3 :
◆saguDXyqCw 2016/02/13(土) 23:41:03.42 ID:
AgF1way+0
友紀「そういう美羽ちゃんこそ、誰かにあげるの?」
美羽「そうですねー。やっぱりプロデューサーさんにはあげようかと」
友紀「へえ」
美羽「……妬いてますか?」ニヤニヤ
友紀「別に?」
美羽「もう、ユッキーさんったらー」アハハハ
友紀「だから別に妬いてないって!」
美羽「本当ですか-?」
友紀「本当だよ。プロデューサーが他にアイドルからチョコを貰うのは分かってるし。それもみんながプロデューサーを信頼してる証だしね」
美羽「おお、流石は大人!」
友紀「まあねー」フフーン
4 :
◆saguDXyqCw 2016/02/13(土) 23:43:34.93 ID:
AgF1way+0
美羽「ついでに、加奈ちゃんさんも、プロデューサーにあげるそうですよ」
友紀「へえー」
美羽「未央ちゃんと久美子さんもプロデューサーにあげるとか」
友紀「へえ」
美羽「あと、心さんや藍子さんやあいさんとかもプロデューサーにあげるそうです」
友紀「……へえ」
美羽「……」ニウニウ
友紀「何かな、美羽ちゃん」
美羽「言え、べっつにー?」
友紀「ちょっとー?」
5 :
◆saguDXyqCw 2016/02/13(土) 23:47:14.84 ID:
AgF1way+0
友紀「いや、いいんだけどね。あたしだって、ちゃんとしたチョコ用意してるんだから」
美羽「どんなチョコですか?」
友紀「それはひみつ!」
美羽「えー」
友紀「だから、他の子がどんなチョコをあげたって、別にあたしも気にしないもん?」
奏「あら、そうなの?」
美羽「あ、奏さん」オツカレサマデスー
奏「じゃあ、プロデューサーにどんなチョコでもいいかしら?」オツカレサマ
友紀「別に? あげる人の自由じゃないかな」
奏「自由ねえ」
奏「じゃあ、あたしの唇にチョコを塗って、それをプロデューサーに……」
友紀「ちょ、ちょ、ちょ!?!?!?」
6 :
◆saguDXyqCw 2016/02/13(土) 23:49:53.68 ID:
AgF1way+0
奏「あら、ダメかしら?」
友紀「いやーちょっと大胆すぎると言うか……」
志希「ねえねえなんの話―?」
奏「明日はバレンタインでしょ? プロデューサーさんへのプレゼントはどうしようかなって?」
志希「そうだねー」
志希「あたしはやっぱり素敵なスメルでクラクラしているウチに、あたしをどうぞって感じかなー?」
美羽「おおー……?!」
友紀「あ、あたしもどうぞって!?!? 志希ちゃん?!」
志希「ピッチピチで食べ頃だよ~」ニャハハー
友紀「食べごろとか関係ないし! ダメだからね!」
7 :
◆saguDXyqCw 2016/02/13(土) 23:51:40.22 ID:
AgF1way+0
美羽「……」ハッ!
