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タツマキ「私もアンタが好きよ」サイタマ「ハゲてて良かったな」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1649164485/


1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2022/04/05(火) 22:14:45.26 ID:4BypDZP4O
「なに泣いてんのよ。みっともないわね」

ある日、子供を迎えに行くと泣いていた。
見たところ怪我はないようなので泣くほど辛いことがあったのだろう。そう思い訊ねる。

「何があったのよ。言ってみなさい」
「ぐすっ……クラスメイトにお前のお父さんハゲって言われて……それで、ぼく」

しくしくめそめそ。誰に似たのかしら。私もあのハゲも泣き虫ではない。弱虫でもない。

「そう。それは事実だから仕方ないわ」
「でも……」
「でも、ハゲててもアイツはアイツよ」

子供と手を繋いで空中浮遊。空が青かった。

「アイツに何か不満があるわけ?」
「ううん……ないけど」
「ふん。ならいいじゃないの」

鼻を鳴らすのはあいつを良い旦那だと認めるのが癪に障るから。ちらと横目で一瞥して。

「私だって完璧じゃないわ」

妹のフブキと比べると背が小さいし泣いている我が子に優しくしてやることも出来ない。
それでも私は母親。私なりに大切にしている。

「完璧な両親なんて、窮屈でしょ?」
「……よくわかんない」

わからないだろう。しかし、いつかわかる。

「お母さんはどうしてお父さんと結婚したの? お父さんのどこを好きになったの?」
「べ、別に好きとかそんなんじゃないわよ」

前置きをしつつ、咳払いをして私は答えた。

「私より強いから」

それだけが事実でそれだけで夫に相応しい。

「だからアンタも強くなりなさい」
「お父さんみたいに?」
「別にアイツみたいになる必要はないわ。もちろん私みたいになる必要もない。アイツがアイツであるように、そして私が私であるように。アンタはなりたい自分になりなさい」

我が家にハゲは2人もいらない。1人で充分。




[ 2022/04/06 17:55 ] その他 | TB(0) | CM(0)
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タツマキ「この私こそが、正義よね」サイタマ「はは。完全にヤベー奴だな」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1637763280/


1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/11/24(水) 23:14:40.05 ID:85wXS3rNO
「ふんっ」
「いや、ふんじゃなくて……」

なんとなく夜寝付けなくて、散歩に出かけようとしたら雨が降っていて、超能力で雨雲を払い除けるとまん丸のお月様がそこに居た。

「お前な、勝手に雨止ませるのはやめとけ」
「なんでよ。雨なんて鬱陶しいだけなんだからいつ止ませようが私の勝手でしょ」
「お前はそれでいいかも知れないけど、雨が好きな奴だって居るかも知れないだろうが」
「うぐっ」

たまたまその現場に居合わせたお月様みたいな頭をしたサイタマの説教に反論するも、正論を返されて、悔し紛れに私は尋ね返した。

「なによ、アンタ雨が好きなわけ?」
「いや、別に。むしろ嫌いだな 」
「じゃあ黙ってなさいよ!?」

つい今しがた納得しかけた自分が許せない。




[ 2021/11/25 06:55 ] その他 | TB(0) | CM(0)
[タグ] ワンパンマン

サイタマ「先公は引っ込んでろよ」ぬ~べ~「生憎、仲間を見捨てては置けなくてな」

ジェノ子「私はジェノ子。先生の弟子だ」タツマキ「弟子? このハゲの?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1605459159/


1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/11/16(月) 01:52:39.67 ID:Btb/boOPO
「ただいま」
「おかえりなさい、先生」
「いや~帰り道で犬の糞を踏んじまってさ。悪いけど俺の靴を洗っておいて……」

