2 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:21:25.061 ID:
Z+L1xM4J0.net
ラフィエル「あっ、すいません。場の空気に、ついテンションが上がってしまいました~」
ヴィーネ「イベントでハイテンションになる気持ちわかるわ! でも、ラフィがゲームするなんて意外ね」
ラフィエル「最近、ガヴちゃんのゲームのお手伝いをして、私もよくする様になったんです」
ラフィエル「PS4は持っていなかったので、この機会に購入しようかと~」
ヴィーネ「確かロトエディションだっけ?」
ラフィエル「特別デザインの本体とゲームがセットになった物です。このゲームも大人気との事で気になってたんですよー」
ヴィーネ「ゲームの事はよく知らないけど、そのタイトルは聞いた事があるわね。でも、それって抽選販売なんでしょ?」
ラフィエル「はい、欲しいと思った時にはどこも予約が終わっていて、何とか見つけたのがこのお店なんです」
ヴィーネ「当たるといいわね」
ラフィエル「当てたいですね~」
3 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:22:07.386 ID:
Z+L1xM4J0.net
ラフィエル「抽選券の配布まで、まだ少し時間がありますね」
ヴィーネ「そう言えば、ガヴは誘わなくて良かったの? ガヴもこのゲーム欲しいんじゃ……」
ラフィエル「ガヴちゃんなら、ダウンロード版を購入して今頃プレイ中だと思いますよ」
ヴィーネ「そうなんだ。ラフィ、夏休みだからって、ゲームは程々にしないと駄目よ?」
ラフィエル「大丈夫ですよ~。ちゃんと時間を決めてプレイしますから」
ヴィーネ「ガヴも気を付け様としてて、ああなったのよ……」ドヨ~ン
ラフィエル(トラウマスイッチが入ってしまったんでしょうか? 何だか遠い目に……)
ラフィエル「あの~、本当に大丈夫ですから。これは1人用なのでマイペースで出来るんです」
ヴィーネ「そうなの? それなら良いんだけど」ホッ…
ラフィエル「うふふ、そんなに心配なら、私のお世話をすると言うのはどうでしょう?」
ヴィーネ「えぇっ!?」
5 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:22:55.658 ID:
Z+L1xM4J0.net
ラフィエル「人気のゲームですからね~。夢中になって、決めた時間より遊んでしまうかもしれません」
ラフィエル「そうならない様に監視してお世話をする。楽しいとは思いませんか?」
ヴィーネ「楽しいのはラフィだけでしょ!? 私は嫌だからね!」
ラフィエル「えぇ~そんな~。では、週に一度。夏休みの間だけで良いですからっ」
ヴィーネ「まぁ、それ位なら……」
ラフィエル「本当に良いんですか!? わぁ!嬉しいですぅ! うふふ、何をして貰いましょう? 今から楽しみです~♪」
ヴィーネ(今から不安しかない……。安請け合いしちゃったかしら?)
ラフィエル「あっ、店員の方が見えましたね。いよいよ始まりますよ!」
7 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:24:13.846 ID:
Z+L1xM4J0.net
ラフィエル(番号は319。私の誕生日ですね。これは奇跡の予感がしますっ)
ヴィーネ「あれ? ラフィの後ろに並んでたのに番号が全然違うのね」
ラフィエル「どうやらランダムになってる様ですね」
ヴィーネ「あっ、掲示板が出てきたわよ! 行ってみましょう!」
ラフィエル「はい……!」
ラフィエル(神様、どうか私に祝福を……!)