奏「どうかしたの、美羽?」
美羽「あれです! 志希さんの言ってる事は、敷居が高いんです!」
奏「敷居が高い?」
美羽「そうですよ! 『シキ』さんだけに! 『シキ』イが高いんです!」ドヤァ
奏「……そうね、お上手だけど。それは、このタイミングで使う言葉じゃないわね」
志希「語感を優先しちゃって安易なミスを決めちゃったねー。残念」
友紀「スライダーがすっぽ抜けちゃった感じだね」
美羽「細かい所は眼をつむってくださいよ!!」
8 :
◆saguDXyqCw 2016/02/13(土) 23:54:45.50 ID:
AgF1way+0
――夜
友紀「うー。さっむー!」
美羽「ホントですね。お昼間はけっこう暖かったのに」
友紀「こう寒いと、おでんとか食べたくなるよねー」
美羽「あー、いいですねおでん」
友紀「それに、ビールとか……あぁ、今から楓さんに連絡しようかなー?」
美羽「あはは……」
友紀「お酒が恋しくなるくらい寒いよー」
美羽「今夜から明日にかけて、雪が降るって話ですもんね」
友紀「雪かー。ってことは……ホワイトバレンタイン?」
美羽「そうですねー。いいじゃないですか、ユッキーさん。ユッキーさんは雪が似合いますもん! だって――」
友紀「ユキだけに、でしょ?」
美羽「ああ、オチとらないでください!」
友紀「いやいや、バレバレな采配だから」アハハ
美羽「もう……」
9 :
◆saguDXyqCw 2016/02/13(土) 23:59:49.52 ID:
AgF1way+0
友紀「積るのかな、雪?」
美羽「どうでしょう、でも、積もるといいですね! せっかくですし」
友紀「雪合戦とか出来ちゃうぐらい積ると面白いよね」
美羽「後はカマクラとか作って」
友紀「中でお酒を飲む!」
美羽「お酒はどうでしょう?」
友紀「えー、おいしいと思うよ?」
美羽「そうですね、カマクラを作る為に、しっかり仕事をして頂けたら、特別に!」
友紀「はは、じゃあ頑張んないとね!」
美羽「まずは雪がつもるかどうかですけど」
友紀「そうだねー」アハハ
―――
―
12 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:38:31.44 ID:
5Hcnh8jh0
――2月14日・事務所
友紀「なんて事は言ったけど」
美羽「すっごく降りましたねー……ていうか、すっごく降ってますね」マッシロ
友紀「窓からの景色がまるで雪国に見たい……」
美羽「ホントですねー」
友紀「雪合戦とかしたいけど、こう吹雪いてたらそれも出来ないしなー。渡すもの渡したら、家でのんびりお酒でも飲んでよ」
美羽「友紀さん、今日はオフなんですね。チョコを渡すためにワザワザ来たんですか?」
友紀「まあ、ね。折角だし」
ちひろ「プロデューサーさんに用事だったんですか」
友紀「うわ!? ちひろさんいつの間に?」
ちひろ「さっきからいましたよ?」
美羽(気がつかなかった……)
13 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:39:56.39 ID:
5Hcnh8jh0
ちひろ「でも、ついてないですね。プロデューサーさん、今日は事務所に来れるかどうか……」
美羽「え、何でですか?」
ちひろ「この雪ですから、交通トラブルでいろんなスケジュールがズレにズレてまして。それの調整で走り回ってるんですよ」
ちひろ「と言う訳で、私もこれから出掛けますね。途中でプロデューサーさんと会うと思いますけど、何か伝えておきましょうか?」
友紀「あー、うんうん。大丈夫」
ちひろ「では」
ガチャ
友紀「プロデューサー、今日来ないかもしれないんだ」
美羽「というより、プロデューサーに連絡とかしなかったんですか?」
友紀「驚かせようかなーと思って。失敗だったよ」
14 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:41:12.11 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「まあいいや。せっかく事務所に来たんだし、少しだけ待ってようよ。ねっ!」
美羽「あ、私も仕事で直ぐに出ちゃいます」
友紀「えー、そうなの?!」
美羽「そりゃ用事もなく事務所には来ないですよ」
友紀「って事はあたし一人って事かー」
美羽「一人で大丈夫ですか?」
友紀「問題ない問題ない」アハハ
―――
――
友紀(とは言ったけど)
ポツーン
友紀(一人だと暇だなー)
15 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:43:44.47 ID:
5Hcnh8jh0
友紀(雪が降ってるせいか、いつもより静かに感じる……)
友紀「……今なら事務所で素振りしてもいいかな?」
ガチャ
時子「あら、友紀じゃない」
友紀「時子さま。お疲れさまー……って?」
コノニモツドーシマス? ソコニオイトイテ
ドスン
ドーモー ゴクロウサマ
友紀「……なに、その荷物?」
時子「カカオよ」
友紀「カカオって……もしかして時子さま、今からプロデューサーにあげるチョコ作るの!?」
時子「何、その驚きよう」
友紀「いや、なんて言うか意外だなーって」
時子「上に立つ者は、時に下の者に施しを与えるものよ」
時子「それに、別に作るとは言っていないわ」
16 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:45:43.93 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「え、だってカカオってチョコの原料でしょ。それにダンボールで器具とも持ち込んで」
時子「器具なんてないわよ。カカオだけ」
友紀「え?」
時子「この中身、カカオだけよ」
友紀「え!? それ全部?!」
時子「そうよ」
友紀「っていうか何でカカオだけなの……」
時子「知っているかしら、豚って雑食なのよ」フフッ
友紀「時子さま、なに言ってるの?」
時子「どうやら貴方には躾が必要なようね」ビシッ!