汚れたブーツをこちらに手渡そうとして、サイタマ先生は固まった。目をごしごし擦る。
そして再びこちらを凝視してから、問うた。

「お前、ジェノスか?」
「違います、先生。俺は……いや、私は今日から『ジェノ子』です。お見知り置きを」

先生が戸惑うのも無理はない。当然の反応。
何せ俺は、いや"私"は生まれ変わったのだ。
女性型ボディに換装して、私は女となった。

「ジェノ子って……意味わかんねえよ」
「先生」
「な、なんだよ」
「"強さ"とは、なんでしょう?」

ずっとその答えを探し求めて、解を得た。

「"強さ"とはつまり、相対的なもの」
「は?」
「戦慄のタツマキやサイタマ先生を観察して理解しました。どう見ても強そうに見えない者こそ、真の強者となる資格を有しているのだと。故に私は敢えて弱者となりました」
「おい、お前さらっと失礼じゃね?」

私は弱くなった。そして真の強さを得た。




[ 2020/11/16 11:55 ] その他 | TB(0) | CM(0)
[タグ] ワンパンマン

タツマキ「す、好きじゃないわよ……」サイタマ「じゃあ、やめるか?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1601731884/


1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/10/03(土) 22:31:24.98 ID:OrrkKALEO
「んぅ……」

その少女はその晩、眠れぬ夜を過ごしていた。

「……全然眠れないわ」

真っ暗な寝室のベッドに横たわり、膝を抱えるように丸くなっている小さな少女は、いつもよりさらにちっぽけな存在に見えた。

「なんなのよ……アイツ」

まるで子供が悔しがるように歯を食いしばりながら不満を口にする少女の頬は、湧き上がる怒りか、はたまたそれ以外の感情によって赤く染まっていて、閉じた両のふとももを擦り合わせる。

「いきなりこの私を抱きしめるなんて……」

少女の不満の理由はとある同業者の突発的かつ不可解な行動に起因する。

「この私が身動きひとつ取れないなんて」

その男は見るからに弱そうな奴だった。
にも関わらず、完璧に動きを封じられた。
無論、即座に脱出を試みたが出来なかった。

「私を誰だと思ってるのよ……」

彼女の名前はタツマキ。戦慄のタツマキだ。
ヒーロー協会に所属し、ランキングは2位。
つまり、この世界で2番目に強い存在だ。
1位のブラストは現在消息不明なため、実質的に彼女はもっとも強いヒーローとも言える。

「……私は強い」

見た目は小さな少女だが、彼女は強いのだ。

「強い筈なのに……どうして」

どうして、あの男を振り払えなかったのか。




[ 2020/10/04 11:55 ] その他 | TB(0) | CM(0)
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タツマキ「このハゲも一緒に暮らすから」フブキ「はあっ!?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1595594872/


1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/07/24(金) 21:47:52.38 ID:5NhpqbcGO
「フブキ様、そろそろ目的地周辺です」
「停めて」

怪人出没の通報を受け、組員が運転するフブキ組御用達の高級車にて現場へ急行した。

「酷いわね……」

そこには瓦礫が散乱していて、肝心の怪人の姿は見当たらず、どうやら私より早く駆けつけたヒーローによって退治された後らしい。

先を越された憤りよりも急いで駆けつけた徒労感が勝り、思わず溜息を吐き、そこでふと気づいた。鉄筋が奇妙に捻れていることに。

それを見て、ゾクリと、『戦慄』が走る。

「この破壊の仕方は、まさか……!」
「如何されましたか、フブキ様」
「すぐにこの場を離れるわよ!」
「は、はいっ!」

即座に回れ右をして来た道を引き返す。
自分の勘が正しければ、近くに居る。
ある意味、怪人よりも凶悪なヒーローが。

「うわっ!」
「どうしたの!?」
「急にタイヤの接地感がなくなって……!」

しまった。時既に遅かったか。
車窓から外を見ると、そこは空中。
やはり、私の勘は正しかった。

「フブキ。おうちに帰るわよ」

窓から身を乗り出すと、世界で最も恐ろしい姉である、戦慄のタツマキがそこに居た。




[ 2020/07/26 13:25 ] その他 | TB(0) | CM(0)
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タツマキ「サイタマにもチョコを渡したの?」フブキ「ええ、義理だけど……」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1581691791/


