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モバP「だりやすかれんと夏終わり」


1 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:00:54 ID:1Bf


―――事務所


泰葉「…………」カキカキ…


加蓮「……はぁ……」クルクル…カシャン



泰葉「…………」ペラペラ…

加蓮「……むぅ」クルクルクル…カシャンッ

泰葉「…………」ペラ…

加蓮「うぅー……三角比分かんないー……」クルクルクルクル…カシャン、コロコロ…

泰葉「……ちょっと静かにして。ペン回しうるさい」

加蓮「静かにして問題解けるなら最初からやってるってば……分からないものは分からないの」

泰葉「もう……。そんなことじゃ終わらないよ、夏休みの課題」

2 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:02:21 ID:1Bf
加蓮「泰葉だって書いたり消したりで全然進んでないじゃん。2時間ちょっとで何ページ進んだの?」

泰葉「……6」

加蓮「残りは?」

泰葉「全教科合わせて50ページくらい……」

加蓮「ほら。確実に間に合わないよ始業式」

泰葉「ああ……どうしてこんなことに……!」

加蓮「夏休みはお仕事どんどん入ってきたもんねー。課題する予定立ててもまったく意味無しとかウケるー」ケラケラ

泰葉「そういう加蓮は残り?」

加蓮「53ページ~。あははーウケる~泣きそう~」

3 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:03:30 ID:1Bf
泰葉「はぁ……」ショボン

加蓮「はぁ……」ドヨン

泰葉「ここまでできないとイライラしてきちゃう……」

加蓮「分かる……。なんでこんな問題が解けないのかって自分に腹が立ってくるんだよね……」

泰葉「とにかく少しでも崩していかなきゃ……。アイドルだからって勉学を疎かにしたらダメ……ダメなんだから……」ブツブツ…カキカキ…

加蓮「そ、それはちょっと怖いって泰葉」

泰葉「あぅ……頭が熱い……」プシュー

4 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:05:37 ID:1Bf
加蓮「い、一旦休憩しない? オーバーヒート状態じゃできるものもできないしさ」

泰葉「う……確かにこれじゃ効率悪いかも……」

加蓮「うんうん。Pさんがアイス買ってきてくれたらそれ食べてからやろうよ、頭も冷やせるしそれが一番っ」

泰葉「はぁ……。集中できるように事務所でやろうって話してたのに全然ダメね……」ハァ…

加蓮「ふふっ、泰葉んちでまったりお茶してお喋りばっかりよりマシでしょ――」


がちゃ


加蓮「はっ、アイス!」クルッ


李衣菜「おはようございまーす。ってあれ? 今日2人、なにか予定入ってたっけ?」ヒョコ


加蓮「なんだアイスじゃなかった……」

泰葉「加蓮……」

5 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:07:00 ID:1Bf
加蓮「こほん。おはよ李衣菜」

泰葉「おはよう。李衣菜こそ今日は予定なかったはずじゃ?」

李衣菜「おはよー。うん、そうなんだけどね。今日はちょっと病院で健康診断受けてきたから」トコトコ

泰葉「健康診断……この時期に?」

李衣菜「学校でやってた健康診断、お仕事でちょうど抜けててさ。それ思い出して2学期始まる前にって思って」

加蓮「ふーん、そういうことね。お疲れさま」

6 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:08:09 ID:1Bf
李衣菜「へへ、お疲れってほどじゃないよ。2人は……見た感じ結構やばめだね。宿題終わりそう?」

泰葉「私はギリギリ間に合う……かな……。間に合ったらいいな……」

加蓮「りーなセーンパイ♪♪」

李衣菜「やだ」

加蓮「ってまだなにも言ってないんだけど!」

李衣菜「私だってまだ宿題全部終わってないし教える暇ないよ。あ、泰葉はいいけど」

加蓮「聞いた今!? 後輩差別だよ差別!」

7 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:09:37 ID:1Bf
泰葉「ありがとう李衣菜。でも課題は自分でやってこそだと思うから……! ……できたらいいんだけど……」