友紀「なんで?!」
17 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:48:28.57 ID:
5Hcnh8jh0
時子「はあ、貴方といると疲れるわ」マッタク
時子「プロデューサーもいないのね。ワザワザ来て上げたのに」チッ
友紀「この雪だから色々大変みたいだよー。一緒に待つ、時子さま?」
時子「なんで私が時間を割かなきゃいけないのよ。それに別の用事もあるし」
友紀「別の用事?」
時子「貴方には関係――」
ガチャ
法子「お疲れさまでーす!」
友紀「あー、法子ちゃん、お疲れー!」
法子「時子さん、やっぱりここにいたー!」
時子「……法子、貴方なんでここに?」
法子「この雪だから、早く家を出たんだけど思ったより早く駅に着いたんだ。待ち合わせには時間があったし、もしかしたら時子さんもいるかなーって思って!」
18 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:50:47.55 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「待ち合わせって、二人でどこか行くの?」
法子「うん! バレンタイン限定ドーナッツセットがある喫茶店見つけて。時子さん誘ったの!」
時子「ちょっと法子。ベラベラ喋りすぎよ」
法子「別にいいでしょ、隠してる訳でもないし?」
時子「まあ……はあ。そうね」
時子「じゃあ、行くわよ」
法子「あれ、まだ約束の時間には早いよ?」
時子「もう一緒にいるんだからその時間に拘る理由があって?」
法子「それもそっか! じゃあね、友紀さん!」
友紀「じゃあね、法子ちゃん、時子さま」
時子「お疲れ」
ヤイノヤイノ
―――
――
友紀「……時子さまと法子ちゃんって、なんか不思議な組み合せだよなー」
19 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:51:59.86 ID:
5Hcnh8jh0
友紀(でも、バレンタインに一緒に出掛けるのはいいよなー)
友紀(あたしも約束しとけば……)
友紀「って、無理かー。プロデューサーは仕事あるだろうし」
ガチャ
あい「おや、友紀くんじゃないか」
心「お疲れさま☆」
友紀「あいさんに、心さん。お疲れさまー」
あい「今日はレッスンかい?」
友紀「うんうん、そうじゃないけど。二人はレッスン?」
心「まあねー……ってか、レッスンもないのに何でいる訳。こんな雪降ってるのに?」
友紀「いやあ、ちょっとねー」
あい「心さん、察してあげるべきだろ。今日はほら」
心「あぁ、なるほどね」
20 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:56:26.38 ID:
5Hcnh8jh0
あい「だけど、プロデューサーは確か、朝から大忙しなんだろ」
友紀「あいさん、知ってるんだ」
あい「事務所に来た時に、何か資料を取りに来たようでね。ばったり会ったよ」
心「はぁとも聞いたよ。この雪じゃあねー。いくらホワイトバレンタインだからって、限度があんぞ♪ って感じ」
あい「ああ。そうだ、申し訳ないとは思ったが、先に渡させても貰ったよ」
友紀「なにが?」
あい「今日はバレンタインだろ。プロデューサーにチョコをさ」
友紀「ああ、そうなんだ」
あい「……フフッ」
友紀「どうしたの、いきなり」
あい「動揺のそぶりもないとは、流石だと思ってね。少し羨ましいよ」
友紀「動揺するような事じゃないでしょ。プロデューサーが他の子からチョコを貰っても」
心「うへー、無自覚。シュガーマシマシな感じー。やってらんね☆」
友紀「なんでそーなるの!?」
21 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:57:29.82 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「ところで、どんなチョコレートをあげたの?」
心「やっぱ気になってんじゃん」
友紀「いや、みんな色々工夫してるみたいだし」