1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/02/14(金) 23:49:51.33 ID:bFVACeXFO
「はい、お姉ちゃん。いつもお疲れ様」

その日、大陸から海を越えて上陸してきた怪人ウイルスマンとの死闘を終えた私は、荒波が打ちつける埠頭で妹のフブキに出迎えられた。
可愛くラッピングされた包みを見て、気づく。
そう言えば、今日は2月14日。バレンタインだ。

「ありがと、フブキ。いつも悪いわね」

感染を防ぐために展開していた超能力のバリアを解き、有り難く贈り物を受け取る。
フブキは感染予防の為に装着したガスマスクを取り外し、端正に整った顔立ちを見せ微笑む。

「いいのよ。今年は沢山作ったから」
「そうなの? ちなみに誰に?」
「知り合いになったキングと、ジェノスと、バングさんと、それからまあ一応……あいつにも」
「サイタマにもチョコを渡したの?」
「ええ、義理だけど……」

所謂、義理チョコだとフブキは言う。
それにしては妙に顔が赤い。これはいけない。
私はすぐさま妹の周囲にバリアを展開して閉じ込めてから、辺りに飛散したウイルスの除染をしていたヒーロー協会の職員を呼び寄せた。

「私の妹がウイルスに感染したみたいだから、大至急隔離して潜伏期間中の経過をみて頂戴」
「ちょっと、お姉ちゃん!?」
「フブキ、悪いけどあなたの出番は終わりよ」

さあ、それでは赴くとしよう。新たな戦場へ。




[ 2020/07/26 09:55 ] その他 | TB(0) | CM(0)
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サイタマ「お前って普段、パンツ穿いてないのか?」タツマキ「おやすみ」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1571572714/


1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/10/20(日) 20:58:34.28 ID:01arW23NO
「……ただいま」

無人の部屋に自分の声が虚しく響く。
それなりに広いマンションに一人暮らし。
とはいえ、ここには寝に帰るだけだ。
ここが自分の家だという感覚は薄い。

なにせヒーローは忙しい。
昼夜問わず、怪人は現れる。
その度に西へ東へ北へ南へと奔走する毎日。

何の為にと問われれば、自分の為だ。
表向きはストレス発散と言い張っている。
だけど、本当は。

「……お風呂が沸いたわね」

ワンピースを脱いで、湯船に浸かる。
このひとときが唯一、心安らぐ瞬間だ。
怪人共の薄汚い返り血を綺麗に洗い流す。

気まぐれに能力でお湯を中空に浮かしてみた。
球体となって浴室に漂う、お風呂の水。
そこに貧相な自分の姿が映り込んでいた。

超能力のせいか、この身体は老化しない。
子供の頃のまま、成長が止まっている。
今となっては知らぬ者が居ない程、ヒーローとしての知名度を誇る私だが、何も知らない者からしたらただの子供にしか見えないだろう。

「フブキが羨ましいわ」

この時だけは、能力に劣る妹が羨ましかった。
妹のフブキは年相応に成長を遂げている。
そして最近は、精神的にも変わり始めていた。

あの子は目に見えて成長し、強くなっている。

「それに比べて私は……はあ」

溜息と共に超能力を解除する。ちゃぽん。
浮かんだお湯は落下して再び湯船を満たした。
何も変わらない自分が、酷く惨めだった。




[ 2020/07/25 17:55 ] その他 | TB(0) | CM(0)
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タツマキ「サイタマ、抱っこして」サイタマ「ん? ああ、いいぞ」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1571064775/

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/10/14(月) 23:52:55.97 ID:XuhOLFIKO
本作品にはweb版のネタバレが含まれておりますので未読の方はくれぐれもご注意ください。

それでは以下、本編です。




[ 2020/07/25 13:25 ] その他 | TB(0) | CM(1)
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