2 :
KASA 2017/12/26(火) 14:23:46.82 ID:
+yBWwTx8O
押田「クッ!、貴っ様ーァ! 何をする! これだからお前らのような下賤なやつはっ!」
安藤「……」
押田「今すぐこの学園から追い出してやりたいところだ! まったく貴様らはーっ……」
安藤「……」
押田(……おい、早くお前も何か言い返せ)
安藤(……)
安藤「はぁ~……」
押田「おいってば」
安藤「……どりゃ」
がばぁっ
押田「わっ」
くんくんくんくん
安藤「あー、お前の髪はいい匂いがする」
押田「っ、変態、やめろ」
——わぁっ、取っ組み合っていらっしゃいますわ!
——私たちも殴り合うぞ! とりゃー!——
——あれぇー!——
安藤「取っ組み合いだってさ。すんすんすん……」
押田「気色悪いっ」
安藤「ぁー、ちょっと落ち着いた」
押田「いい加減に離れろ」
安藤「もうちょっとだけ」
押田「は、な、れ、ろっ」
安藤「もー、分かったよ」
——このエスカレーター組がぁっ、このこの! このぉ!——
——生意気ですわよっ、受験組の分際でっ——
安藤「盛り上がってるなぁ。ほら十分だろ。行くぞ」
押田「不真面目なやつ」
3 :
KASA 2017/12/26(火) 14:25:55.52 ID:
+yBWwTx8O
:学園校舎・廊下
安藤「でも、やっぱさぁ」
押田「またか」
安藤「お前と私、学校ですれ違うたびにケンケンしてさぁ。マジでけっこうつらいんだけど」
押田「……」
安藤「お前は、平気なのか」
押田「……、相手をあざむくための作戦だ。徹底しなければだめだ。付け焼刃の演技では相手を欺くことはできない」
安藤「そんな事は言われなくたって分かってる。けど、今はそいういう話をしてんじゃないんだよぉ」
押田「だからくっつくなってばっ」
安藤「あれもこれも承知してるけど、それでも今は、気持的に嫌なんだっ」
押田「気持ちに嫌って……子供じゃないんだから……て、あっ」
押田「安藤、貴様、もしかして」
安藤「おうよ、ドゥームデイ、始まってんよ」
押田「……もー、……」
押田「君はホルモンの影響を受けすぎる」
安藤「うるさい。貴様はそういうのが全然ない。ずるい」
押田「私だって無いわけじゃない。君は極端すぎるんだ」
安藤「貴様は色白だから血も薄いんだ。薄情なんだ」
押田「君は色黒だからな。よっぽど血が濃いんだろう。だから直情的なんだ」
安藤「そうなんだよぉー」
押田「認めるのか……」
安藤「なー、今日くらいは一緒に遊んでくれよ」
押田「だからだめだってば。今は受験組とエスカレーター組との相互交流厳禁だ。マリー様から固く——」
安藤「マリー様マリー様とうるさいんだお前は。バカの一つ覚えみたいに」
押田「なんだと」
4 :
KASA 2017/12/26(火) 14:29:01.11 ID:
+yBWwTx8O
安藤「もういい、ちょっとついてこい。行くぞ」
押田「? どこへ行くんだ?」
安藤「お前の大好きなマリー様のところへだ」
押田「どうして」
安藤「談判してやる。隊長の許可があればいいんだろ。来い」
押田「わっちょ、手を引っ張るなよ。もう、どうかしてるぞ君は……」
安藤「そうだよ、どうかしてんだよっ」
たたたたたっ
——あーっ、押田様が安藤様に拉致られてる!——
——校舎裏でボコり合いだぁー!——
——副隊長達ぱねぇー!——
安藤「っ、あーっ、もーっ!」
押田「安藤……」
————————————。
マリー「別にいいわよ? ちょっとぐらい仲良くしてもいいんじゃない?」
押田「へ」
5 :
KASA 2017/12/26(火) 14:34:36.37 ID:
+yBWwTx8O
安藤「っしゃぁっ。ほれみろ押田」
押田「い、いいのですか? マリー様のせっかくの作戦が」
マリー「無理はしたくないし」
押田「ですが、それでは」
マリー「ただし、仲良しをするなら他の生徒に見られないよう、こっそりとね」
押田「あ……そういう事ですか」
安藤「押田よ、貴様も隊長の柔軟な思考を見習え」
押田「黙れ」
マリー「あと、ガス抜きは今日だけよ。明日からはちゃんと仲良く喧嘩をしてちょうだいね」
安藤「サーッ、隊長!」
押田「は、はい、ありがとうございます……よいのかなぁ……」
————————————。
:視聴覚室
安藤「ようし、ここなら誰も来ないだろう」
押田「勝手に使って大丈夫なのか」
安藤「大丈夫だって。よっしゃ、じゃあっトランプしようぜ!」
押田「……。お前とトランプか。久しぶりだな……」
押田「……まぁ、そうだな、マリー様が良いといってるんだ……」
押田「今日は……いいか……」
安藤「何をぶつぶついってる」
押田「よしっ、安藤、私は七並べがしたい!」
安藤「おっけー、じゃあカード並べようぜ!」
————ガチャ!