あい「別に工夫ってほどじゃないさ。ちょっとビターに仕上げただけよ」
心「あいのはビターどころじゃないだろ☆」
友紀「どんなのあげたの?」
心「カカオ100%のチョコだってよ」
友紀「カカオ100%って、それチョコなの?」
あい「親しくなっても、甘くする気はないってことさ」
友紀「おおー、なんかカッコいい……」
22 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 20:58:36.88 ID:
5Hcnh8jh0
心「ところで、さっきから気になってたんだけど、あの段ボールなんなの?」
友紀「時子さまからのバレンタインだって」
あい「ほう、彼女がプロデューサーに?」
心「それはいいんだけど、ダンボール? どゆこと。まさか、中身一杯にチョコレートが入ってるとか」
友紀「うんうん、カカオだって」
あい「カカオ?」
友紀「うん、中身全部カカオ」
心「カカオ」
友紀「全部カカオ」
あい「カカオ……」
心「……100%」
あい「何か言いたい事でもあるのかい?」
23 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:01:02.51 ID:
5Hcnh8jh0
心「べっつにー? ただ、時子とけっこう気が合いそうじゃね?」
あい「どうしてだい」
心「同じカカオ100%じゃん♪」
あい「まちたまえ、私のはちゃんと加工してあるぞ」
友紀「そっか、あいさんは時子様と似たような物を渡したんだー」
あい「だから未加工と同列に並べないでくれないかい?」
あい「全く……まあいいさ。私はこれで失礼させてもらうよ」
友紀「もう帰るの?」
あい「残る理由もないしね――それに、この後は薫くんと用事があるんだ」
友紀「へえ」
あい「良かったら友紀くんも来るかい? 薫くんも、君なら問題ないよ」
友紀「うーん、今回はいいや」
あい「ふふっ、そう言うと思ったよ」
24 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:02:52.41 ID:
5Hcnh8jh0
心「じゃあ、はぁとが行っていい?」
あい「心さんは、誰かと予定とかないのかい?」
心「あったら言わねえよ。殴るぞ☆」
あい「はは、冗談さ」
心「じゃあ、こんな奴はほっぽいて、薫ちゃんとあんたとはぁとの三人水入らずでいこーぜ」
あい「と言う訳だ。それではね、友紀くん」
友紀「うん、お疲れさま!」
心「お疲れ様☆」
ヤイノヤイノ
ポツーン
友紀(また一人になっちゃった)
友紀(暇だなー。スポーツ新聞でも買ってこようかな)
友紀(気がついたらいい時間だし……お腹も減ってきたな)
友紀「……ちょっとコンビニ行こ」
―――
――
25 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:06:11.65 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「うーん、紅白戦の結果なー。今年から新体制だけど、どうなんだろー。って、いけない、いけない。あたしがキャッツを信じなくてどうするの……」
友紀「ほかのチームは……」パラ
友紀「フムフム、このチームはなー」パラ
友紀「ここのドラ1いいよなー。うちに来て欲しかったけど。いや、キャッツのドラ1とドラ2も悪くないけどさ」パラ
友紀「……スターの所はいいや」パラパラ
友紀「んっ?」パラッ
友紀「これは……ほう、ほう」
友紀「……へえ、奇麗な体……胸も、大きいし。なかなか。……」
ガチャ
仁奈「あー、友紀おねーさん! お疲れ様でごぜーます!」
藍子「お疲れ様です」
友紀「うわっ!? 仁奈ちゃんに藍子ちゃん。お、お疲れ!」
26 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:07:15.97 ID:
5Hcnh8jh0
藍子「? どうしたんですか、慌ててるみたいですけど」
友紀「え、うんうん、別に?!」
仁奈「友紀おねーさん、新聞読んでたんでごぜーますか?」
友紀「そうそう、ほら、野球の記事が載ってるから!」ネ、ホラ!
