2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:10:44.86 ID:
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光「答えられない、か。なら、いい……もう……」
P「…………どんな資格が必要か、分からないな。俺にはさっぱりだ」
P「だけど、資格なんて下らない物、必要なのかどうかも分からないけどな」
光「……」
P「答えは持ってない。でもお前は、俺の思い描くヒーロー像にピッタリなんだ」
光「どこが。こんな、人に必要とされずに薄汚い路地裏で一人で居るアタシのどこが」
P「じゃあお前の環境を変えてやれば、納得してくれるんだな」
P「俺がお前を必要としている。薄汚い路地裏から輝くステージに連れて行ってやる」
光「……!」
P「お前、名前は?」
光「南条……光」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:14:13.63 ID:
f2F4u90h0
P「良い名前だ……光。まずは俺だけのヒーローになってくれないか?」
光「ヒーロー、に?」
P「ウチの貧乏事務所を、助けてくれ」
光「……行く」
P「ホントか!?」
光「ヒーローに、なれるのかな? アタシ」
P「きっと、なれるさ。なるんだ」
光「……そうか」
光「アタシを頼ってくれた……それに応えなきゃヒーローじゃない!」
光「まだ絶望するには早いんだ! よし、アタシはやる!」
P「よろしくな、光」
光「……よろしくな、相棒!」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:19:04.57 ID:
f2F4u90h0
成宮由愛「……」カキカキ
P「……へぇ、上手だなぁ」
由愛「えっ……!?」バッ
P「あ、怪しい者じゃないよ。ちょっとそこのアイドル事務所でプロデューサーやってるんだけど」
由愛「……そう、ですか……」
P「君、どうしたの? こんな夜に一人で」
由愛「……捨てられました……」
P「……そっか。絵を描くのが好きなの?」
由愛「……何をしたらいいのか……分からなくなって……持ってるの、これだけですから……」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:24:20.57 ID:
f2F4u90h0
P「なら、アイドルやりたくない?」
由愛「別に……やりたいことなんて何も……」
P「やりたいことが無いなら、何でもやってみよう。君の天職かもしれない」
由愛「……やりませんっ……」
P「……一目見た時から、君はアイドルになれると思った。俺はしつこいから、明日も明後日もずっと君をスカウトしに来るよ」
P「でもとりあえず、ウチの事務所に来ないか? せめて屋根のある所で寝た方がいいだろう?」
P「大丈夫。『家賃』とか言って強制するようなことはしないよ」
P「どうかな」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:29:31.21 ID:
f2F4u90h0
由愛「……もう家に帰れないし……それなら……」
P「ありがとう。君、名前は?」
由愛「……成宮、由愛です……」
P「可愛い名前じゃないか、これからよろしく」
由愛「……あ、アイドルはやりませんから……」
P「引っ掛からなかったか。それじゃ事務所に案内するよ」
由愛「……はいっ……」
P「そうだ、良かったらそのスケッチブック見せてくれないか?」
由愛「だ、駄目ですっ……!」
P「はは、ごめんごめん」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:35:41.94 ID:
f2F4u90h0
城ヶ崎美嘉「……」
P「……」
美嘉「何? ナンパ? それとも誘拐犯?」
P「違う違う、ちょっとアイドルのスカウトやってる者だよ」
美嘉「あぁ、そう言って女の子を釣るんだね」
P「だから違うっての……ほら名刺。こっから見えるけど、アレがウチの事務所」
美嘉「……ふーん……で、アタシをスカウトしようって?」
P「あぁ」
美嘉「いいよそういうの。もう妹の事で懲りてるから」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:39:59.53 ID:
f2F4u90h0
P「妹?」
美嘉「城ヶ崎莉嘉。アタシの妹だよ。知ってるでしょ?」
P「あ、あの有名アイドルのお姉さんなのか……」
美嘉「自分で言うのも何だけど、結構懐いてくれててさ。ずっと一緒だった」
美嘉「オーディションも一緒に受けに行ったかな。でもアイドルとしての素養は莉嘉の方が上らしくって」
美嘉「アタシは悉くダメでねー。どうやら需要が無いらしいよ?」
P「随分……込み入った事情があるらしいな」
美嘉「!……ま、まぁ軽ーい気持ちでアイドル目指したアタシも悪いんだけど、とにかくそれで懲りたの! だからスカウトは受けないから!」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:44:17.20 ID:
f2F4u90h0
P「うーん……そうかな……」
美嘉「な、何が?」
P「いや、俺には需要が無いようには見えないんだけどな」
美嘉「あのね、結果が散々だったアタシにはとても信じられないよ?」
美嘉「莉嘉の方が顔も良いしね。今はちょーっと子供っぽいけど成長したら超モテるのは間違いないね」
P(本当は自分もアイドルやりたいだろうに……才能がある妹へあたるわけにはいかないもんな)
