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渋谷凛「梅雨のおかげ」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/06/11(月) 00:45:35.17 ID:m7wvDgMq0

画面いっぱいに映し出された週間天気予報は、日本のどこの地名を見ても傘のマークだらけだった。

次に地図へと画面が移り変わり、キャスターの人が画面をぽん、と叩く。

『本日午前八時ごろ発生した台風――号は明日には本州に上陸する見込みであり……』

日本の左下当たりを指し示し、そこからの予想される進路を淡々と説明していった。

憂鬱だ。

小さくため息を吐いて、ソファへ深めに座り直した。

全体重をソファへと預けて、仰け反るように後方を見る。

私のプロデューサーは、自分のデスクで忙しそうにキーボードを叩いていた。

今はちょっと構ってもらえそうにないな、とプロデューサーで暇を潰すことを断念した。

座ったままの状態で、手の感触だけを頼りにマガジンラックから雑誌を抜き取る。

ファッション誌だった。

まぁ、なんでもいいかと膝の上で開き、ぱらぱらと眺めることにした。





[ 2018/06/11 11:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

渋谷凛「愛を込めて花束を」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/04/28(土) 00:00:09.37 ID:P0hJ5EgM0

昔、父に連れられ花畑に行ったことがある。

思えば、私が両親の仕事を強く誇りに思うようになったのは、あれからだったのだろう。

もちろん、それまでも両親の仕事は子供ながらに素敵なものだと思っていたし、うちの花を手にしたお客さんの笑顔を見るたび両親に憧れや尊敬の念を抱いていた。

けれど、やっぱり。

私が花屋という職業のなんたるかを意識したのも、両親の偉大さを思い知ったのも、たぶん父と花畑に行ったあの日からだ。

そんなことを、胸に抱えた花束を見て、思い出した。





[ 2018/04/28 06:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

渋谷凛「ジャストライト」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/04/13(金) 03:07:54.13 ID:NDASyQPp0

静まり返ったレッスンスタジオの廊下に、ぺたぺたという音が響いている。

同じアイドルの子や警備員の人たちは靴だから、来館者用のスリッパの音だとわかった。

そして、利用時間を過ぎたレッスンスタジオ、それも私のルームにやって来るのなんて、たぶん一人だけ。

私のプロデューサーだ。

ぺたぺたはだんだん大きくなり、やがてルームの前で止まる。

間もなく扉が勢いよく開け放たれ、予想どおりプロデューサーが入ってきた。

「お疲れー」

平常運転の意味なく楽し気な声色と表情だ。





[ 2018/04/13 06:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

モバP「今日は凛に渡すものがあります」渋谷凛「え、何。急に改まって」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/03/14(水) 00:34:11.86 ID:bsBodHjT0

凛「それで、何? 渡すものって」


P「ここだと問題があるから、第二会議室まで来て」

凛「……なんか緊張してる?」

P「してる」

凛「まぁいいや。私は第二会議室に行けばいいんだよね」

P「そう」

凛「プロデューサーは?」

P「あとで行く」

凛「ん。じゃあ、あとで」





渋谷凛「ハーゲンダッツさん」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/03/10(土) 00:31:03.38 ID:eLb1veNO0

「りんー」

プロデューサーが自分のデスクから私の方へと声を投げる。

「りーん」

私が事務所のソファで休憩していると、プロデューサーはいつもこうして横着に私を呼びつける。

「りんー?」

はじめのうちは「他の子とか社員の人とかもいるし恥ずかしいからやめて」と抗議したものだったけれど、今となっては半ばお決まりのよ

うになってしまっている。

「りーんー」

四度目のそれを聞いて、さて、と軽く息を吐き腰を上げた。





[ 2018/03/10 11:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

モバP「凛って髪めっちゃ長いよな」渋谷凛「今更?」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/03/06(火) 00:32:56.30 ID:7DNiVS7/0

P「見てたらめっちゃ長いなぁ、って思って」

凛「まぁ、うん。長いけど」


P「ちょっと触ってもいい?」

凛「……? よくわからないけど、はい」

P「すごい。さらさら」

凛「……」

P「沖縄の砂みたい」

凛「もっと他に良い例え方あると思うんだけど」

P「いや、でもほんとにさらさらですごい」





北条加蓮「運命的、あるいは作為的」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/02/08(木) 01:43:12.36 ID:1k4n5Mtx0

奇跡だとか、運命だとか。

その類の言葉があまり得意ではなかった。

目に見えない存在に成果を横取りされている気がして、どうにも好きになれなかったのだ。

何より、これまでの紆余曲折を運命の二文字で片付けられてしまうのは寂しい。

私がこの言葉たちを好意的に解釈できるようになったのは、つい最近のことだ。

そして、それはたった一人の所業だったりする。

これから、私はその人物の話をしようと思う。

私のそれまでの価値観を全部全部壊してしまった、私史上最高に自分勝手で、私史上最高に信頼できる人の話を。





[ 2018/02/08 11:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

モバP「ノースリーブのタートルネックってエロくない?」渋谷凛「……え?」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/02/02(金) 01:44:50.92 ID:BHsgrPsN0

凛「いや、えっ?」


P「ノースリーブのタートルネックってエロくないですか、って」

凛「それ。私を見て言ってる?」

P「他にどこにノースリーブのタートルネックがいるって言うの」

凛「なんでちょっと偉そうなの」

P「で、ノースリー」

凛「もうわかったから、三回も言わないで」

P「はい」

凛「それで? なんだっけ。私の今の恰好がその、卑猥に見えるわけ?」

P「卑猥って言い方はなんか違う」

凛「うん。それはそうだよね。普通の服着てるわけだし」

P「わかんないかなぁ」

凛「ごめん。本気でわからない」





[ 2018/02/02 06:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

渋谷凛「それはきっと、私にとっても記録的大雪」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/01/22(月) 23:33:10.05 ID:Ths8Jl5j0

「降ってきたな」

窓の外をちらつき始めた雪を眺めていたところ、背後から声をかけられた。

声の主は私のプロデューサーで、手には二つマグカップを持っている。

「気が利くね」

可愛げのない返事をしつつ、手渡されたマグカップを受け取った。

ひとくち口を付けると、ほぅっとため息が自然にこぼれた。

それを見逃すプロデューサーではない。

「おばあちゃんみたい」

いつにもまして雑ないじりを受けたので、仕返しに「私がおばあちゃんなら、プロデューサーは白骨死体だよ」と返した。





[ 2018/01/23 11:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

渋谷凛「今年最後のメリークリスマス」

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1 : ◆TOYOUsnVr. 2017/12/24(日) 02:10:04.21 ID:lFEhVh8y0

背後に気配を感じて、イヤホンを耳から外した。

ソファに体を預け、反り返るようにして後ろを見やる。

そこには、私の座るソファに肘をかけて身を乗り出しているプロデューサーがいて、期せずして私たちは至近距離で見つめ合う形となった。

「気、抜き過ぎじゃないの」

彼は呆れたように笑って、そう言う。

返事の代わりにソファの右側に詰めて座り直して、空いた場所を視線で示すと、彼はそこに腰掛けた。





[ 2017/12/24 06:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)
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