藍子「?」
友紀「そ、それより二人はどうしたの? レッスン?」
藍子「これからお仕事なんです」
友紀「同じ現場なんだ」
藍子「いえ、実を言えば違うんです、場所は近いんですけど」
仁奈「本当はプロデューサーが送ってくれるはずだったんでごぜーますが、雪のせいで色々大変らしーです」
藍子「だから、現場まで私が送る事になったんですよ」
27 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:08:34.74 ID:
5Hcnh8jh0
仁奈「仁奈は雪が降ってくれてうれしーですが、大人はそうじゃないそうでごぜーます」
友紀「そんなことないって、ホントは大人も嬉しいんだよ?」
仁奈「ほんとうでやがりますか?」
友紀「そうそう、あたしなんかすっごくワクワクしてるもん!」
仁奈「仁奈もワクワクでごぜーます!」
友紀「そうだ、明日にでもみんなでカマクラ作ろうか?」
仁奈「かまくら!」
友紀「藍子ちゃんも一緒にね!」
藍子「ええ、是非……あら、あの荷物は?」
友紀「ああ、時子さまの、プロデューサーへのバレンタインだって」
28 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:10:18.66 ID:
5Hcnh8jh0
藍子「あれ全部ですか! 凄いですね……」
友紀「全部カカオらしいけどね」
藍子「チョコじゃなくて、カカオですか……?」
藍子「ああ、でもほら。カカオって体にいいっていいますし、時子さんなりの気遣いなのかもしれませんね」
友紀「豚は雑食とか言ってたけどね」
藍子「ええ……」
仁奈「プロデューサーは豚でやがりますもんね!」
藍子「ちょっと仁奈ちゃん!? 誰からそんなこと聞いたの?!」
仁奈「時子おねーさんがそう言ってやがりましたよ?」
藍子「あのね、あまり言わない方がいい事もあるかなって」
友紀「あはははは」
29 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:11:33.80 ID:
5Hcnh8jh0
藍子「……そう言えば、友紀さんはプロデューサーにチョコをあげたんですか?」
友紀「うんうん、タイミングが合わなくてねー。とりあえずここで待ってようかと」
藍子「連絡はしてあるんですか?」
友紀「いやいや、プロデューサーも仕事で忙しいんだからね。もし戻ってきたら渡すよ」
仁奈「それなら! 友紀おねーさんも一緒に来やがりますか?」
友紀「現場に?」
藍子「いいんじゃないですか。それだったらプロデューサーに会えますし」
友紀「ダメダメ、関係ないあたしが言ったら迷惑でしょ?」
藍子「そんなことはないと思いますよ」
友紀「ありがとうね、二人とも。でも大丈夫だって。待ちくたびれたら、机の上にでも置いて帰っちゃえばいいし」
仁奈「友紀おねーさんは、一人でもさみしくねーでごぜーますか?」
30 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:13:24.05 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「えっ?」
仁奈「仁奈は一人でさみしーです。でも友紀おねーさんはだいじょーぶでやがるんですか」
友紀「そうだねー。まあ、寂しくないと言えば嘘になるけど」
友紀「でも、今は大丈夫かな。プロデューサーや、みんながいるから」
友紀「一人でも、一人じゃないって分かってるもん!」
仁奈「仁奈には、ちょっとむずかしーです」
仁奈「むずかしーでやがりますが、でも、なんだか分かる気がします!」
友紀「おー、仁奈ちゃんも違いが分かる大人だねー?」
藍子「仁奈ちゃん、そろそろ」
仁奈「はいです! じゃあ、友紀おねーさん。さよならです!」
友紀「うん、明日の約束忘れないでよー」
仁奈「もちろんでごぜーます!」
友紀「藍子ちゃんも」
藍子「はい、未央ちゃんや茜ちゃんも誘ってみますね」
友紀「よろしくー」
ガチャ
友紀「……」
友紀「えっと、さっきのページは……」パラパラ
31 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:14:34.67 ID:
5Hcnh8jh0
―――
――
友紀「……」キリッ
ブンッ!