ヴィーネ「何か合格発表みたいでドキドキするわね……」
ラフィエル「私はそれ以上に緊張してきました……」
ラフィエル(えっと、番号は…………317、318、320、321……)
ラフィエル「……」ゴシゴシ
ラフィエル(317、318、320、321……)
ラフィエル(私の番号だけ飛ばされてるなんて……。ですが、まぁ、こんなものですよね。最初から可能性は無いに等しかったですし……)
8 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:25:14.973 ID:
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ラフィエル「ヴィーネさん、どうでしたか? 私は駄目でしたー」
ヴィーネ「……」
ラフィエル「ヴィーネさん……?」
ヴィーネ「当たってる……」
ラフィエル「え?」
ヴィーネ「当たってる! 101番! 当たってるわ!」
ラフィエル「ヴィーネさん!!」ダキッ
ヴィーネ「ちょ、ラフィ!?」
ラフィエル「嬉しいです! 福引で旅行を当てたヴィーネさんなら、当てて下さると信じてました!!」
ヴィーネ「それが私を誘った狙い!?」
ヴィーネ(まぁ、でも……)
ラフィエル「♪」
ヴィーネ(ラフィにこんなに喜んで貰えたなら、来て良かったかな)
9 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:27:17.866 ID:
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― 帰宅中 ―
ラフィエル「すいません。荷物まで手伝って頂いて……」
ヴィーネ「1人じゃ重いでしょ? 気にしないで、私も楽しかったし」
ラフィエル「ありがとうございます。うふふ、それにしても……」
ヴィーネ「?」
ラフィエル「こうして紙袋を二人で持って歩くと、子供と手を繋いで歩く家族の様な気分になりませんか?」
ヴィーネ「え、そう……?」
ラフィエル「因みにヴィーネさんって、子供は何人欲しいですか?」
ヴィーネ「ぶっ!?」
ラフィエル「あら?どうかされました?」
ヴィーネ「それはこっちの台詞よ! 何いきなり変な事聞いてるのよ!」
ラフィエル「では、ヴィーネさんは考えた事がないと?」
ヴィーネ「それはそうでしょ……。まだずっと先の事じゃない」
ラフィエル「意外ですね~。ヴィーネさんは、家族計画を綿密に考えている方だと思っていたのですが~」
ヴィーネ「あんた、私にどんなイメージ持ってるのよ」
ヴィーネ(ん? ちょっと待って。これはラフィを揶揄うチャンスかもしれない)
ヴィーネ(時々、私も揶揄われる時があるし……ちょっと位良いわよね?)
ヴィーネ「ああ、でも、ちょっとは考えてるわね」
ラフィエル「ああ、やっぱり! 是非、聞きたいですっ」
10 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:28:33.579 ID:
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ヴィーネ「子供は少なくとも二人で、女の子がいいわね」
ラフィエル「ふむふむ」
ヴィーネ「1人は黒髪の子で、もう1人は銀髪の子」
ラフィエル「銀髪……ですか?」
ヴィーネ「そう。黒髪の子は私位の髪で、銀髪の子はロングヘアーかな」
ラフィエル「!」
ヴィーネ「そ、それで銀髪の子は、髪飾りとかリボンを付けてオシャレさせたりして……///」
ラフィエル「ヴィ、ヴィーネさん……それって……」
ヴィーネ(やった!?)
