2 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:39:42.56 ID:
xMQqEIfOo
響「…」
提督「響、こんなところでなにしてんだ?」
響「ん?ああ、司令官か」
提督「今日はいつもより一段と冷える、こんなところにいたら風邪ひいちまうぞ」
響「なに、子供は風の子、というじゃないか」
響「それに、今日は君の言う通り、いつもより一段と冷える、もしかしたら雪が降るかもしれない」
3 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:41:45.21 ID:
xMQqEIfOo
提督「まあ、確かに今日は雪が降るかもしれないな…ってお前まさか」
響「ああ、雪が降るのを待っていたのさ」
響「今年初めての雪を、この目で見ようと思ってね」
提督「お前どんだけ雪好きなんだ、子供かよ、って子供か…」
4 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:43:00.90 ID:
xMQqEIfOo
響「まあそういうこと、大丈夫、引き際は弁えているさ」
響「風邪をひきそうになったら、すぐに部屋に戻るよ」
提督「…はあ、もう」
提督「隣、邪魔するぞ、あとこれ着ろ」
5 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:44:11.68 ID:
xMQqEIfOo
響「これ、君の上着…これだと君が風邪をひいてしまう」
提督「簡単に風邪をひくほど軟な体していないさ、それに部下の体調を気遣うのも、願いを聞くのも、上官の務めだ」
提督「ここで一緒に雪を待とう、いいか?」
6 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:44:55.60 ID:
xMQqEIfOo
響「…」
響「…うん、いいよ」
響「…だけど、この上着だけだと、まだ寒いかな」
提督「あ~じゃあもっとちゃんとした防寒着を…」
響「いや、これでいい」ギュッ
7 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:47:11.92 ID:
xMQqEIfOo
提督「おいおい、俺にくっついてどうするんだ」
響「君で暖を取ろうと思ってね、それにこれなら、君も暖かいだろう?」
提督「…まあ確かにな」
響「…ああ、やはり君は暖かいな、悪くない」
提督「…ああ、本当に暖かいな、悪くない気分だ」
8 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:47:57.18 ID:
xMQqEIfOo
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
響「…雪、降るかな」
提督「どうだろうな、こればっかりは空の気分次第だ」
響「そうだろうね、ならば空にお願いをするべきだろうか」
提督「そうだな、気分が良ければ、聞き入れてくれるかもしれない」
9 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:48:28.15 ID:
xMQqEIfOo
響「それじゃあ…」スッ
響「…」
提督「…」
10 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:49:10.11 ID:
xMQqEIfOo
響は手を空に掲げ、そして目を閉じた
今まさに、空に願っているのだろう
そんな響を真似て、俺も顔を空に向け、目を閉じ、願った
響の願いを聞き入れてもらえるよう、願った
そう願った矢先…不意に自分の鼻先に、冷たい何かが触れたのを感じ、目を開いた
11 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:49:41.73 ID:
xMQqEIfOo
響「司令官、見てみなよ」
提督「ああ、見ているよ」
響「雪だ…」
12 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:50:50.03 ID:
xMQqEIfOo
空から幾億もの雪が、私達の元に舞い降りた
私の、私達の願いを、空が聞き入れてくれたからだろうか
まあ、今はそんなことどうでもいい
綺麗だ
彼と見るこの雪が、この光景が、ただただ、綺麗で、美しい
私は手を広げ、舞い降りる雪に触れた
だけど、その雪は、私の手の平に触れた瞬間に、解けてしまった
13 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:51:18.89 ID:
xMQqEIfOo
響「…ああ、やはり、解けてしまうんだね」
提督「響?」
14 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:53:15.78 ID:
xMQqEIfOo
響「君とみる雪は、とても綺麗で、美しい」
響「この光景は、きっと私の思い出として、残り続けるんだ…だけど」
響「この光景を、思い出だけじゃない、思い出だけじゃ、足りない」
響「形として、残したいと、そう思ったんだ」
響「…欲張り、なんだろうけどね」
響「だけど、残したいんだ」
15 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:53:45.74 ID:
xMQqEIfOo
響「それほどに、この光景が、素晴らしいと感じたんだ」
響「…だけど、いや、もう止そう」
響「これ以上は、欲張りなんだ」
16 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:54:19.72 ID:
xMQqEIfOo
響「…」
提督「…」
提督「この雪は、とても寒い空で生まれ、そして響の元に舞い降りた」
響「?」
17 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:57:05.54 ID:
xMQqEIfOo
提督「寒い世界しか知らない雪は、響の手の平に触れた瞬間、こう感じたはずだ」
提督「とても暖かい、心地良い…って」
提督「そして、その暖かさに、身を委ねようと、一つになりたいと、そう思った」
提督「その身を解かしてまでも、そうなりたいと、願ったんだ」
提督「そして、響にその身を委ね、一つになった」
18 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:58:01.94 ID:
xMQqEIfOo
提督「だから響、この雪は残り続ける」
提督「響の、心地良い暖かさがある限り」
提督「いつまでも、いつまでも、な」
19 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:58:53.76 ID:
xMQqEIfOo
響「ああ、そうか…」
響「残り続けて、くれるんだね」
響「ああ、良かった、嬉しい」
響「すごく、嬉しい…」
20 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 14:59:39.29 ID:
xMQqEIfOo
響「…ねえ、なんだか似ていると思わないかい?」
提督「ん?」
響「この雪と、私」
提督「響と雪が、か?」
21 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 15:00:08.56 ID:
xMQqEIfOo
響「私も、君の暖かさに触れ、とても心地良いと感じている」
響「まるで、解けてしまいそうになるくらいに…」
22 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 15:00:42.20 ID:
xMQqEIfOo
響「そうだ、今の私は、雪なんだ」
響「君という暖かさに触れ、解けていく」
響「私の全てを委ねたいと…」
響「一つになりたいと願う、雪なんだ」
23 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 15:02:09.28 ID:
xMQqEIfOo
提督「…随分、暖かい、心地良い雪だな」ギュッ
響「…」ギュッ
提督「…なあ、響」
響「…なんだい」
24 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 15:02:37.23 ID:
xMQqEIfOo
提督「雪、綺麗だな」
25 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 15:03:08.39 ID:
xMQqEIfOo
響「…」
響「…ああ」ギュッ
26 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 15:04:01.23 ID:
xMQqEIfOo
響「私も、解けていたい」
27 :
◆VgLY1HQ3xE 2016/01/11(月) 15:04:28.49 ID:
xMQqEIfOo
終わり。
じゃあの
28 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/11(月) 15:46:55.86 ID:Qnq4HC/ro
乙
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元スレ:
【艦これ】響「暖め合い」
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