友紀「……」
友紀「いや、今のスイングじゃだめか……。もっとこう軸を意識して、力に逆らわず」
友紀(うーん、やっぱ新聞丸めたのじゃ、バットの感覚は掴めないな)
友紀(新聞より、マイクの方が感覚をつかみやすいなー)
友紀「……どっかにマイクないかな?」
ガチャ
美羽「お疲れさまでーす」
友紀「お、美羽ちゃん」
美羽「あれ、ユッキーさん。まだいたんですか。もう夕方ですよ」
友紀「本当だ、もうこんな時間。外が紅い……っていうか、もう雪は止んでる?」
美羽「少し前に。でもたくさん積もってますよ」
友紀「本当? じゃあ明日はみんなでカマクラ作りだね!」
美羽「あ、いいですねー」
32 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:16:29.41 ID:
5Hcnh8jh0
美羽「それで、まだいるということは、プロデューサーさんにはまだ?」
友紀「戻ってこないねー」
美羽「それは残念ですね」
友紀「まあ、残念じゃないと言えば嘘になるけど。こればかりは仕方ないでしょ。約束してなかったあたしも悪いし」
美羽「でも、せっかくの休みが潰れちゃったじゃないですか」
友紀「あんな天気だったら、どうせ家でゴロゴロしてただけよ。ここにいた方が色々な子が来て楽しかったし」
美羽「事務所に来れば皆さんいますもんね」
友紀「美羽ちゃんはなんで事務所に? 今日はもうお仕事ないでしょ?」
美羽「いえいえ、もしかたら、ユッキーさんがまだいるかなーと思って」
友紀「戻って来てくれたの?」
美羽「あのですね……これ、どうぞ!」
友紀「え、チョコレート。あたしに?」
美羽「友チョコです!」
33 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:17:58.19 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「へえ、ありがとう! でもプロデューサーにあげるのは?」
美羽「それはちゃんとありますよ! そっちはプロデューサーさんのはちょっと気合いが入ってますよー」
友紀「へえ?」
美羽「板チョコで、イタチチョコなんて、我ながら中々……」
友紀「板? 今なんか言った?」
美羽「あー、秘密です」
美羽「って、あの荷物は?」
友紀「カカオ」
美羽「カカオ? え、どういうことですか」
友紀「時子さまから、プロデューサーへのバレンタイン」
美羽「カカオ?」
友紀「全部ね」
34 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:19:01.32 ID:
5Hcnh8jh0
美羽「え、全部?!」
友紀「全部カカオ」
美羽「あれ全部」
友紀「うん」
美羽「……か」
友紀「か?」
美羽「勝てない……」ガックリ
友紀「何と戦う気?」
美羽「いえ、別に……」
友紀「だけど、本当に晴れたね」
美羽「ですねー。雪に反射して、夕焼けが凄く……こんなに綺麗だと、なんだか、泣けてきちゃいますね」
35 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:20:35.78 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「よっと」ガラッ
美羽「わっ、急に窓をあけないでくださいよ!」
友紀「うわー。すっごい寒いー」
美羽「もう……」
友紀「寒いけど、気持ちいいね」
美羽「本当ですね」
友紀「まだしばらく寒いのかな?」
美羽「来週になったら、一気に暖かくなるそうですよ」
友紀「あ、そうなんだ。寒いのも今のうちかー」
美羽「寒いのが終わったら、春が来ますね」
友紀「春になったら、また野球も新しいシーズンが始まるなー。うー、楽しみ!」
美羽「ユッキーさんったら」アハハ
友紀「野球じゃなくて、あたし達も新しいシーズンになるからね。今から準備しとかなきゃね」
美羽「……ねえ、ユッキーさん。私たちの新しいシーズンは、どうなるんですかね?」
36 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:21:20.68 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「どーだろう。事前予想ってあんまり当てにならないからなー」
友紀「ただ、やれることをやるだけじゃないかな?」
美羽「そうですよね」
美羽「楽しみ、ですね」
友紀「うん、そうだね」
美羽「うう、ちょっと冷えちゃった。何か温かい飲み物買ってきますよ」
友紀「いってらっしゃーい」
ガチャ
友紀「……うう、あたしも冷えちゃった。窓締めよ」ガララッ
友紀「あたしの分も頼めば良かった……あたしも買いに行こ」
ガチャ
友紀「あら、美羽ちゃん? 早い……」
