ヘッドライン

ヴィクトリカ「久城……私も、君のことが大切だ」久城一弥「ヴィクトリカ……」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1601991294/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/10/06(火) 22:34:54.42 ID:e55HzmPuO
「うーむ……」

ここは新大陸。陽は沈み、辺りは真っ暗。
ニューヨークの街にひっそりと建つ古びたアパルトマンの一室にて、耳を澄ますと、何やら1匹の小さな仔狼が唸っているようだ。

「久城の奴め……どういうつもりだ?」

人語を口にするこの小さな仔狼の名は、ヴィクトリカ。新大陸に渡る際に姓は捨てたので、ただのヴィクトリカである。

「気持ち良さそうに寝息を立ておって」

端正に整った顔立ちはビスクドールを思わせるほどに人間離れしており、しかしその声は枯れていて、まるで老婆が話しているようにも聞こえる。無論、彼女はうら若き乙女だ。

ヴィクトリカは長い睫毛を重たそうにパサパサ瞬きして隣で寝息を立てる青年を見つめていた。彼は彼女のパートナー、久城一弥だ。

「ひとの気も知らずに……ぐーすかと」
「むにゃ……ふふっ。ヴィクトリカったらグリーンピースが鼻の穴に入ってるよ。いくら嫌いだからってそんなところに入れたら……」

あられもない一弥の寝言に、ピキリと。
陶磁器のようなヴィクトリカのこめかみに血管が浮き出て、丸くて愛らしい額を縦断するように、深い深いシワが眉間に寄った。




[ 2020/10/07 07:00 ] その他 | TB(0) | CM(0)
[タグ] GOSICK

久城一弥「据え膳?」ヴィクトリカ「喰わぬは男の恥なのだろう?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1587047676/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/04/16(木) 23:34:36.71 ID:91TsAL8vO
「久城」
「ん……なんだい、ヴィクトリカ?」

第二次世界大戦終結後。
嵐が過ぎ去り、ヴィクトリカ・ド・ブロアと久城一弥は新大陸で共に暮らしていた。
こじんまりとしたアパートメントでの生活は、一弥はともかくヴィクトリカにとってはさぞこたえるだろうと思われたが、意外にも彼女は順応して快適に過ごしている。

もっとも根っからのお姫様体質であるヴィクトリカが新生活を謳歌しているのは、ひとえに根っからの苦労人であり奴隷体質である一弥の献身によって支えられていることは言うまでもなく明白であり、生活を維持するために記者としての仕事をこなし、毎日くたくたになって帰宅して家事をひと通り終えると、ソファに横たわり泥のように眠っていた。

「よかった。起きていたか」
「いや、寝てたけど……どうしたのさ」

寝ぼけ眼を擦りつつ、一弥が尋ねると。

「知恵の泉が告げているのだ」
「へぇ……なんて?」
「今夜は久城に優しくしてもらえと」

驚きに一弥はパチクリと目をしばたかせた。




[ 2020/04/17 09:55 ] その他 | TB(0) | CM(1)
[タグ] GOSICK
ページランキング