力が高いせいもあってな」
響「お願い……もう少しだけ」
P「……だったら」
P「どうすればいいか……わかるよな?」
響「……うん。あそこの茂みなら人がいないぞ」
P「場所を取っておくなんて、ずいぶんと用意がいいな」
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 13:22:11.31 ID:
Q8m2VJee0
・
・
・
P「さすがに声を抑えさえるのには、苦労したな」
P「響のやつ、人の指をなめしゃぶりやがって……」レロッ
貴音「あなた様……」
P「おお、貴音か。まだ帰ってなかったのか」
貴音「レッスンの相手は響だったのですね」
P「前に言っただろ? トップアイドルを目指しているのは貴音だけじゃないって、つまり、そういうことだ」
P「いや~、響みたいな一人暮らしは時間を気にしなくていいから楽だよ」
P「これがやよいとかだと、親御さんや弟たちのこともあるから中々難しいんだ」
貴音「私だけではなかったのですね」
P「当たり前だ。何度も言っているだろ? 俺の夢は、全員トップアイドルだ」
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 13:38:44.12 ID:
Q8m2VJee0
響「あっ、貴音! どうしたんだ、こんな所で」
貴音「響……」
響「プロデューサー、レッスンの続きをしてほしいぞ」
P「わかった。すぐに準備しろ」
響「そうだ、貴音もどうだ?」
貴音「私も……ですか、しかし」
響「プロデューサーもいいよな?」
P「……貴音、ジャージはあるか?」
貴音「鞄の中にありますが」
P「そこの茂みで着替えてこい……すこし臭うけどな」
響「プロデューサー!」
貴音「わかりました……」
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 13:54:36.54 ID:
Q8m2VJee0
P「貴音、準備はできたか?」
貴音「はい、大丈夫です」
響「プロデューサー、曲は何にするんだ?」
P「そうだな……デュオ用でいくか」
P「貴音は右、響は左」
P「トラックの番号は6だ」
響「よし、バッチリだぞ」
貴音「あの……もうしわけありません。とらっくとは?」
P「……響、教えてやれ」
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 14:05:45.59 ID:
Q8m2VJee0
P「いくぞ、3,2,1…」
貴音「……」
響「……」
・
・
・
貴音「はぁ、はぁ、はぁ……」
響「つ、疲れた……ぞ」
P「まあ、及第点だな」
P「今日は帰るぞ。明日に響かせるなよ」
響「あの変態プロデューサー……しごくだけしごいて」
貴音「プロデューサーは、そういう人ですから」
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 14:30:59.78 ID:
Q8m2VJee0
事務所
P「最近は、貴音の人気があがってきているな」
貴音「はい、あなた様の采配が功をそうしているのでしょう」
P「次のオーディションあたりでトップの仲間入りはほぼ確定だな」
P「……」
貴音「あなた様、どうかしたのですか?」
P「少し考え事をしていた」
貴音「何か悩みでもあるのですか?」
P「自分の実力がどれだけ成果として繋がっているか見てみたくなった」
貴音「はあ……あなた様の実力は、私や皆も理解していますが」
P「そうじゃないんだ。とにかく、次のオーディションに向けてレッスンに力をいれろ」
貴音「はい……」
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 14:44:02.28 ID:
Q8m2VJee0
公園
響「話って、なんだ……プロデューサー?」
P「響、はっきりと響の意見を聞きたい。今の活動状況をどう考えているんだ?」
響「今の活動か? う~ん、そうだな。不満はほとんどないんだぞ」
響「プロデューサーの戦略で、自分は確執にトップに近づいているし」
響「でも……やっぱりもっとオーディションとかに出て、みんなに自分のこと知ってほしいぞ!」
P「そうか、わかった……なら、響」
P「お前の不満を解消させてやる」
響「それって、オーディションに出るってことか!」
P「そういうことだ」
響「よーしっ! 自分、やる気出てきたぞ!」
P「頑張れよ」
響「プロデューサーの方こそ、オーディションでの指示バッチリ頼むぞ!」
P「任せてくれ」
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 14:59:57.14 ID:
Q8m2VJee0
Prrrrr……
千早「もしもし、如月千早です」
P「千早、俺だ」
千早「プロデューサー……どうしました、電話される用事はないと思いますが」
P「いや、それがある。次のオーディションだが……」
千早「オーディションの変更ですか。しかし、そのオーディションは」
P「まあ、千早にしたら少し物足りないかもな」
千早「それなら、どうして……」
P「それが、ある筋からの情報でな。如月千早を越えるかもしれないアイドルが2名も参加するらしいんだ」
千早「……」
P「俺としては、その二人の実力を見てみたいし、千早が負けるとは思えないが……どうする?」
