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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/23(日) 16:11:51.13 ID:
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毎年変わらない、夏である。五月までは快適だった気温が六月あたりからスタートダッシュ的に急上昇し、七月に入るやいなや文字通りヒートアップした。変わり映えのしない文句が口をつく。
「…暑い」
学校へと続く急斜面を登ることも、さながら苦行だ。
「だらしないわねぇ、団員たるものもっとしゃきっとしなさい!」
横でやたらと元気に騒いでいるのは我らが団長様だ。
「朝から元気なのはいいが、どうせなら元気なお前が荷物を持てば良かったんじゃないか?」
「団長は命令するのが仕事なの!部下が楽しちゃ意味無いじゃない。少なくとも私が団長を務めている間はSOS団は厳格な階級制度を採用するわ!」
恐らくハルヒが団長から引退したらSOS団などと言う奇妙奇天烈な団体は存在しなくなるので、俺は常に雑用をやらされるってことか。
「しかるべき功績を残して昇進すればいいのよ。古泉君やみくるちゃんみたいに」
ハルヒにとっての功績とは、どうせ宇宙人捕獲とかタイムマシンの開発とかであろうが、恩も情もある長門を捕まえることや朝比奈さんの禁則事項を破ることは絶対に出来ないししたくも無いので昇進なんて最初から無いものだと考えていいんだよ。
「やれやれ」
こんな日に限って校門には生活指導の先生が立っている。普段の俺ならば全く恐れる必要のないことだが、今日は話が別だ。
この荷物はあきらか学校生活に不必要だからだ。俺の腕に抱えられているこの笹は。