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佐々木「はあ……えっちしたいなぁ」キョン「え?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1663590970/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/09/19(月) 21:36:10.22 ID:9zYVhOWxO
「雄雌が存在する生命において生殖本能が存在するのは自然の摂理であり、思春期を迎えた際に多かれ少なかれ異性に興味を抱くものだが、興味本位で生殖行動に及べるほどに我々が暮らす社会は単純な構造をしていない点が人々を恋愛から遠ざけている一因だね」

中学の頃、俺には佐々木という友人が居て、同じ塾に通っていたこともありそれなりに親しい間柄だったのだが、思い起こせば佐々木と色恋について語り合う機会は少なかった。

「そもそも生物には生存本能というものがありその優先順位が生殖本能よりも上であることがこのジレンマを生み出しているわけだ」
「ジレンマ、ねぇ」
「本来ならば群れを形成することは自らの保身を図る手段であるのに人類が構築した社会システムは群れを維持するのに向いてない」

たしかに言ってしまえば家族は群れであり、互いに支え合うことで自分の身を守ることに繋がらなければおかしい。それが大前提だ。

「そこで僕は考える。子を生すことでその後の生活が保証されるようにしなければならないと。そうすれば本能の赴くまま、人々は子を作り、社会は恒久的に繁栄するだろうと」
「宇宙棄民まっしぐらだな」

総人口が100億人突破して人類が地上を埋め尽くした結果、政府が宇宙に建設したスペース・コロニーに人々を捨て始めた宇宙世紀を引き合いに出すと佐々木はくつくつ嘲笑い。

「やれやれ。そう上手くいかないものだね」
「むしろ少子化こそ生存本能の結果かもな」
「はあ……えっちしたいなぁ」
「え?」

佐々木の小さな呟きに、思わず耳を疑った。




[ 2022/09/20 15:00 ] その他 | TB(0) | CM(1)

佐々木「あの月の光だって、太陽光線の反射だよ」キョン「月は月で綺麗だろ」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1647785042/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/03/20(日) 23:04:02.73 ID:f2FhMN8xO
「だいぶ日が長くなってきたね」

言われて視線を上に向けりと沈みかけた太陽が空を茜色に染めており、闇色の夜に星が瞬き始めていた。素直に綺麗だなと思い呟く。

「……もうすぐ春だな」

今はまだ冷たい夜風もすぐに温くなって過ごしやすい季節が訪れる。待ち遠しいものだ。

「我らが住う地球は太陽系の第3惑星で、恒星たる太陽の恩恵を享受している。そこで僕は考える。果たして太陽は地球から何かを得ているのだろうかと。ただ搾取されているだけなのか、それともWin -Winの関係なのか」

そんなこと考えたこともない。太陽の利益。

「よくわからんが……地球が存在していて、俺たちがそこに誕生したおかげで太陽は自分自身の存在を観測して貰えるわけだから、そう悪い関係じゃないんじゃないか?」

適当なことを云うと佐々木はくつくつ笑い。

「そうだね。自己の肯定は何よりも得難い利益を生む。人間だって他者に肯定して貰えなければ存在価値などないに等しいのだから」

果たしてそうだろうか。透明人間の価値は。




[ 2022/03/21 08:05 ] その他 | TB(0) | CM(1)

キョン「分かち合うって、何を?」佐々木「世界の喪失の、哀しみを」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1642336869/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/01/16(日) 21:41:09.44 ID:xk4lsT1lO
「キョン、どうかしたのかい?」
「え? 何がだ?」
「さっきからずっと上の空だよ」

中坊の頃、迫り来る高校受験を目前にしてまったく勉学に取り組む姿勢を見せなかった俺に痺れを切らしたお袋に指図され、学習塾に放り込まれた。そうした経緯で漫画やゲームを取り上げられて勉強漬けを余儀なくされた可哀想な俺の唯一の娯楽はライトノベルであり、申し訳程度の挿絵の存在を親が知らないのを良いことに読み耽っていた。ライトノベルはシリーズ形式で何冊も刊行されている作品も多くなかでも好きなシリーズがあった。

「ああ、なるほど。ニュースを見たんだね」

1巻からコツコツ読み進めてようやく最新刊に追いついた俺は、その作品の続きが読めないという現実に直面した。この世の中にはどうしようもないことがあって、それを現実と呼び、受け入れるしかないことを俺は学んだ。

「あの作品、僕も好きだったよ」
「佐々木が?」
「意外かい? 僕もたまにはラノベを嗜む」

いつも小難しい本ばかり読んでいる佐々木がこの作品を読んでいるとは思わなかった俺がようやく視線を向けると、くつくつ微笑み。

「まるで迷子だね。大丈夫。分かち合おう」
「分かち合うって、何を?」
「世界の喪失の、哀しみを」

世界の喪失。そう佐々木は表現した。そこで俺はこの虚無感の正体を理解した。今朝、ニュースを見たあの瞬間に作品を通じて自分の中に広がっている世界が、喪われたのだと。




キョン「どうやら俺は、お前のことが大好きだ」佐々木「……やれやれだね」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1640517553/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/12/26(日) 20:19:13.03 ID:Pq65kueIO
「なあ、佐々木」
「ん? どうしたの、キョン」
「どうやら俺は、お前のことが好きらしい」