千早「その情報は確かなのでしょうか?」
P「もちろんだ。俺が保証する」
千早「……わかりました。そのオーディションを受けます」
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 15:27:00.08 ID:
Q8m2VJee0
オーディション会場
貴音「プロデューサーは、後からやってくると言っていましたが」
貴音「これを制すれば、私もトップアイドルの一人になるのですね」
貴音「……」
響「う~、プロデューサーめ……こんな大きなオーディションなんて自分聞いてないぞ」
響「でもでも、もうエントリーは済ましてあるみたいだし……」
響「うがー! やめだ、やめ! 悩んでたってしょうがないぞ!」
貴音「響……」
響「あっ、貴音……どうしてここに?」
貴音「それは、こちらの台詞です」
千早「なるほど……そういうことね」
響「千早!」
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 15:34:10.26 ID:
Q8m2VJee0
P「すまない、遅れた。その様子だと、顔合わせは出来たみたいだな」
貴音「これは……どういうことですか、あなた様」
響「そうだぞ、説明を求めるさー!」
千早「プロデューサー、騙しましたね?」
P「それは違うな。舐めていると足元をすくわれるぞ」
千早「私は……私の全力をもって臨むだけです」
P「そうこなくちゃあ、面白くない」
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 15:46:07.18 ID:
Q8m2VJee0
P「まあ、早い話……自分の育てたアイドル同士を競わせてみたかっただけだ」
貴音「そう言えば、そのようなことを言っていましたね」
P「ハッキリ言って誰でもよかったんだけどな」
P「ちょうど貴音がトップアイドル目前だったし、響も調子が良さそうだったから」
響「プロデューサー、そんな理由で自分に声をかけたのか……ひどいぞ!」
P「別に帰ってもいいぞ。響の意志がその程度ってことだしな」
響「ひ、ひくわけないぞ!」
P「ああ、因みに合格枠は2枠だから」
貴音「それは、つまり……」
P「765プロが1,2で決めても、お前たち3人の中で誰かがあぶれるってことだ」
響「……」
千早「……」
貴音「……」
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:03:14.14 ID:
Q8m2VJee0
P「安心してくれ。俺にとって、お前たちは夢を叶えるための大事な駒だ」
P「誰一人、オーディションの指示に手を抜くつもりはない」
響「そこは、信用しているぞ」
貴音「あなた様は酷い方ですが、嘘はついていませんから」
千早「実力を測るのは私達でもあり、プロデューサー自身もです」
千早「手を抜かないのは当然です」
P「そういうことだ。さあ、オーディションがはじまるぞ」
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:11:42.18 ID:
Q8m2VJee0
千早「……」
P「……」
千早「何も声をかけてくれないんですね」
P「そんな必要はないだろ。千早はトップアイドルとして場数が圧倒的に多いんだ。緊張なんて自分でコントロールできるだろ」
P「ここは俺が出る幕じゃない」
P「だが、アピールの指示には従ってもらうぞ」
千早「わかっています。やり方は別として、私をここまで連れてきたのはプロデューサーの手腕です」
P「わかっているなら、それでいい」
千早「それでは、いってきます」
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:20:56.00 ID:
Q8m2VJee0
千早「~♪」
審査員「……」
響「……すごい」
貴音「あれが……トップアイドル。高みにたどりついた者の実力」
P「楽勝と言えば、それまでだな……」
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:32:21.67 ID:
Q8m2VJee0
響「……」
P「なんだ、やけに緊張しているな」
響「当たり前だぞ。あんな……千早のアピールを見せられて後じゃ」
P「ああ、だろうな。間違いなく、千早の1位通過は確定だな」
響「それじゃあ、残っている枠はあと1人分しかないのか」
P「そういうことだ」
響「うう……」
P「なんだ、やっぱり怖気づいたか?」
響「うん……正直いって怖いぞ」
P「そうか」
響「それだけ?」
P「それだけだ」
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:38:24.65 ID:
Q8m2VJee0
P「別にやることはいつもと変わらないだろ。俺の指示に従えばいい」
響「それは……そうなんだけど」
P「なら、さっさと行け」
響「ちょっと待ってくれ。心の準備が!」
P「今すぐしろ」
響「うぎゃー!」
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:45:12.93 ID:
Q8m2VJee0
響「~♪」
審査員「……」
千早「あの動き……私では出来ないわね」
貴音「……響、これほどまでの物をもっていたのですね」
・
・