ラフィエル「子供は何て名前にしましょう♪」ニパーッ
ヴィーネ「」
11 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:29:51.599 ID:
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ラフィエル「さぁ、子供の名前を一緒に考えましょう♪」ニコニコ
ヴィーネ「もういい……」
ラフィエル「え、どうしてですか? 盛り上がるのはここからですよ?」
ヴィーネ「もう! わかってて言ってるでしょ!」
ラフィエル「うふふ、何の事だか~?」
ヴィーネ「はぁ……やるんじゃなかった。言ってるこっちが恥ずかしかったし……」
ラフィエル「そんな事ありませんよー。羞恥心に耐えながら必死に慣れない嘘を付こうとするヴィーネさんのお姿、とても素敵でした!」
ヴィーネ「嫌味か!」
ラフィエル「いえいえ、本当にそう感じて……あら?」
ヴィーネ「え?どうかした?」
ラフィエル「いえ、あちらの公園に……」
幼い姉妹『ヒック……ヒック……』
12 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:31:04.492 ID:
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ラフィエル「あの、どうかしましたか?」
幼い姉妹『ヒック……ヒック……え?』
ヴィーネ(酷い泣き顔……いったい何が……)
ヴィーネ「ちょっと待っててね。今、顔を拭いてあげるから」ゴソゴソ
ラフィエル「落ち着きましたか?」
幼い姉妹『は、はい……。ありがとうございます……』
ヴィーネ「それで何があったの? 良かったら、聞かせてくれないかな?」
幼い妹「……ゲーム」
ラフィエル「え?」
幼い姉「盗られちゃったんです。帰る途中ここで怖い感じの人達に……」
幼い妹「うぅ……」
ヴィーネ(酷い、こんな小さな子達に……)
13 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:31:50.452 ID:
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ラフィエル「そのゲームの名前、聞いても良いですか?」
幼い妹「ドラクエ……」
幼い姉「PS4の本体と一緒になってた奴です……」
ヴィーネ「それってロトエディション……」
ラフィエル「……」
幼い姉「妹と一緒にお小遣い溜めて買ったのに……」ジワッ…
幼い妹「それでも足りなかったから、お母さんに次のお小遣いの分も貰って……」ジワッ…
ヴィーネ「あっ……」
幼い姉妹『うわあああああああああん!!!!!』
ヴィーネ「ああっ!泣かないで!!」
14 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:33:34.359 ID:
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ヴィーネ「よしよし……」ギュッ…
幼い姉妹『うぇええん!!お姉ちゃあぁぁん!!!』ギューッ
ヴィーネ(うぅ……私まで泣けてきた。どうしよう? まずは警察に……)
ラフィエル「その人達は何時どの方向に行ったかわかりますか?」
幼い妹「あっち……」
幼い姉「多分、30分前位だと思います」
ラフィエル「なるほど」
ヴィーネ「ラフィ?」
ラフィエル「ヴィーネさん、少しの間この子達を見てて貰えますか?」
ヴィーネ「え? どこに行く気なの?」
ラフィエル「ゲームを取り返してきます!」
15 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:35:50.040 ID:
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幼い姉妹『えっ!? ホントに!?』
ラフィエル「はいっ、お姉ちゃんにお任せ下さい!」ピカァァァ
ヴィーネ(ま、まぶしい……っ。ラフィが嘗てなく輝いて見えるわ……!)
幼い姉「天使だ!」
幼い妹「勇者だ!」
ラフィエル「あらあらー♪」
ヴィーネ「ちょっとラフィ! こっち来て!」
ラフィエル「うふふ、やはり純真な子はその人の本質を看破してしまうんですねー♪」
ヴィーネ「看破されたら不味いでしょ……って、そうじゃなくて! 大丈夫なの!? あの子達、完全に信じちゃってるわよ!」
ラフィエル「はい、勿論です。迅速且つ平和的に解決してきます」
ヴィーネ「そんな事どうやって……」
ラフィエル「今は説明してる時間がありません。早くしないと犯人が……。それに、私は早くあの子達にゲームで遊んで欲しいんです」
ヴィーネ「ラフィ……」
ラフィエル「今なら千里眼を使えば、犯人を見つける事が出来るはずです。ですから……」
ヴィーネ「……わかったわ。でも、絶対無茶しないでね? 危なくなったら逃げるのよ?」
ラフィエル「はい、ありがとうございますっ」
16 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:38:25.725 ID:
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幼い姉「お願いします! 天使のお姉ちゃん!」
幼い妹「頑張って勇者様!」
ラフィエル「うふふ、何だか魔王討伐に旅立つ勇者になった気分ですね~」
ヴィーネ「あんた、こんな時まで……。もう少し緊張感を持ちなさいよ……」
ラフィエル「それでは勇者天使ラフィエル、魔王討伐に行って参ります! すぐに帰って来ますからね~♪」
ヴィーネ(手をブンブン振ってるし……不安だわ)
幼い姉「お姉ちゃん、すぐだって!」
幼い妹「楽しみだねー♪」
ヴィーネ(この子達すっかり元気になってる……。もしかして、ラフィはこの子達を元気付ける為に明るく振舞ってたのかしら?)