唐突であるが中学時代の一幕を回想しよう。
あれはクリスマスから一夜明けた12月26日で日曜日。その日の塾帰りに俺は、自分なりに導き出した結論を佐々木に伝えた。すると。

「好きというのはつまり、恋愛感情かい?」
「ああ」
「随分と自信があるようだけど、どうしてキミはそれを恋愛感情と断言出来るのかな?」

佐々木という奴はご覧の通り面倒臭い性格をしていて、この世で起こる全ての出来事には理由があり、何らかの法則に従った結果として収束するのだと信望しているようだった。

「断言はしてない。好きらしいってだけだ」
「その言い方だとまるで外部の何者かの客観的意見を参考にしているようにも取れるね」

さすがに察しがいい。佐々木は頭が良いので突発的な俺の妄言の中に含まれる深層心理を見抜いて、無自覚な矛盾点を掘り下げる。

「キョン。感情とは流動的で、刻一刻と変化するものだ。その中でも好意は特殊で自分から相手に向ける感情ではあるが、自分の中で生み出されるその瞬間だけは、外部の影響を受けるべきではない。発生してからゆらゆら揺れ動くのは仕方ないが、発生だけは人工的ではなく自然なものなければ僕は認めない」

好意を自覚する際に外部に頼ることは何らおかしくないとは思う。それを認めない、認めたくないのは佐々木の個人的な矜持だろう。




[ 2021/12/27 04:25 ] その他 | TB(0) | CM(0)

キョン「お前はかわいい」佐々木「そ、そうかな……?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1636892753/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/11/14(日) 21:25:53.42 ID:28MELoQeO
「キョン。キミは自分という存在を客観視した際に嫌悪感を抱いたことはあるかい?」

なんの脈略もなく訊ねられた俺が視線を向けると、中学の冬服に身を包んだ佐々木は窓の外に目を向けており、何か珍しいものでも見えるのかと思って目を凝らすも、寒々しい晩秋の曇り空くらいしか特筆すべきものは見当たらなかった。

「自分のことを好きになるにはどうしたら良いのだろうね。皆目見当もつかないよ」

自分のことを好きな人間なんざロクな奴じゃないだろう。すると佐々木はくつくつ笑い。

「ロクでなしか。それは魅力的な在り方だが、失うものがあまりにも大きすぎる」
「たとえば?」
「大切な友達、かな」

そんな歯の浮くような台詞に限って目を見て話していると本当に友達が居なくなるぞ。

「もしも僕の日常にキミが居なくなったらどうなるのか、それは実に興味深いね」

別にどうにもなるまい。地球は回り続ける。




[ 2021/11/21 16:55 ] その他 | TB(0) | CM(0)

キョン「手、繋ぐか?」涼宮ハルヒ「バカ。調子に乗んなっての」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1635002277/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/10/24(日) 00:17:57.55 ID:vG0bMMmYO
もしも涼宮ハルヒと長門有希のパンツが足元に落ちていたら迷わず長門のパンツを拾うことは言うまでもなく、ましてやそこに朝比奈さんのパンツまでもが加わるのならばヘッドスライディングを辞さず朝比奈さんのパンツに飛びつくに違いないことはわざわざ説明する必要が見当たらない必然であるのだが、では口頭で「パンツください」と誰に言えるかと言うとそれはハルヒ以外の選択肢がないことも、悲しい哉、また事実である。

「は?」
「いや、だからパンツを……」
「無理」

とはいえ、その願望を口にしたとしても理想通りに事が運ばないのが現実というもので、にべもなくハルヒに却下されるのもまた必然であると言えよう。ちぇっ。ケチ臭い奴め。

「……明日」
「ん? なにか言ったか?」
「明日まで待って」

しかしながら事実は小説よりも奇であるとはよく言ったもので俺は首尾良く涼宮ハルヒのパンツを譲渡して頂く確約を得たのだった。




キョン「まるで少女漫画の男の子みたいだな」佐々木「それはキミだろう?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1633175739/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/10/02(土) 20:55:39.42 ID:0P228qqwO
「佐々木さん、これ貸してあげるー!」

中学時代に佐々木という友人が居て、同じ塾で席を並べていたこともあり、俺が塾で使う参考書などを自宅に忘れた際などはそれを取りに家に立ち寄ることもあったのだが、頑なに玄関より先に踏み入ろうとはしなかった。

「これは……?」
「すっごく面白いから読んでみて!」

そんな佐々木が今日も今日とて玄関で靴も脱がずに置物と化しているとすかさず妹が無遠慮に何やら押しつけた。愛読の少女漫画だ。

「ありがとう。大事に読ませて貰います」
「うん! 読み終わったら感想きかせてー」

何がそんなに嬉しいのか朗らかな妹に釣られたのか佐々木も珍しくシニカルでない微笑みを浮かべていて、兄として妹によくやったと褒めざるを得ない状況が生み出されていた。

「悪いな、うちの妹が」
「悪くもないのに謝罪するのは感心しないな。むしろあんなにも可愛らしい妹さんをキミはもっと誇るべきだ。それともキョンは身内を褒めるのが恥ずかしいお年頃なのかな?」