押田「!?」
安藤「!!」
ぞろぞろぞろ……
演劇部員「はーい、それじゃ劇団紫季のDVDを見て演技の勉強よー」
<「はーい」
安藤(あちゃぁ、人が来ちゃった)
押田(……っ)
演劇部員「——ん? あれ? 貴方たち、たしか、戦車道の——」
安藤「あー、すみません、私たちはすぐに出ていくので————」
————バサァッ!!
安藤「うぶぁっ!?」
演劇部員「へ?」
6 :
KASA 2017/12/26(火) 14:39:17.35 ID:
+yBWwTx8O
押田「このバカもの! こんな布陣で敵のクィーンを撃破できるものか! 貴様の作戦は下の下だ!」
安藤「なっ、はぁっ!?」
演劇部員「あ、あぁ、作戦会議中だったのね」
安藤「あ、いや、えっと」
押田「申し訳ありません、すぐに場所を開けますよ。どうせくだらない作戦会議でしたから————ふん、まったく時間の無駄だ。貴様、私の時間を奪った罰として散らばったトランプ、集めておけよ」
安藤「ちょ、押田!」
押田「ふん!」
つかつかつか、ガチャ……ばたん!
安藤「ちくしょう、あんにゃろ」
演劇部員「おぉ……ねぇ、ねぇ、君」
安藤「あ、はい?」
演劇部員「今のって、本当の喧嘩? それとも演技? 演技だとしたら、なかなかやるわねぇ」
安藤「あー……。……。……はっはっは。やぁ、まずは私たちが模範にならないといませんからね」
演劇部員「大会、頑張ってね、私たちも上手く喧嘩してるからね」
安藤「はい、ありがとうございます! ではっ」
演劇部員「応援してるわ~」
————————。
安藤「……、はぁ……」
————————。
:廊下
つかつかつかつか
安藤「……。」
押田「安藤」
安藤「なんだ、廊下で待っていたのか」
押田「うん」
安藤「ほれ、トランプ、ちゃんと集めてきてやったぞ」
押田「……あぁ」
安藤「喧嘩のフリが上手だなって褒められたよ。よかったな」
押田「……、別に、うれしくなんか」
7 :
KASA 2017/12/26(火) 14:40:21.33 ID:
+yBWwTx8O
押田「……」
押田「安藤」
安藤「なんだよ」
押田「さっきは、とっさの事とはいえ、少し、悪かったと思ってる」
安藤「……」
押田「正直。私も、あまり良い気分はしなかった。なぁ、怒っているか?」
安藤「……。……別に、怒ってなどいない。しかたがない。お前は私と違って、真面目だからな」
押田「安藤。……ありがとう」
安藤「……。」
押田「……。」
押田「……なぁ、良かったら私の部屋へ来ないか、そうすればゆっくりと」
安藤「バカ、エスカレーター組の寮に、受験組の私が入れるわけないだろ」
押田「そうか……そうだな……」
安藤「……。な、戦車倉庫へ行ってみよう。今なら、誰も使ってないだろ」
押田「! うん!」
たたたたた……
——————————。
:戦車道倉庫
安藤「——よし、誰もいない」
押田「よかった」
安藤「じゃあ今度こそ七並べ、やるか!」
押田「うん。だがお前のやりたいゲームがあれば、そちらを先にやってもいい」
安藤「いいの?」
押田「うん」
安藤「なら、ポーカーだ!」
押田「望むところだっ」
安藤「七並べもそのあとにやろう」
押田「ふふ、何をしようがどうせ勝つのは私だ」
安藤「言ったなぁ——」
————ガチャァ、キギィ!!(倉庫の扉が開く音)
押田(あ……)
安藤(………………)
8 :
KASA 2017/12/26(火) 17:20:56.42 ID:
+yBWwTx8O
整備科学生「てめーらーっ、今日中に臨時メンテ終わらすぞーっ」 <『おーっ』
整備科学生「ん? あ、副隊長達。打ち合わせですか?」
押田「あ、あぁ、うん——」
————バサッ
押田「ぷぁっ!?」
整備科学生「え」
安藤「うんざりだ、やってられるか!」
押田「……お前……」
整備科学生「ありゃ、相変わらず、火花ちらしてますねー」
押田「……」
安藤「もう帰るっ! もう知らん!! カードはお前が片づけとけよ!」
押田「安藤……」
安藤「ふんっ」
つかつかつかつか……
押田「……」
整備科学生「あの、拾うの手伝いましょうか?」
押田「……いや、いいんだ、気にしないでくれ」
整備科学生「そう……?」
押田「うん」
押田「……」
————————————。
:戦車倉庫・外壁前
ガチャ……
押田「……」
安藤「あ、やっと出てきたのか、遅いぞ」
押田「……なんだ、待ってたのか」