ヴィーネ(あれ? そう言えば、ラフィって、さっき出発する時……)
21 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:50:28.345 ID:
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ラフィエル「勇者天使ラフィエル、ただいま戻りましたー♪」
幼い妹「すごい!」
幼い姉「ホントにすぐだった!」
ラフィエル「このゲームで良かったですかー?」
幼い妹「ドラクエだ!!」
幼い姉「ありがとう! お姉ちゃん!!」
ヴィーネ「……随分早かったわね」
ラフィエル「ご心配をお掛けして申し訳ありません。手に入って気が緩んでたのか、まだ近くにいたのが幸いでした」
ヴィーネ「そう……」
幼い妹「お姉ちゃん、どうやって倒したの!?」
ラフィエル「私はこう見えても強いんですよー。ちょっとその力を見せたら、すぐ反省して謝ってきました」
幼い姉妹『すっごーっい!』
ラフィエル「ふふふ、では、そろそろ帰りましょう。お家まで送ってあげますね」
幼い姉妹『ありがとう、お姉ちゃん!』
23 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:55:55.035 ID:
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― 帰宅中 ―
ヴィーネ「無事に家まで送れて良かったわね」
ラフィエル「ですね~」
ヴィーネ「……ねぇ」
ラフィエル「はい?」
ヴィーネ「あのゲーム、ラフィのでしょ?」
ラフィエル「気付いてましたか」
ヴィーネ「取り返しに行くって時にあんな荷物持ってたら変でしょ。いくら近くにいたって言っても、戻って来るのも早すぎよ」
ラフィエル「あはは……ですよねー」
ヴィーネ「まぁ、ラフィが出発した後で気付く私も私だけどね」
ラフィエル「すいません。せっかく、ヴィーネさんが当てて下さった物なのに……」
ヴィーネ「それは別にいいのよ。お金を払ったのはラフィなんだから」
ラフィエル「犯人が見つかる可能性は低いと思ってました。大きな荷物ですから、すぐにタクシーにでも乗って逃げるだろうと」
ラフィエル「犯人の特徴と一致する人を自動的に捕捉できれば良かったんですが、千里眼はそこまで便利ではなくて……」
ラフィエル「そのままゲームをあげる事も考えたのですが、それでは盗まれた事はトラウマになるかもしれないと思ったんです」
ヴィーネ「だから、悪者を懲らしめて取り返したって話にしたのね」
ラフィエル「はい、信じて貰えてホッとしました。これで素敵な1日になれば良いのですが」
ヴィーネ「きっとそうよ。あの子達、私達の姿が見えなくなるまで、ずっと笑顔で手を振ってくれていたんだから」
ラフィエル「そうですね。そうだと嬉しいです」
24 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:57:38.026 ID:
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ヴィーネ「ねぇ、ラフィはまたゲーム買えるのよね? セットの物が無理でも普通の物なら……」
ラフィエル「ん~、当分の間は無理ですかねぇ」
ヴィーネ「えっ」
ラフィエル「修行の身ですからね。生活費は十分に頂いてますが、もう一度買える程自由に使えるお金は……」
ラフィエル「それに夏休みは始まったばかりです。ヴィーネさん達と遊ぶ時に使う分は別にしておかないといけません」
ヴィーネ「お金なら私も出すわ。もう一度買いに行きましょう!」
ラフィエル「お、お気持ちは有難いのですが……」
ヴィーネ「じゃあ、お金返すのは何時でも良いから!」
ラフィエル「ですが、ヴィーネさんは生活費が厳しいのでは? 仕送りが減らされてると聞きましたが……」
ヴィーネ「そ、そうだけど! でも、ラフィだって今頃ゲームしてたはずなのよっ。ラフィだけこんな……!」
ラフィエル「ヴィーネさん、ありがとうございます。ですが、私は当たり前の事をしただけですから」
ヴィーネ「え?」
26 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 20:59:35.773 ID:
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ヴィーネ「当たり前って……」
ラフィエル「本来なら、あの子達はもっと早く家に帰ってゲームをしてたはずですよね」
ラフィエル「私は、心無い人達による歪みで迷子になってたあの子達を正しい方向に導いただけなんです」
ラフィエル「ですから、気になさらないで下さいね? 私のした事は天使として当然の行いですから」
ヴィーネ「それはちょっと違うんじゃない?」
ラフィエル「え?」
ヴィーネ「あの子達に声をかけたのは、確かに天使の使命だからかもしれないけど」
ヴィーネ「あの子達の心に傷が残らない様に振舞って、自分のゲームをあげたのはラフィが優しいからよ」
ラフィエル「えっ……」
ヴィーネ「正しく導くだけなら、警察に行くとか他にも手段はあったでしょ? ラフィがしたのは一番優しい導きよ」
ヴィーネ「ラフィ?」
ラフィエル「……っ」カァァァ
ヴィーネ(んっ!?)
27 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:00:54.330 ID:
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ヴィーネ「えっ、ちょ、なんでっ!?」
ラフィエル「あっ!す、すいません! そんな事を言われたのは初めてだったもので……っ」
ヴィーネ「えっ、ラフィならあるでしょ? 学校でも人気なんだし」
ラフィエル「確かにありますが、私の事を良く知ってる方で優しいって言って下さったのは、ヴィーネさんが初めてです」
ヴィーネ「なっ……」
ラフィエル「ヴィーネさんが初めてです……///」
ヴィーネ「……っ」
ラフィエル「ありがとうございます……」
ヴィーネ「ど、どういたしまして……」カァァァ
28 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:02:16.566 ID:
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― 帰宅中 ―
ヴィーネ「……」
ラフィエル「……」
ヴィーネ「……」チラッ
ラフィエル「……」チラッ
ヴィーネ「あっ……」
ラフィエル「あっ……」
ヴィーネ「……っ」
ヴィーネ(しまった、思わず目を逸らしちゃった……。ラフィ、ショック受けてないわよね?)
ヴィーネ(ていうか、これも揶揄ってるとかじゃ……流石にないか。あんなラフィ初めて見たし……)
ヴィーネ(なんか新鮮でちょっと……いや、かなり可愛かったかも……///)
ラフィエル「あぅっ……」ボンッ プシュゥゥゥ
ヴィーネ「えっ!? 私、何も言ってないわよね!?」
ラフィエル「ヴィ、ヴィーネさんは感情が顔に出やすい方なので、何を思ってるのかわかり易いんです……!///」
ヴィーネ「うそっ!?」ガーン
29 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:03:49.624 ID:
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ヴィーネ(恥ずかし過ぎて、あれから会話もなくなってしまった……)
ヴィーネ(でも、不思議と気まずい感じはしないわね)
ヴィーネ(むしろ、こうして一緒に歩くのが心地よくて温かい感じ)
ヴィーネ(ラフィも同じ気持ちだったら嬉しいな)
ラフィエル「同じですよ」
ヴィーネ「!! あはは……また顔に出てたのね」
ラフィエル「はい。ふふふ、ヴィーネさんは本当にわかり易い方です」
ヴィーネ「ねぇ、お腹空かない? どこか食べに……」
ラフィエル「……」
ヴィーネ「ん? 私の後ろに何か……あっ」
おばあさん「ふぅ……! ふぅ……っ」
ヴィーネ(重たそうな荷物を1人で両手で……)
ラフィエル「ヴィーネさん、すみません。食事は……」
ヴィーネ「わかってるわ。手伝いに行きましょう!」
30 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:05:12.635 ID:
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おばあさん「ごめんなさいね。家まで運んで貰って……」
ヴィーネ「いえ、私達も同じ方向に行く所でしたので」
ラフィエル「わぁ……。あの、ゲームショップを経営されてるんですか?」
おばあさん「あら、興味があるの? 趣味でやってる様なものだけど……。そうだわ、お礼に気に入った物があれば貰ってくれないかしら?」
ヴィーネ「えっ、そんな、お礼だなんて私達は別に……」
ラフィエル「はい。私達はこちらの方向に用事があっただけですので……」
おばあさん「遠慮しなくても良いのよ? もうお客さんはほとんど来ないし、ここにずっと置いてるより、あなた達に使って貰った方が嬉しいもの」
31 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:10:04.946 ID:
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ヴィーネ(結局、断り切れなくて貰う事になったけど、どのゲームが良いんだろう……)
ヴィーネ「ラフィはどう?」
ラフィエル「はい、見た事ないゲームばかりで目移りしてしまいます」
おばあさん「今の若い子にも気に入って貰えて良かったわ。そこに置いてあるのはもう20年以上前の物ね」
ヴィーネ「あのっ、今日発売のドラゴンクエストってありますかっ?」
おばあさん「今日? ああ、ドラクエ11の事かしら?」
ヴィーネ「はいっ、本体とセットの物が欲しいんですけど、今お金がなくて……。もしあれば、取り置きをお願いしたいのですが……!」
おばあさん「……ごめんなさいね。もう新作のゲームは取り扱ってなくて、今あるのは10年以上前の物ばかりなの」
ヴィーネ「そうでしたか。すみません……」
ラフィエル「ヴィーネさん、ありがとうございます」
ヴィーネ「あまり人が来ないお店って言ってたから、ここならあるかもって思ったんだけど……」
ラフィエル「それがあったんです。私の欲しかったドラゴンクエスト♪」
ヴィーネ「え?」
33 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:13:10.772 ID:
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― ラフィエル宅 ―
ヴィーネ「お邪魔します」
ラフィエル「いらっしゃい、ヴィーネさん♪」
ヴィーネ「ねぇ、今朝のニュース見た? あの時の犯人、捕まったみたいよ」
ラフィエル「はい、他の町でゲームだけでなく他の物も盗んでいたとの事でしたね。良かったです~」
ヴィーネ『もし警察に行ってれば、あの子達のゲームは返って来て、ラフィは今頃あのゲームをしてたのかな……』
ラフィエル「……なんて事を今考えてませんでした?」
ヴィーネ「え゛」ドキッ
ラフィエル「ふふ、やっぱり♪ 優しいって言葉は、ヴィーネさんにこそ相応しいですね」
ヴィーネ「わ、私は色々気になる性格なだけよ」
ラフィエル「そういう所が優しいんですよ」
ヴィーネ「そうかしら……」
34 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:17:14.904 ID:
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ラフィエル「先日、あの公園でまたあの子達に会ったんですよ。二人で楽しそうに遊んでました」
ヴィーネ「そっか。あの公園で遊んでたって事は、やっぱりあの日は良い一日になってたって事ね」
ラフィエル「ええ。ですから、あの子達にゲームをあげる事が出来て本当に良かったと思ってるんですよ。ヴィーネさん、ありがとうございます」
ヴィーネ「え、どうして私に?」
ラフィエル「あれはヴィーネさんが当てて下さった物ですから」
ヴィーネ「いや、私はラフィが誘ってくれなかったら……」
ラフィエル「行く事を選んでくれたのはヴィーネさんです」
ラフィエル「ヴィーネさんがいてくれたから、私はゲームを手にする事ができ、あの子達を導く事が出来ました」
ラフィエル「あの日、私は導く側のつもりでしたが、後になって考えると、私も神様に導かれていた側だったと思うのです」
