2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:03:23.59 ID:
f8xeWodMO
_________
_____
__
「………」パチッ
「…ふふっ、懐かしいですね」クスッ
私が夢に見たのは懐かしい記憶
遠い昔、小学生だった頃の記憶
私がすごく臆病だった頃の記憶
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:04:05.57 ID:
f8xeWodMO
見るものすべてが私には大きく感じて
いつもあなたの後ろに隠れていました
知らない子と話すときや野良犬に会った時とか
臆病な私はいつも隠れていました
あなたの背中は私とさして変わらないのに
すごく安心できました
いつも後ろ姿ばかり見ていたから
私はあなたの顔をあまり知らない
私がもっと強くなれたなら
あなたの横顔くらいは見えるでしょうか?
小さな私はそんなことを思っていました
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:04:41.44 ID:
f8xeWodMO
あなたの前にまぶしい存在が現れました
私は相変わらずあなたの後ろに
あなたは楽しそうにその子と話します
笑ったり、時々怒ったりして
あなたはその子と話しています
今、どんな顔をしてるのでしょうか?
見えるのはあなたの背中とうなじだけ
あなたの背中は臆病な私の『特等席』
でも、その『特等席』は
私にとっては逃げでもありました
私は強くなりたかった、けれど…
やっぱりあなたから離れたくなくて…
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:05:26.10 ID:
f8xeWodMO
小学高学年になると習い事が増えました
仲良く三人で遊ぶことも少なくなりました
もちろん、あなたの背中にいることも
たまたまお手洗いで席を外していたら
あなたはあの子と楽しそうに話していました
あなたはそんな顔で話していたのですね
いつからでしょうか?
あなたと面を向かって話していないのは
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:05:52.61 ID:
f8xeWodMO
あなたは私に気づき私を呼ぶ
私の『特等席』はこの日から三人でいる時は
あなたの少し斜め後ろから
二人を眺めるような位置に立つように
あの子の顔はよく見えましたが
あなたの顔は相変わらず見えないままでした
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:06:43.03 ID:
f8xeWodMO
中学生になり、三人での談笑
私はいつもの『特等席』
あの子は冗談を言って笑わせる
あなたは笑ったり、怒ったり
私はつられて笑ったり、なだめたり
それが私たちの当たり前
お互いを親友だと認めた
気が置けない幼なじみ
小さい頃よりは物申すようにはなりましたが
やはり私はあなたの顔が見えない
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:07:25.44 ID:
f8xeWodMO
もう少し強くなれたなら
あなたの横顔くらいは見えるでしょうか?
しかし、なぜでしょうか?
私はいつの間にか
あなたと目を合わすと
胸が高鳴るようになっていました
あなたが他の子と話していると
胸がチクチク痛むようになっていました
あなたの顔を見たいのに見れない
時々目が合うと顔が熱くなり目を背ける
まるで時計の長針と短針のように
重なっては離れてを繰り返す
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:08:12.34 ID:
f8xeWodMO
短い針が私なら長い針はあなた
ラジオで聞いた曲の歌詞に自分を当てはめます
次に重なるのはいつでしょうか?
重ねた時は同じ時を刻んでいるようで
あなたがきょとんとしている間
あなたの知らない時間で
私は幸せになっていました
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:08:53.41 ID:
f8xeWodMO
高校生になりスクールアイドルを始めました
順風満帆、いつもの仲良し三人組
あなたはあの子と話し、私は一歩後ろで
けど、この光景も慣れてみると心地よくて
いつまでもこんな時間が続くと思っていました
でも狂いだしたのは時間ではありませんでした
私がそそのかした手前
大事な親友を傷つけてしまった
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:09:44.74 ID:
f8xeWodMO
あなたはあの子を気にして歌わなかった
私はなにも言えませんでした
後日、おもむろにあなたは告げました
あの子のためにもうやめようと
私はなにも言えませんでした
あの子が私たちに抗議してきました
あなたはあの子を無理矢理納得させました
私はなにも言えませんでした
あなたはずっと寂しげな顔をしていたから
そしてあの子は私たちの元を去りました
私たちの合図の光がおぼろげに光る
見上げるあなたを私は少し覗き見る
あなたはそんな顔もするのですね
私は自然と俯いてしまった
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:10:23.19 ID:
f8xeWodMO
時は流れ、私たちは三年生になりました
あなたはお父様の怪我が原因で
学校を休学していたので
あまり顔を合わせることもなくなりました
私は生徒会長となり強さを
あなたの横に立てるくらいの強さを
私は手に入れたのでしょうか?
そんな悶々とした春の日
騒がしい春の息吹きが私の髪をなでました…
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:11:09.21 ID:
f8xeWodMO
あとは………語る必要はありませんかね?
私たちは再び歩き始めました
私とあの子と………あなた
私は今どこにいるんでしょう?
あなたは今どこにいるんでしょう?
ちゃんと横に、並んでいるでしょうか?
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:11:55.71 ID:
f8xeWodMO
「んー…」
「あら?」
「あ、ダイヤおはよ…」ゴシゴシ
「ええ…」ニコッ
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:12:31.19 ID:
f8xeWodMO
ダイヤ「果南さん、私はあなたが好きです」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:13:10.20 ID:
f8xeWodMO
ぽかんとしたあなたの顔は
徐々に耳まで真っ赤になっていく
足に幸せなしびれを感じながらも
その表情を見るのはもっと幸せで
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:13:38.80 ID:
f8xeWodMO
「またそうやって私をおちょくる…///」
「うふふ♪」ニコッ
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:14:17.81 ID:
f8xeWodMO
あら、また顔が見えませんね
あなたは顔を私の足にうずめて隠します
どんな顔をしているんでしょうか?
いいえ、もうわかりますよ
あなたの顔は…
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:15:02.24 ID:
f8xeWodMO
『果南さん!私はあなたを…真剣にお慕いしております!良ければ私と…!///』
『えっ………!?///』
ふふ、そんな顔もするんですね?
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:15:59.67 ID:
f8xeWodMO
おわり
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 11:16:48.46 ID:
f8xeWodMO
以前別で書いたものです。
依頼だしてきます。
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元スレ:
ダイヤ「あなたの横顔を」
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