安藤「当たり前だろ」
押田「……」
安藤「ふふん、視聴覚室ではやられたからな。今度は私の番だ……とは言うものの……やっぱ、あんま気分よくねーな……」
押田「……」
安藤「あーあ、学園艦の上じゃしばらくはお前とは遊べないのかもな。街も完璧に分断されてるし。……けど、今日はちょっとだけ息抜きできた。試合が終わるまでは、我慢するかぁ……」
押田「なぁ、安藤」
安藤「うん?」
押田「情けない話だが、今になって、お前の気持が少しだけ——」
9 :
KASA 2017/12/26(火) 17:21:45.22 ID:
+yBWwTx8O
安藤「え?」
——————あ、戦車道の人だー————
————また喧嘩をしてるのでしょうか?————
押田「……ッ」
安藤「ゆっくりと話をする暇もない」
押田「……」
安藤「もういいや。適当に喧嘩して、帰ろう。話は部屋に帰ってからスカイプですればいい」
押田「………………安藤……」
安藤「さっさと適当に私を殴れ」
押田「………………。」
安藤「押田?」
押田「……いやだ」
安藤「へ?」
押田「私だって、お前を殴りたくなんかない。私だって、お前と喧嘩なんかしたくない」
安藤「……!」
————……? 口論、でしょうか?————
————作戦でもめてるんじゃないの?——
安藤「押田」
すた、すた、すた
————間合いを詰めていきますわ————
————きっとしばき合うんですわ!————
すた、すた、すた
押田「……」
安藤「……」
————おふた方とも互いに制空権の中ですわ!——
————~~~ッ!————
安藤「押田、ありがとう、満足した。明日からは、思いっきり喧嘩をしよう」
押田「……っ、何なんだ、貴様は気まぐれすぎる」
安藤「押田」
押田「なんだっ」
安藤「好き」
押田「ッ!! しねっ!! バカ安藤!」
ぽかっ
安藤「痛ぇっ」
————~~~ッ、始まりましたわーーーーっ!!!————
——————————————————。
10 :
KASA 2017/12/26(火) 17:24:32.73 ID:
+yBWwTx8O
:翌日
安藤「おおぉ、ここが隊長の別荘かぁ」
押田「湖のほとりの綺麗な一軒家だな」
安藤「明日まで私たちに使わせてくれるそうだ。ありがたい、隊長が気をつかってくれたんだ」
押田「……お前に頼まれたと、隊長から聞いたが」
安藤「っ! 言わないでくれといったのに」
押田「君はおせっかいな奴だ。誰もこんなことは頼んでいない」
安藤「うるせぇ……ていうか、それより」
押田「なんだ」
安藤「なんか今日……距離近くない?」
押田「気のせいだ」
安藤「そうか、気のせいか。さっきからずっと、お前と肩が触れてるんだけどな」
押田「……。」
……くりくり
安藤「待て、何をしてる!」
押田「私の髪と君の髪とで三つ編みを作っている」
安藤「やめろ!」
押田「やめない」
……すんすん
押田「君の頭は、相変わらず臭いが強い」
安藤「へ」
押田「やっぱり血が濃いんだろうな君は。だから肌の匂いがきついんだ。色もこんなに強い」
安藤「や、やめろ、髪は女の命なんだろ。匂いが移ってもいいのか」
押田「……。君という奴はいつもそうだ」
安藤「なにが」
押田「好き勝手に人をからかうくせに、いざ自分がやられると、すぐにそうやってたじろぐ」
安藤「っ、だまれ!」
11 :
KASA 2017/12/26(火) 17:25:09.16 ID:
+yBWwTx8O
押田「耳が赤いぞ。浅黒い肌でもわかる」
安藤「……っ」
押田「そういうところは……、嫌いじゃない」
押田「……。」
押田「今日で、私も安心した」
安藤「……?」
押田「だから明日からこそは、容赦しない。貴様とは敵同士だ」
安藤「……ふん、言われるまでもない」
安藤「だから髪をほどいてくれ」
押田「だめ、今日はこのまま」
安藤「首が痛い……」
~完~
12 :
KASA 2017/12/26(火) 17:27:07.99 ID:
+yBWwTx8O
ありがとうございました。
2017年も締めといことで二人のおしりの穴も締めさせました。
良いお年を。
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元スレ:
【ガルパン】安藤と押田【最終章】
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