モバP(以下P)「あれ、友紀?」
37 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:23:24.33 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「おっ、プロデューサー! おかえり。お仕事は?」
P「ああ、思ったより早く終わって……って言うか何でここに――」
友紀「もう、野暮な事を聞かないでよ」
P「ああ……」
P「? この荷物はなんだ。なんか頼んだっけ?」
友紀「時子さまからのバレンタインだよ」
P「時子さまから?」
友紀「カカオだって。全部」
P「これ全部かよ……」
友紀「凄いよねー」
P「……カカオ100%か」
友紀「あ、あいさんの?」
P「ん、お前もあいさんと会ったのか」
友紀「うん、聞いたよ。カカオ100%のチョコでしょ」
P「そう、100%。これで100%は2個目だ」
友紀「愛されてるね」アハハ
P「ホント、全く」ハハ
38 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:28:50.89 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「……あー、プロデューサー」
友紀「今年はキャッツも新体制で楽しみだよねー」
P「ああ、そうだな」
友紀「楽しみと言えば……?」
P「楽しみと言えば、あれかな。やっぱり。バレンタインだし、やっぱり」
友紀「はい、ユッキの特性チョコ」ヒョイ
P「おう、ありがとう」
友紀「これで、プロデューサーのシーズンもばっちりだよ」
P「開けてみても?」
友紀「もちろん!」
39 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:30:46.00 ID:
5Hcnh8jh0
P「これは……マンゴー?」
友紀「そう、チョコでコーティングしたの」
P「なるほど、この時期はキャンプか」
友紀「そう! それに――」
P「地元の名産品、だろ?」
友紀「おお、流石はプロデューサー」
P「名監督だろ?」
友紀「じゃあ、そんな名監督にはこちらも授けましょう」
スッ
P「……!」
友紀「……ン。どう?」ヘヘッ
40 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:32:00.22 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「お気に召して貰えただろーか?」
P「……もう一回は?」
友紀「欲張るのはだーめ。ここは事務所だし、それに……」
ガチャ
美羽「あ、プロデューサーさん!」
P「美羽。お前も居たのか」
美羽「お邪魔でした?」
P「そんな事ないって」
友紀「そうだ、バレンタインなんだし、三人でこれからどこか行かない?」
美羽「いいんですか?」
41 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:36:02.09 ID:
5Hcnh8jh0
友紀「勿論、プロデューサーも奢りがいがあるでしょ?」
P「待て待て、今日はバレンタインデーだろ。そこは女性が奢るべきでは?」
友紀「うーん、どうしよっかなー」
美羽「いっそ、くじ引きでやるのはどうですか?」
友紀「くじ引き」
美羽「そうです!」
美羽「目をつぶって、当たりがどれかバレンタイン感じで引きましょう!」
P「じゃあ美羽に奢ってもらうか」
友紀「それがいいかもね」
美羽「えー!? ちょっとー!」
42 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:37:52.39 ID:
5Hcnh8jh0
P「冗談だよ」ハハハ
美羽「バレンタインなんですから、甘ーく評価してくださいよー」
友紀「まあ、誰が奢るかは置いといてさ……」
友紀「行こっ! 美羽ちゃん。プロデューサー!」
美羽「明日はバレンタインデーですねー」友紀「そうだねー」 《終》
43 :
◆saguDXyqCw 2016/02/14(日) 21:48:25.95 ID:
5Hcnh8jh0
おしまいです。
続きを書く気はなかったのですが、復刻で無事、無事に秋色センターの友紀を引き当てる事が出来たので。
しかも丁度バレンタインじゃーんって事でそれも絡めて、後日談だしのんびりで良いかーと思いこんな感じになりました。
読んでくれた人、本当にありがとうございました。
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元スレ:
美羽「明日はバレンタインデーですねー」友紀「そうだねー」
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