3 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:19:24.20 ID:
LygbPqAhO
加蓮「――ぐすっ」
泰葉「加蓮……李衣菜が意味もなく突き放すようなこと言うはずないじゃない」
加蓮「でも、だって……今までこんなこと、一度も……」
泰葉「まぁ……確かにそうだけど。李衣菜にもなにか理由があるんだと思うから……」
加蓮「……そう、だよね。友だちだもん、信じないと」
泰葉「ええ。ふふ、話してくれるまで待ちましょう?」
加蓮「うん、泣いてる場合じゃないよね!」
―――
――
―
4 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:21:44.77 ID:
LygbPqAhO
―――あくる日
李衣菜「――それじゃちひろさん、お願いできますか?」
ちひろ「ええ、任せてください。知り合いにも連絡してみますから――」
泰葉「あ……」
泰葉(こんなところで……なんのお話かな)
泰葉「李衣菜、ちひろさん。ここでなにを――」
李衣菜「えっ、や、泰葉!? き、聞いてた!?」
泰葉「きゃ! う、ううん聞こえなかったけど……いったいなn」
李衣菜「あ、あぁーっと! レッスン行かなきゃ! そ、それじゃあっ」
泰葉「え、ちょ――李衣菜……!?」
5 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:25:07.35 ID:
LygbPqAhO
ちひろ「あ、あら……」
泰葉「行っちゃった……。……李衣菜……」
ちひろ「え、ええと……泰葉ちゃん? 心配しなくても、李衣菜ちゃんは――」
泰葉「………………りいな……なんで……」フラッ
ちひろ「や、泰葉ちゃんどこへ……!」
泰葉「大丈夫です……。大丈夫……」フラフラ…
ちひろ「――李衣菜ちゃん。全部済んだらお説教ですからね……!」
6 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:28:37.77 ID:
LygbPqAhO
―――
泰葉「りいなにきらわれた」グスン
加蓮「ってどこかで見たパターン……泰葉もなにか言われたの?」
泰葉「……それどころか、聞く耳も持たずに逃げちゃって……」
加蓮「そんな……。でも、泰葉が言ったんだよ? 話してくれるまで待とう、って」
泰葉「そうだけど……あそこまで露骨に避けられると……」
加蓮「だ、だよね……。んもう、とっ捕まえて洗いざらい吐いてもらわないと」
泰葉「……うん……」
加蓮「ほら、元気出してこっ。チャンスなんていくらでもあるんだから――」
7 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:30:51.79 ID:
LygbPqAhO
―――それから
加蓮「あ、李衣菜っ。ちょっと――」
李衣菜「ご、ごめん加蓮! 今日は予定あるんだっ」
―――
泰葉「み、見つけた……李衣菜!」
李衣菜「うっ、泰葉……ま、また今度ね!」
―――
加蓮「きょ、今日はお仕事一緒だね。ね、ねぇ……」
泰葉「り、李衣菜、そろそろ話して――」
李衣菜「さ、さぁスタッフさんに挨拶しないと! そしたらリハでしょ、他にもやることいっぱいだよ!」タタタッ
―――
――
―
8 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:32:58.39 ID:
LygbPqAhO
―――
加蓮「……………………」ズゥゥゥン…
泰葉「……………………」ドヨーン…
P「お、おーい。この世の終わりみたいな顔してるぞー? 生きてるか~……?」
加蓮「……ぇぐ。ぁうぅ、ひぐぅ……!」
P「なに、李衣菜に嫌われた? いや、ありえないだろ。お前らに限って」
泰葉「ぐしゅ、えぅ、ぅ、ぅぅうう……!」
P「ずっと避けられてる? ……うーん、なにか隠してるだけだと思うんだけどなぁ。あいつ不器用だし」
加蓮「う、ぅええええぇえぇぇ……!」メソメソ…
9 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:35:12.03 ID:
LygbPqAhO
泰葉「だ、ってぇ……! なに、なにもっ、ぃって、くれないの……! ぐす、ぅぅ」ヒック
P「あぁもう泣くなって……絶対大丈夫だから。すぐ元通りになるよ」
加蓮「な、んで……そんな、ことっ……Pさんにわかる、の……!」
P「分かるさ。俺はいつだってお前たちを見てきたからな」ワシャワシャ
泰葉「……すんっ」
加蓮「ん……」
P「だから大丈夫。あいつのこと、待っててやりな。……あんまり遅くなったら、俺が叱ってやるから」
10 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:37:59.91 ID:
LygbPqAhO
加蓮「……うん。分かった……」
泰葉「Pさんがそう言ってくれると……不安が薄れる気がします……」
P「ん、ならどんどん頼れ。そんな泣き顔、見たくないからな」
泰葉「はいっ、頼りますね……」ギュ
加蓮「えへ……いっぱい頼るから」ギュッ
P「なんでそこで抱きつく……甘えんぼめ」
「「ふふふ♪」」
P(こんなに寂しがってるんだから……早く決めて、仲直りしろよ――李衣菜)
―――
――
―
11 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:40:45.74 ID:
LygbPqAhO
―――
たったった……
李衣菜「はぁ、はぁっ……!」
李衣菜(へへ、ようやく出来た!)
