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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/24(火) 13:46:53.28 ID:
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完敗。
完敗である。
いや、違う。
我々は今まさに完敗へ向かって突き進んでいる最中なのだ。
戦艦水鬼は自らの体に、艤装に、視線を落とした。自軍の負けを半ば理解していても体は動く。敵前逃亡などあってはならないと勇ましく持論を叫んでいたのは誰だったか。
記憶の隅、埃を被って千切れかけている思い出が、薄ぼんやりとだが浮かび上がる。そして確たる何かを得られぬまま、また水底へと沈んでいくのだ。
まるでわたしたちのようではないか、と彼女は思った。
そうして自嘲気味に笑う。どういう意味だか。まったく、どうやらすっかり気が振れてしまったようだ。
いや、あるいは、最初から……。
自らを突き進ませるものの正体はわからない。自らの正体すらもわからないのだから、別段不思議ではなかった。
遠く、水平戦場に見える敵影。その数十二。空母棲姫が撃沈させられたとの報が入ってから、およそ3時間。羅針盤に導かれてやってきた、忌々しい艦娘たち。
彼女たちを見るにつけ、自らのうちにこみ上げてくる感情の存在を、当然戦艦水鬼は知っていた。その名前も。