http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438072717/
1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/28(火) 17:38:37.83 ID:
18ATeOwdo
・さくはな
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/28(火) 17:41:08.84 ID:
18ATeOwdo
櫻子「あっ、花子帰ってたんだ、おかえり!」
花子「ただいま……風邪じゃなかったの?」
不自然な程整った姿勢で、ソファーに腰を掛ける花子は、
こちらに目をやらず、TVのリモコンを操作しながら受け答えをこなしていた。
櫻子「えっ、そうだけど……なんで?」
花子「風邪ならリビングにいない方がいいし、部屋に戻って欲しいし」
視線をテレビから逸らすこともなく、ニュースキャスターと睨めっこを続けながら、
花子は淡々とした口調で言い放った。意訳して言えば、さっさと出て行ってくれという退去命令だった。
なんともまあかわいげのない妹! 病魔に苦しんでいる私を厄介払いして、
自分は病原菌からさっさと遠ざかるという非常に合理的な判断を下せる八歳らしい。
慈愛に満ち溢れた私の妹がなぜこんなにも擦れてしまったのか……。
櫻子「うう……只今の時代は社会に出るまでも無く、小学校で世間の荒波に揉まれるのか……」
花子「なにをいってるんだし……」
床に四足を付く私を見下ろす花子の目は、冷たくはなかったけど、
呆れ半分憐れみ半分で、視線は中々に鋭利なものだった。
櫻子「もういいもん! そんなに病気が怖いなら花子は健康ランドのオーナーにでもなっちまえばいいんだ!」
なにかを言いたそうな花子を尻目に、私はリビングを後にして行った。
もうふて寝でもしてやる! 起きたらきっとこの熱も何処かへ吹き飛んでいるに違いない!
足取りに力を込め過ぎないようにしながら、自分の部屋の扉まで進んで、腹いせにならないような力でドアノブを掴んだ。