李衣菜(ごめんね、二人とも。ずっと避けちゃって)
李衣菜(私、優柔不断だから……やっぱり遅くなっちゃった)
李衣菜(ちひろさんにも、Pさんにも謝らないと。せっかく協力してもらったのに……二人に悲しい顔させちゃった)
李衣菜(――待ってて。最高のプレゼント、持っていくから!)
ちら
ちら……
李衣菜「……あ、雪だっ」タタタ…
12 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:42:55.08 ID:
LygbPqAhO
―――事務所
加蓮「あ……雪だよ、泰葉」
泰葉「降ってきたんだ……。李衣菜、遅いね」
加蓮「……ふん、李衣菜なんて風邪引いちゃえばいい」
泰葉「くすっ、今さら意地張るの? いろいろタイミング遅いよ……」
加蓮「ふふ、うーそ。……雪かぁ、もうすぐクリスマスだもんね。私たちが出会った季節」
泰葉「……うん。Pさんが、私たちをここに連れてきてくれた季節……」
13 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:46:37.18 ID:
LygbPqAhO
加蓮「街を歩いてたらね、急に声掛けられたの。スーツの怪しいお兄さんに」クス
泰葉「私は……撮影スタジオで。見学の人かと思ったら違ってね……」
加蓮「へぇ、そうなんだ? ふふっ、李衣菜はPさんとどんな出会い方したのかな」
加蓮「――ねぇ、李衣菜?」
……がちゃ
李衣菜「なんでバレたの……エスパー? ……はぁ、はぁ……!」
泰葉「そんなに息を切らしてたら、いくらドア越しでも分かるよ……ふふ」
14 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:49:55.99 ID:
LygbPqAhO
李衣菜「あー……薄いもんね、このドア」
加蓮「それに、事務所自体も超狭いし。……って、初めて来たときに思った。今もだけどね、ふふっ」
泰葉「今は物が溢れて……思い出もたくさん詰まってるものね」
李衣菜「へへ……。で、Pさんとの出会いだっけ? 加蓮とほぼ一緒だよ、駅前でぼーっとしてたら話し掛けられた」
加蓮「ふぅん、李衣菜もなんだ。……で? 他になにか言うことがあるんじゃないの?」
李衣菜「あっ……うん、そうだよね――」
李衣菜「――ごめんっ、加蓮、泰葉! ずっと……ずっと冷たくしちゃって……! 本当にごめんなさいっ!」
15 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:52:15.73 ID:
LygbPqAhO
泰葉「…………」
加蓮「…………」
李衣菜「……え、えっと……」
加蓮「……ん、よし。許すっ」ニコッ
李衣菜「え、軽っ」
泰葉「ふふ、言い訳ばかりだったらもっと怒ったけど。ちゃんと謝ってくれたから」
加蓮「もー、あんまり待たせないでよね? このおバカ」
16 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:55:07.84 ID:
LygbPqAhO
李衣菜「……うぅ。……うぅぅぅ゛ううう……!!」ポロポロ…
泰葉「え――り、李衣菜!?」
加蓮「な、なっ……どうしたの!?」
李衣菜「だっで、だってぇぇ! こんな゛っ、かんたんにゆ゛るしてもら゛えるなんてぇぇぇぇええ……! ぐずっ、ごめ、ごめ゛んねぇぇ……!」
加蓮「あーあーあー、泣きすぎ! 泰葉、ティッシュティッシュっ」
泰葉「は、はいはいっ……!」
17 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 19:58:42.45 ID:
LygbPqAhO
―――
加蓮「――ほら、鼻かんで」
李衣菜「ちーんっ」
泰葉「よしよし……落ち着いた?」ナデナデ…
李衣菜「……ん、ぐしゅ。ありがと……」
加蓮「いっぱい泣いたね。ふふ、子供みたいだった♪」
李衣菜「ぅ~、しょうがないじゃん……」
18 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:00:56.57 ID:
LygbPqAhO
泰葉「でも……よかった。やっと話してくれて」
加蓮「怖かったんだから……李衣菜に嫌われたんじゃないかって」
李衣菜「……ごめん。ほんとに」シュン…
加蓮「って、これじゃまるでイジメてるみたいじゃない……この話は終わり終わりっ」
泰葉「ふふ、ええ。李衣菜にも考えがあったんでしょう?」
李衣菜「う、うん……えっと、ね。私たち、この季節に出会ったでしょ? だから――」
李衣菜「二人のために記念のプレゼント、探してたんだ」
19 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:05:12.32 ID:
LygbPqAhO
泰葉「プレゼントって……」
加蓮「……私たちに?」
李衣菜「うん、そう。……初めて顔を合わせたのも、ここだった――」
李衣菜「なんだかめんどくさそうにしてる女の子がいて……表情が読みにくい女の子がいて」
李衣菜「私も、アイドルなんて務まるのかな、って不安だったけど……」
李衣菜「レッスン受けたり、特訓したり……いろんなことを一緒にやってさ」
李衣菜「だんだん打ち解けて、だんだん笑顔が増えてきて。その度に仲良くなって……」
20 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:08:30.10 ID:
LygbPqAhO
李衣菜「お互いのこと、いろいろ話したよね。たくさん、たくさん」
