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◆uCbLPg/WnY 2016/02/25(木) 17:39:36.94 ID:
v1UJmOTK0
モバマスSS
地の文メイン
2 :
◆uCbLPg/WnY 2016/02/25(木) 17:41:03.82 ID:
v1UJmOTK0
ふと傘を頭の上からどかしてみれば、曇天の星空が広がっていた。
いつの間にか雨は止んでいたらしい。夜空のように黒い傘をたたみ、一、二回振るって雨粒を落とし、L型の柄を握りこんだ。
つい一ヶ月前だろうか、休日に立ち寄ったアンティーク店で一目惚れして買ったものだ。
夜を貼り付けたかのような涅色の小間、柄の部分は漆だろうか、くすみがかったこげ茶色が光沢を放っていた。
傘にしてはいささか高い買い物だった上に、壊れやすいから使用目的での買い上げは遠慮した方がいいと店主に忠言されたのだが、買って以来使用したいという欲が抑えきれず、つい雨が降った今日、事務所まで持ってきてしまった。
壊れるからこそ美しい、とは誰の言葉だったか。