李衣菜「はぁー優等生だー。見習わなきゃ! ね、こういうときだけ媚び売る後輩さん?」

加蓮「ふんっ、いーわよ。ロック以外頭に入ってないあんぽんたんなんかに教わることなんてないんだから!」

李衣菜「なんだとー!? 絶対教えてやんないからねっ!」

泰葉「ふふ、あははっ。そんなに怒るとせっかく健康診断したのに血圧上がっちゃうよ李衣菜……♪」

加蓮「私が健康診断してやるっ、えいっ!」ムニュッ

李衣菜「んなああああ!? なんで胸ぇ!?」

8 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:10:53 ID:1Bf
泰葉「ふふふ、どう? 李衣菜は健康?」

加蓮「ふっふふふー、どうかなーうりうり――ん?」ムニュモニュ

李衣菜「やめっ、このばかれんんんっ!」ジタバタ

加蓮「……アンタちょっとおっきくなってない?」モニュモニュ…

李衣菜「はぁ!?」

泰葉「それはまことか」ズイッ

李衣菜「ちょっ怖い怖い泰葉!?」

9 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:11:54 ID:1Bf
加蓮「ほら揉んでみなよ、私が抑えとくから」ガシッ

泰葉「む。むむ。……むむむ……!」モミモミュムニュ

李衣菜「やめて泰葉ー!」ジタバタ!

泰葉「……李衣菜の裏切り者! もう知らないっ!」

李衣菜「なんで!? っていうかなんで揉んだだけで分かるの2人とも!!」

「「李衣菜ソムリエだから」」

李衣菜「気持ち悪いー! 離してーっ!」

10 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:13:20 ID:1Bf


―――


李衣菜「――もう! ブラずれちゃったじゃん……直してくるっ!」スタスタ

加蓮「はいはーい、いってらっしゃーい♪」


ばたんっ


泰葉「……ちょっと調子に乗りすぎちゃったかな」

加蓮「ふふっ、これくらいじゃ大丈夫だよ、李衣菜だもん。……ふう、それにしても……健康診断かぁ」

11 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:15:11 ID:1Bf
泰葉「加蓮?」

加蓮「んー。私もそういえば今年は学校で受けられなかったなって。病院、ちゃんと行ってこようかな」

泰葉「……うん、そっか。加蓮がそうしたいなら」ニコ

加蓮「……別に他に意味はないよ? そうしたいって思っただけ」

泰葉「ふふ、そうね」

加蓮「なにそのあったかい目~……」


がちゃ


李衣菜「はぁ、もー……変な汗かいちゃったし……まったく」ブツブツ…

12 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:16:39 ID:1Bf
泰葉「あ、おかえりなさい。ごめんなさい、さっきは……」

李衣菜「謝るくらいなら最初からしてほしくなかったんですけど……」ジトー

加蓮「まぁまぁ、今更いいでしょ? 減るもんじゃないし♪」

李衣菜「そりゃそうだけど……!」

泰葉「加蓮、あんまり言ってると誕生日プレゼントもらえなくなっちゃうよ?」

加蓮「すみませんでしたっ」ペコリ

李衣菜「変わり身はやっ!?」

13 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:17:40 ID:1Bf
加蓮「お願いちょうだいプレゼント~!」ギュー

李衣菜「わ、分かってるよそこまで意地悪じゃないって。暑いから離れてっ」

泰葉「ふふ、加蓮たら……♪」

加蓮「これからは李衣菜先輩を敬います」

李衣菜「別に敬ってほしいわけじゃないよ……んもう」

加蓮「だからついでに宿題も手伝って」

李衣菜「ほんとに反省してる?」

14 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:20:10 ID:1Bf
加蓮「してるしてる、すんごいしてるっ」