ヴィーネ「なら、私もそうね。ラフィの導きがなかったら、行くって選択肢すらなかったんだから」
ラフィエル「ヴィーネさん……。あの日の事がなければ、今ヴィーネさんと一緒にいる事もなかった気がします」
ヴィーネ「そうかもしれないわね」
35 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:19:41.767 ID:
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ラフィエル「私のお世話は週に一度の約束でしたが、あれからヴィーネさんは良く遊びに来てくれてますよね」
ヴィーネ「ええ」
ラフィエル「私の勘違い……じゃないですよね?」
ヴィーネ「ラフィなら、言わなくてもわかるでしょ?」
ラフィエル「何でもわかる訳じゃないですよ。それに、これはヴィーネさんの口から直接聞きたいんです」
ヴィーネ「……あの日、私もラフィの優しさに触れる事が出来た気がするの」
ヴィーネ「ラフィの意外な一面も見れて、それが可愛いって思えて……。もっとラフィの事が知りたいって思った」
ラフィエル「つ、つまり……?」
ヴィーネ「~~っ! す、好き……っ。この気持ちは好きって事だと思う……っ」
ラフィ「!!」
36 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:22:02.455 ID:
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ヴィーネ「……っ」カァァァ
ラフィエル「面と向かって言われると、なかなか恥ずかしいですね……///」
ラフィエル「私も、あの日ヴィーネさんに優しいって言って貰えて嬉しかったです」
ラフィエル「そう言ってくれたヴィーネさんから優しい気持ちが伝わって、温かい気持ちになりました」
ラフィエル「あれからずっとゲームの事を気にしてくれてますよね?」
ラフィエル「今もヴィーネさんの優しい心に包まれてる気がして温かい気持ちになってるんですよ」
ヴィーネ「そ、そんな大袈裟な……でも、それって……?」
ラフィエル「あっ、私は愛の告白は柄ではないので、これで終わりです」
ヴィーネ「ええっ!? ずるいっ! ここまで言ってそれはないでしょ!? つまり、どう思ってるの!?」
ヴィーネ(ん?愛の告白? それって、ラフィも私の事……)カァァァァァ
ラフィエル「はい、そういう事です///」
37 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:24:31.053 ID:
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― おまけ話 ―
ヴィーネ「これがあの時貰ったドラゴンクエストね? 本体まで付けてくれるなんて優しい人だったわね」
ラフィエル「ええ、本当に。先日、お礼も兼ねてゲームを買いに行きました」
ラフィエル「キャラは私達の名前にしてるんですよ。平仮名でないと無理でしたが」
ヴィーネ「ねぇ、ラフィ」
ラフィエル「はい、何でしょう?」
ヴィーネ「何で私の名前、しがつにした?」
ラフィエル「文字数制限でヴィーネさんでは無理だったんですよー」
ヴィーネ「いや、びいねとか、つきのせでいけるじゃないっ」
ラフィエル「あっ、本当ですねっ。それは思い付きませんでした~」テヘッ
ヴィーネ「普通思い付くのはこっちでしょっ!? もしかして、わざと……」
ラフィエル「まぁまぁ、良いではないですか~。その代わり、ヴィーネさんは勇者にしましたよっ」
ヴィーネ「勇者ならラフィの方が合ってると思うけどね。公園で会った子達も言ってたじゃない」
ラフィエル「あれはそう演じてただけですよ。私は、僧侶として後方から見守り支援する方が性に合ってます」
39 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:30:29.238 ID:
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ラフィエル「それでは、はりきって魔物退治に行きましょう♪」
ラフィエル「小まめに癒しの呪文をかけますから、しっかり守ってくださいね、勇者様♪」
ヴィーネ「なり切ってるわね」