加蓮「……正直ドン引きしたでしょ。私の身の上話なんて」
泰葉「そんなこと、全然。それよりも嬉しかったかな……」
李衣菜「うん。そういうことも話してくれるくらい、信じてもらえるようになったんだ、って」
加蓮「えへへ……特別も特別なんだから」
李衣菜「……うん、特別。だから、私たちなら出来るって思えたんだよ。どんなことも」
21 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:12:44.06 ID:
LygbPqAhO
李衣菜「Pさんに『エバーリース』ってユニット名、伝えられたとき……すごくドキドキしたんだ」
李衣菜「これが私たちの始まりなんだ、って。今までと違う、なにかが始まるんだって」
泰葉「……『常葉色の冠』。いつまでも緑の葉の木みたいに、ずっと笑顔で……」
加蓮「それにお姫様のティアラ、ね……。ふふ、Pさんたら乙女チックなんだから」
泰葉「ふふっ……♪」
李衣菜「あはは。Pさん拗ねちゃうよ、そんなこと言ったら」
李衣菜「で、回りくどくなっちゃったけど――」ゴソ
李衣菜「……私たちのリースにちなんだ――イヤリング。ようやく完成したんだ」チャリ…
22 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:14:47.97 ID:
LygbPqAhO
加蓮「かわいい……!」
泰葉「これを、私たちのために……。それに、出来たって……?」
李衣菜「えへへ。なかなかこれだ、っていうのが見つからなかったからさ……手作りにしたんだよね」
加蓮「え、これ作ったのっ? 三組も……!」
李衣菜「最初は買えるようなお店、ちひろさんに探してもらってたんだけど……どこもしっくりこなくてさ」
李衣菜「それで、手作りにしようって。泰葉みたいに細かい作業は得意じゃないし、加蓮のネイルアートみたいな技術もないけど……」
李衣菜「私なりに、心を込めて作ったから……もらってくれたら、嬉しいな!」
23 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:16:49.88 ID:
LygbPqAhO
加蓮「…………」
泰葉「…………」
李衣菜「お揃いだからさ、一緒に付けようよ! 絶対似合うと思うんだ♪」
加蓮「…………」
泰葉「…………」
李衣菜「……あ、あのー。なにか言ってくれないかなーって……」
加蓮「……泰葉」
泰葉「うん、加蓮」
李衣菜「へ?」
加蓮「(`;ω;´)」ブワッ
泰葉「(´;ω;`)」ブワッ
李衣菜「わぁ!?」
24 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:19:07.91 ID:
LygbPqAhO
李衣菜「ちょっ、な、なんで泣くの!?」
加蓮「うれじい……うれ゛しいより゛ーなぁぁぁああ……!」ムギュゥゥゥゥ
李衣菜「なぁぁあ!? ぅぐ、ぐるじい……!」
泰葉「うっ……うぅ゛っ……りいな゛……りい゛なぁ……! すき、ぃ、だい゛すきぃぃ……!!」エグエグ
李衣菜「ああああ、アイドルどころか女の子がしちゃいけない顔してるよ!? そんな泣くことじゃないでしょ!」
加蓮「なくっ、な゛くにきま゛っでるでしょばかぁぁ、あ゛ぁぁああん!」ギュー
泰葉「う、ぅきゅ゛、うぅぅ゛ぁぁぁああんっ!」ギューッ
李衣菜「いだ、いたいいたいいだい!? 死ぬ死ぬ死ぬ死んじゃうってええ!」ギリギリギリ…!
25 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:21:12.03 ID:
LygbPqAhO
「「うあぁぁぁあああん!!」」グギュギュウ
李衣菜「な、泣き止んでよ二人ともぉ! 誰か助けてえええ!」
―――ドア越し
P「……なんとかなりましたね。まったく李衣菜のやつ、心配かけて……」
ちひろ「た、助けなくていいんです? 李衣菜ちゃん苦しそう……」
P「先に泣かしたのはあいつですから。ふふ、存分に困らせてやりましょう」
ちひろ「……ですね。私もお説教しようかと思ってましたし♪」
李衣菜(――へへ、永遠の緑の冠。クリスマスに出会った、私たちの絆の証!)
おわり
李衣菜(……絆の前に死んじゃうぅぅぅ……がくっ)ギリギリ…
26 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:21:55.80 ID:
LygbPqAhO
というお話だったのさ
クリスマスが今年もやってくる
29 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:41:43.57 ID:
LygbPqAhO
30 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:48:06.21 ID:
LygbPqAhO
31 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:53:23.40 ID:
LygbPqAhO
32 :
◆5F5enKB7wjS6 2015/12/21(月) 20:56:03.44 ID:
LygbPqAhO
今気づいた
今回で51作目だわ……キリのいい50作目がよりによってぴにゃネタとか……
SS速報VIPに投稿されたスレッドの紹介です
元スレ:
モバP「だりやすかれんと出会いの証」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450692867/
ファット・カンパニー (2016-05-31)
売り上げランキング: 3,855