李衣菜「どうだか。はぁ、しょうがないなぁ……どこ分かんないの?」

加蓮「やった♪ えっとね……」ペラペラ

泰葉「はっ、もうこんなに時間がっ。私もやらなきゃ、Pさんを待ってたら絶対に間に合わない……!」

李衣菜「泰葉も分からないところ遠慮なく聞いてよ、自力じゃないより間に合わない方がまずいでしょ?」

泰葉「う…………じゃあちょっとだけ」

李衣菜「へへ、うん。おっけ」

加蓮「ここ、ここ。この問題お願い」ペシペシ

李衣菜「はいはい……英語かぁ。英語はちょっとなぁ」

加蓮「数学なんだけど。ベタすぎじゃない?」

15 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:21:36 ID:1Bf
李衣菜「やだなージョークだよジョーク、あはは」

加蓮「李衣菜の場合マジっぽいから困るんだけど……」

泰葉「……自分で解いた方が早いかな。ありがとう李衣菜、好意だけ受け取っておくね」

李衣菜「えええ信用なくない? さすがに高1の範囲はそこそこできるよっ」

加蓮「だったら早くしてよ、時間ないんだから!」

李衣菜「むー、えらそーに……。えーっと、三角比でしょ……」

泰葉「私も頑張らなきゃっ。化学終わったら次は公民……!」

16 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:22:57 ID:1Bf


―――


がちゃ


P「ただいまー。ごめんな2人とも、遅くなっちゃって」


加蓮「…………」プシュウ

泰葉「…………」グッタリ

李衣菜「あ、Pさん。おかえりなさい」

P「って李衣菜? 来てたのか」

李衣菜「はい、学校始まる前に健康診断してもらおうと思って、病院へ行った帰りに寄っちゃいました。えへへ」

P「なるほど。それなら結果はどうだった?」

李衣菜「へへっ、もちろんロックで健康でしたよ!」

17 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:24:14 ID:1Bf
P「あはは、ロックで健康か。それは良かった」

泰葉「Pさん……おかえり……なさい……」

加蓮「あいす……あいすを……」

P「それでこっちの健康がやばそうなのはどうしたんだ……俺が出かける前は宿題やってたと思うんだけど」

李衣菜「その宿題を猛スピードでやってたらこんな感じになっちゃって。結構片付いたみたいですよ」

P「おお。頑張ったんだな」

「「うぅ~……」」

18 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:25:45 ID:1Bf
加蓮「もう……一生分の脳みそ使った……」

泰葉「甘いもの……甘いものください……」

P「あっと、はいはい。加蓮と泰葉が好きなのいっぱい買ってきたぞー」ガサッ

「「!!」」ピクッ

加蓮「アイス! ピノ!」ガサガサ

泰葉「スイカバー、スイカバーはありますか!」

P「あ、あるから落ち着けって!」

李衣菜「一瞬で生き返った……」

19 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:27:01 ID:1Bf
加蓮「ああ……うまー……♪」モグモグ…

泰葉「幸せ……。私今生きてる……」シャクシャク…

P「良かった良かった。李衣菜も食べるか?」

李衣菜「えっ、買ってきてくれたんですか? 私いなかったのに」

P「もちろん。どうせなら買い溜めしとこうかと思って李衣菜の分もいっぱいな。ほら、チョコモナカ」ガサ

李衣菜「やったー! ありがとうございますPさん!」ウッヒョー!

20 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:28:30 ID:1Bf
P「どういたしまして。じゃあ残りは冷凍庫にしまっとくか……ちひろさんはどれ食べるんだったっけな」スタスタ…


李衣菜「えへへ、事務所来てよかったー♪」パリパリ モグモグ

加蓮「あ、いいなー李衣菜。美味しそ、一口ちょうだい」

李衣菜「そっちもくれたらいいよー」

加蓮「うーんどうしよっかなー♪」

泰葉「はい李衣菜、口つけちゃったけど少しあげるね」

李衣菜「わーい♪ あむー、じゃあおかえひー」

泰葉「んむ、……んー♪」

加蓮「ちょ、泰葉横取り! ピノあげるから2人のも食べさせてよーっ」


きゃいきゃい


P「よいしょ、と……3人とも夏バテもなく乗り切ってくれたなぁ。ふふふ」ガサガサ ゴトゴト

21 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:29:53 ID:1Bf
加蓮「――やばい。私超頑張った。あとちょっとで終わる……!」ペラ ペラ…