ラフィエル「あら? ヴィーネさんはテンション低いですね?」
ヴィーネ「いや、私は一応悪魔だし、魔物退治って言われてもね……」
ラフィエル「ゲームですから問題ありませんよ。さぁ、今のヴィーネさんは勇者様なんですから、私に命にかえても守るって言って下さい♪」
ヴィーネ「それは恥ずかし過ぎっ」
ラフィエル「ほら、は~や~く~♪」
ヴィーネ「わかった! わかったから、そんな顔を近づけないで!///」
ヴィーネ「えっと、ラフィは私の命にかえても……」
ラフィエル「あっ、やっぱりいいですー」
ヴィーネ「もう!どっちなのよっ!?」
ラフィエル「だって、それって、残す方も残される方も悲しくなりませんか?」
ヴィーネ「!」
ラフィエル「私は何時いかなる時も最期まで一緒にいたいです」
ヴィーネ「……ラフィって、やっぱり優しいわね」
40 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:32:23.766 ID:
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ヴィーネ「ところで、何でさっきから私にくっ付いてゲームやってるの……?」
ラフィエル「先程言いましたよね? 癒しの呪文をかけてるんですよ♪」
ヴィーネ「ゲームの話じゃなかったの!?」
ラフィエル「両方です♪ どうですか? 癒されてますか~?」グイグイ
ヴィーネ「い、癒されたっ! もう十分癒されたからっ!」
ラフィエル「ですが、顔が真っ赤ですよ? 気分が優れないのでは? もっと癒しの呪文をかけてあげますからねー♪」ギューッ
ヴィーネ(くぅ、また揶揄ってるのねっ。あぁ……だ、だめっ……ラフィの感触で力が……)
ヴィーネ「ラフィ、もうやめっ……///」
ガッ
ラフィエル「え?」
ヴィーネ「え?」
『おきのどくですが ぼうけんのしょ1ばんは きえてしまいました。』
42 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:38:23.822 ID:
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ラフィエル「うぅ、あのMEは二度と聞きたくなかったのに……あのメッセージは二度と見たくなかったのに……っ」
ヴィーネ「前にもあったんだ……。ごめん、私の脚が本体に当たったせいで……」
ラフィエル「いえ、原因は私なので……」
ヴィーネ「で、でも、まだ他のデータがあるんでしょ?」
ラフィエル「はい……。ですが、1番が1番進んでいたデータでしたので……1番なだけに。あはは……」
ヴィーネ(こんなショックを受けてるラフィは初めてだわ! どうしたら……そうだ!)
43 :
以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/08/24(木) 21:42:28.216 ID:
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ギュ…
ラフィエル「ヴィ、ヴィーネさんっ?」
ヴィーネ「癒しの呪文よ」
ラフィエル「あっ……」
ヴィーネ「私は僧侶じゃないけど、癒されたかしら?」
ラフィエル「はい、ありがとうございます……/// ですが、まだ完全には。もう少しこのまま……」ギュウ…
ヴィーネ「ふふっ、わかったわ」ギュ…
ラフィエル「実は勇者も癒しの呪文が使えるんです。ですが、私が癒されたのは勇者だからではなく、ヴィーネさんの呪文だからですよ」
ヴィーネ「私も癒されたのはラフィの呪文だからよ」
ラフィエル「えへへ、嬉しいです。とってもっ///」
ヴィーネ「ありがとう。私も凄く嬉しい……」
ラフィエル「ヴィーネさんは先程、私の事をもっと知りたいと言ってくれましたよね。私も、もっとヴィーネさんに色んな私を知って欲しいです」
ヴィーネ「ラフィ……」
ラフィエル「ですから、これからも私の事、ずっと見ていて下さいね?」
ヴィーネ「ええ、ずっと見てる。これからもよろしくね、ラフィ」
裏タイトル ヴィーネ「天空の花嫁」 完
元スレ:
ラフィエル「導かれし者たち」
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