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◆8dLnQgHb2qlg 2015/11/07(土) 22:48:14.53 ID:
mtLigDEH0
「藍子、なにかやりたい仕事とかないか?」
「やりたいお仕事ですか?」
プロデューサーさんにそう訊かれたのは、デビューして一ヶ月になる頃だった。
今日は学校帰りに軽くレッスンをした後、事務所に寄っていた。
そんなに広くはない事務所だけど、なんとなく居心地がいいから暇なときに雑誌を読んだりしている。
「人気が出てからじゃないとできない仕事も多いけど、逆に今じゃないとできない仕事もあるからな。どうしてもこれをしておきたいってことがあるのか訊いておこうと思って」
「そういうことでしたか。やりたいことかぁ……」
改めて考えてみると、けっこう難しい。
だけど、言うだけならタダなんだから、なにも考えずにやりたいことを言っちゃおうかな。
「例えば……みんなでお散歩したり、とか?」
「んー、参加者との区別が付けにくいか。となると、どこかを貸切にするかスタッフを増やすか……ちょっと難しいかな」
場所が広いといろいろと問題も出てくるみたい。
やってることはお仕事だもんね。
「えーと、じゃあ……カフェでファンのみなさんとお話するとかどうですか? 私がウェイトレスさんをしたり、ちょっとだけ歌ったりして」
「なるほどね……」
座席数も決まってるし、室内だからどうかな?
「でも、これもお店に迷惑かけちゃうかも? あとは……」
「いや、いけるかも。というか、いいなそれ。採用」
「え?」
企画が通っちゃった?
……あんなに軽いノリで?