泰葉「私ももうすぐ……! あんなにあったのに3分の1まで……頼って良かった……!」パラパラ

「「李衣菜先生ありがとうっ!」」


李衣菜「先生になっちゃったよ……。へへへ、役に立てて良かった」

P「さすが1個上なだけあるなぁ。そういう李衣菜はもう終わってるのか? 宿題」

李衣菜「…………実はですね。今日来たのは……そのぉ……」ゴソッ…

P「……はぁ。分かったよ……俺が覚えてる範囲は教えられると思うから頑張れ」

李衣菜「ありがとうございます一生ついていきますっ!」

22 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:31:11 ID:1Bf
P「――げ、英語の長文か……」

李衣菜「お願いします、Pさんだけが頼りなんです――!」


泰葉「……李衣菜、そのつもりで来たんだね」クスクス

加蓮「ふふ、そんなことだろうと思った。でもほんと助かっちゃった、李衣菜さまさまだよ」

泰葉「うん、私もこれならあとは家でゆっくりやっても間に合うかな。一安心ね」

加蓮「ねっ。……あ、ちょっとそれとは話違うんだけど泰葉……いい?」ヒソッ

23 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:34:40 ID:1Bf
泰葉「ん……なぁに?」

加蓮「さっきの話なんだけどさ……」

泰葉「さっき……?」

加蓮「……その、病院、行ってこようかなって話。健康診断もそうなんだけど……そっちじゃなくて」

泰葉「! ええ、うん」

加蓮「そろそろ……私も。泰葉みたいに一歩踏み出して、李衣菜みたいに真っ直ぐ――全部、私なんだって。そう胸を張れるようになりたい」

加蓮「……そのきっかけにしたいって思ったの、李衣菜が病院に行ったって聞いて……変な話だけどね」

泰葉「……うん」

24 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:38:28 ID:1Bf
加蓮「ちょうど誕生日も近いし……ね。泰葉に隠し事なんてできっこないしさ、先に言っときたかったの」

泰葉「ふふ……加蓮のことならお見通しだもの。そういうことなら……うん、分かりました。いってらっしゃい、加蓮」

加蓮「ん、いってきます。……アレには言わないでね、面倒だし……。さすがにあっち精一杯で聞こえてないと思うけど」


李衣菜「Pさん、こっちもぉ~……!」

P「ほとんど全部じゃないか! 2人の先生なら自力で解いてみなさい!」

李衣菜「そんなこと言わないでくださいよー! 助けてくださいPさーん!」

25 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:40:46 ID:1Bf
泰葉「あれなら多分聞こえてないかもね。ふふふっ」

加蓮「ふふ、情けない声出しちゃって♪」

泰葉「そんなに難しい問題なのかな、2年生の問題って……」


李衣菜「うーぬむむむむぬぬぬむむ」

P「もっとアイドルらしい声をあげてくれ……」

李衣菜「だって分かんないんですもん! ちゃんと教えてくださいよ、もうっ!」

P「偉そうだな!?」


加蓮「なにやってるんだか♪」

泰葉「ふふふっ♪」



おわり

26 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:41:56 ID:1Bf
李衣菜「………………へへ。いってらっしゃい、加蓮っ」ポソッ

27 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:43:12 ID:1Bf
というお話だったのさ
朝晩はだんだん涼しくなってきましたね

28 : ◆5F5enKB7wjS6 2017/09/01(金)00:43:50 ID:1Bf
モバP「だりやすかれんと真夏日」

ひとつ前のお話



おーぷん2ちゃんねるに投稿されたスレッドの紹介です

元スレ: モバP「だりやすかれんと夏終わり」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1504191654/


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