・
響「プロデューサー、プロデューサー! 見てたか、完璧な自分のアピール」
P「ああ、よく指示に従った。合格を狙えるレベルだろうな」
響「こんな大きなオーディションで、あんなに踊れるなんてよかったさ」
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 16:58:55.19 ID:
Q8m2VJee0
貴音「……」
P「貴音も響と同じか」
貴音「お見通し……ということですね」
P「手の掛かる奴だ」
貴音「如月千早の歌は、とても素晴らしいもの……それは理解していました」
P「分かっているなら、踏ん切りもつくはずだ」
貴音「そうですね。私が真おどろいたのは、響の方でした」
P「……」
貴音「こう言っては失礼ですが、私は自分が響よりもアイドルとして多く活動している分、どこか響を下に見ていた部分はありました」
P「じっさいファンの数は貴音の方が多いからな」
貴音「私は、怖いのです……この戦いに負けることが高みに手が届きそうというのにそこから堕ちてしまうことが」
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 17:23:17.74 ID:
Q8m2VJee0
P「何を気にしていると思ったら、くだらないな」
貴音「くだらない……?」
P「このオーディションに落ちたからって、貴音の夢が潰えるわけでもないだろ」
P「千早もそうなんだけど、一々重く考えすぎだ」
P「どうせ、最後は全員俺の手でトップアイドルになるんだからな」
P「ここで負けても、夢が少しあとに回るだけだ。問題なんてないだろ」
貴音「あなた様……そうですね、あなた様は私を高みにつれていくと約束してくださいました」
貴音「その言葉は信じるに値します」
P「……」
貴音「あなた様、あなた様のお力で私をこの戦いを勝利に導いてくれませんか?」
P「俺の指示にしたがえ。それで勝てる」
貴音「はい……いってまいります」
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 17:31:29.06 ID:
Q8m2VJee0
貴音「~♪」
審査員「……」
千早「不思議な感じ……繊細なのに力強さを感じる」
響「貴音……」
P「……」
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 17:45:47.99 ID:
Q8m2VJee0
事務所
貴音「あなた様……」
P「まずはおめでとう……そう言っておくべきだな」
P「響には悪いことをしたがな」
響「……」ジィ
貴音「あなた様のお力があってこそです」
P「当然だ。俺はトップアイドルを生み出したプロデューサーだからな」
響「……」ツンツン
P「……」
響「……」ツンツン
P「鬱陶しいぞ」
響「……」ツンツンツンツン
P「すぐにお前も、同じ舞台につれていってやる」
響「……」パアッ
P「面倒な奴……」
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:08:11.15 ID:
Q8m2VJee0
貴音「あなた様、本日まで私のプロデュースをしてくださりありがとうございます」
P「こちらこそ、貴音をプロデュースできてよかったよ」
貴音「私、あなた様に多くの恥辱をうけましたが……」
貴音「あなた様のことは、決して嫌いではありませんでしたよ」
P「貴音も中々面白かったよ」
P「でも、全員トップアイドルにするまで、もう少し働いてもらうからな」
貴音「臨むところです」
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:15:42.87 ID:
Q8m2VJee0
朝
P「うっ……目覚まし、目覚まし」
貴音「おはようございます、あなた様」
P「貴音……なにやってるんだ、人の家で」
貴音「朝食を作っております」
P「そういうことを聞いているんじゃない」
P「どうして、俺の家にいるかと聞いているんだ」
貴音「あなた様は、食事を満足にとっていないご様子」
貴音「ならば、それを支えるのは私の役目です」
P「なに言ってるんだ?」
貴音「あなた様は、私がより高みへといくための手段。常に万全いや、それ以上の状態でなければならないのです」
P「はあ……」
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 18:30:26.77 ID:
Q8m2VJee0
P「要は……押しかけ女房か」
貴音「……」
P「図星か……だが、嬉しいな」
貴音「っ!?」
貴音「あなた様、いま何と……」
P「さあな……ただ、四条の家っていうのは、男の喜ばせ方まで教えているんだな」
貴音「いえ、それは違います。あなた様……」
貴音「これは、教えでもなく私自身が考え出した結果です」
P「俺の意志は」
貴音「そんなものは私には関係ありません。ですから……」
末永く、よろしくお願いしますね……あなた様
fin
元スレ:
P「四条の家っていうのは、男の悦ばせ方まで教えているんだな」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1349102849/
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