妹が可愛らしいことは俺が誰よりも熟知しているしそれを恥だなんて思ったことはない。
では何故、わざわざ謙遜したのかと言うと。

「なるほど。知り合いに妹さんを褒めて貰って悦に浸りたかったわけか。恐れ入るよ」

やれやれと首を振りながら先程の花咲くような微笑みとは似ても似つかぬシニカルな笑みを浮かべながら、佐々木はくつくつと笑った。




[ 2021/10/03 06:55 ] その他 | TB(0) | CM(0)

キョン「やっぱり佐々木は天才だよ」佐々木「キミには負けるよ、キョン」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1628780702/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/08/13(金) 00:05:02.00 ID:ibjZ0HLOO
「なあ、佐々木」
「なんだい、キョン」

隣の席の女子に気安く話しかけられる幸運を中学時代の俺が正しく理解していたかどうかは、進学先の北高の席順の都合により今となっては定かではないとしか言えないのだが、それでも後ろの席に鎮座する涼宮ハルヒに話しかけるよりはよっぽどハードルが低かったように記憶している。

「どうして髪を伸ばさないんだ?」

そんな俺であるが女子の髪型についてあれこれ詮索することに忌避感は覚えていなかったようで、ズケズケと図々しく年中ミディアムボブの佐々木に対してそんなことを訊ねた。

すると佐々木は困ったように眉尻を下げて。

「キョン。僕はキミとそれなりに親しいつもりだし、同じようにキミが思ってくれているからこそ、そんな風に軽々しく女の子の髪型について言及したのだということはむしろ喜ばしく思うけれど、それでも、もう少し言葉を選んで欲しかったと思わざるを得ないよ」

中学の頃の俺の語彙力など今にも増して壊滅的なことは言うまでもなく、だから言葉を選んで欲しいと言われてもそもそも選択肢すらないのだから選びようがないとしか言えん。




[ 2021/08/14 06:55 ] その他 | TB(0) | CM(0)

キョン「なんのつもりだ?」ハルヒ「……行かないで」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1625664951/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/07/07(水) 22:35:51.84 ID:rcCzl30NO
世間一般のイメージとは裏腹に、涼宮ハルヒは常時"ハレ晴レユカイ"というわけではなく、出会った当初などはいつも不機嫌そうな雰囲気を醸していて、例えるならば"ジメジメ不快"とでも表現するのが適切であった。

「蒸し暑いわね……」

季節は梅雨真っ盛り。
朝から晩まで曇天で、雨は振ったりやんだりを繰り返し、気温の上昇に伴い不快指数は止まることを知らず鰻登りであると言えよう。

「私のことも煽ぎなさいよ」
「嫌だね」

パタパタと下敷きを団扇代わりにして少しでも肌の表面温度を下げようと風を送り続ける俺に向かって、どこかの王侯貴族が如く、扇げと催促するハルヒをあしらいながら、この団扇で扇ぐという行為は得られる風とそのために消費する労力は果たして釣り合いが取れているのだろうかと考えを巡らせていると。

「だから人に煽がせる意味があるんでしょ」

などと、身も蓋もないことを抜かすハルヒにちらと視線を送ると、心底うんざりしたような表情と、汗で頬に張り付く髪の毛がなんだか風情があるような気がして、そこに一定の価値を見出した俺はその対価として下敷きで煽いでやった。やれやれ。我ながら甘いな。

「涼しいか?」
「全然」

そうかいと嘆息しつつハルヒの頬に張り付く髪の毛を無性に取ってやりたくなる衝動を堪えながら、俺はなんとなしに既視感を覚えて記憶を探り、中学時代の一幕を思い出した。




佐々木「これがシュタインズ・ゲートの選択だよ」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1616932644/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/03/28(日) 20:57:24.15 ID:gYxSR/SRO
もしも佐々木にファンが存在するのだとしたら、その持ち前の聡明さや常識に則った言動、そして如何なる時でも発揮される沈着冷静ぶりを気に入ったのだろうということは想像に難くないが、とはいえ、女子の癖に自分のことを僕と言う佐々木が果たして常識に則った言動をしているかと問われれば、疑問が生じるのもまた事実である。

たしかに中学時代、それなりに親しくしていた俺の目から見ても佐々木は常識人のように映ったが、それはあくまでも主観的な話であり、客観的に見れば女子が男子に対して男のように振る舞い、そしてそいつに男友達と同じように接する俺の態度は甚だ奇異に映っていたに違いない。

しかしながらこちらとしては今更友人に対する態度を変えるつもりはなく、どれだけそれが周りから見て不自然な光景だろうと構いやしないのさと、お互い歯牙にも掛けずに俺と佐々木は帰り道を共にしていた。




[ 2021/03/29 06:55 ] その他 | TB(0) | CM(2)
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