P「じゃあウチの事務所に来てくれないか?」
美嘉「いやいや、話聞いてたの?」
P「聞いてたさ。落ちっ放しでまだ何もしていないんだろう?」
美嘉「あ、アンタね……」
P「なら才能の有る無しが分かる訳ない。俺なら君をトップアイドルにしてやれる」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:49:49.88 ID:
f2F4u90h0
美嘉「言うねー……トップにならなかったら? 私絶望して自分で人生終わらせちゃおっかな」
P「トップになるからそっから先は必要無い」
美嘉「……」
P「やってみないか?」
美嘉「人の気持ちも知らないで好き勝手言ってくれちゃって……」
P「悪いな。スカウトってのは多少の強引さも必要でね」
P「おっと、君に実力があるって思っているのは本当だからな」
美嘉「……あはっ、グッと来るなぁ……」
P「頼む」
美嘉「……もーっ……」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:54:30.79 ID:
f2F4u90h0
美嘉「分かった。やる、やりますってば」
P「本当か!?」
美嘉「わっ、ちょ、近いっ!」
P「っと……悪い」
美嘉「はぁ……なんだかなー我ながら単純だわ……求められたのは初めてだし……」
美嘉「あーメイク崩れちゃってるし……最悪」
P「……良い子だな、お前。見た目に反して」
美嘉「見た目に反して、は余計だよ」
P「名前は?」
美嘉「城ヶ崎美嘉、よろしくね」
P「よろしくな、美嘉」
美嘉「……いきなり名前で呼び始めるし……はぁ」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 20:59:16.81 ID:
f2F4u90h0
智絵里「……」
P「……」
智絵里「……ぐす」
P「君……ちょっといい?」
智絵里「ひっ……!?」
P「あぁ、驚かせるつもりはなかったんだ。ごめん」
P「四つ葉のクローバー探し?」
智絵里「……っ」フイッ
P(……変わった子だな……よし)
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:04:34.96 ID:
f2F4u90h0
―――
P「ほい見っけ」
智絵里「……!」
P「あげるよ」
智絵里「あ……ありがとう、ございます……」
P「しかし、久しぶりだなー四つ葉のクローバー探しなんて」
智絵里「見つけるの……上手なんですね……」
P「コツがあるんだよコツが」
智絵里「ありがとうございました……どうしてもこれが見つけたくて……」
P「ん? 何かあったのか?」
智絵里「幸せに……なりたかった……」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:09:46.33 ID:
f2F4u90h0
智絵里「……帰る場所……無くなっちゃったんです……」
智絵里「子供っぽいって、言われるかもしれませんけど……その、小さい時から……四つ葉のクローバーを信じてきて……」
智絵里「助けてくれるかも、って……」
P「……」
智絵里「……ぁ……えっと、ごめんなさい……そ、それじゃ……」
P「待った待った」
智絵里「は……はい……?」
P「なら丁度良い。ウチに来ないか?」
智絵里「…………え……?」
P「帰る場所が無いなら、ウチに来ればいい」
智絵里「……だ、駄目ですっ……そんな、ごめっ、ご迷惑を掛ける訳には……!」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:14:12.70 ID:
f2F4u90h0
P「おっと……話が飛び過ぎた。俺はアイドル事務所のプロデューサーをやってる者なんだけど」
P「君をスカウトしたいんだ。寮があるからそこに住めばいい」
智絵里「あい、どる……?」
P「あぁ」
智絵里「……私が……?」
P「もうじき日も暮れる。少なくとも、こんな所で一晩過ごすよりよっぽど良いだろうとは思うけどな」
智絵里「……アイドル……アイドル?」
P「そっちの話は後でもいい。とりあえずウチの寮に泊まっていけばいいよ」
智絵里「アイドル……その、や、やりますっ」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:20:29.04 ID:
f2F4u90h0
P「お、本当か?」
智絵里「……四つ葉のクローバー……見つけてくれた恩返しをしないと……」
P「あー……あれは俺の気まぐれだから、そこまで気を張る必要は無いんだぞ?」
智絵里「スカウトされたのは……きっと、四つ葉のクローバーが私を幸せにしてくれたから……」
智絵里「……だから、アイドル……頑張って、なりますっ」
P「……そうか」
智絵里「私……頑張りますからっ」
P「君、名前は?」
智絵里「緒方、智絵里……です」
P「そうか。よろしく、智絵里」
智絵里「……な、なま、え……!///」
P「っと、いきなり呼び捨ては悪いか」
智絵里「……いえ……ち、智絵里って、呼んでください……///」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/18(日) 21:26:23.49 ID:
f2F4u90h0
おわり
元スレ:
モバP「捨てアイドル拾った」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353236781/
安部菜々、五十嵐響子、緒方智絵里、道明寺歌鈴、早坂美玲
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