ヘッドライン

渋谷凛「前職アイドル、そしていま」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533826835/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/08/10(金) 00:00:36.15 ID:OipDTOFK0

周囲を忙しなく動き回る何かの気配で目が覚めた。

のっそりと上体を起こし、まだ重い瞼を瞬かせる。

私の周りをうろちょろとしていた気配の主は十年来の相棒、ハナコだった。

ハナコは私が小学生の頃にこの家にやって来た妹分であり、相棒でもある。

彼女はヨークシャテリアとミニチュアダックスフンドの血を半分ずつ持ち、唯一無二のもふもふ感を誇る。

父による命名であり、曰く、花屋の子だからハナコだとか。

この話を聞いたときは、もしかすると私の名前がハナコになっていたのではないか、と思ったものだ。

そして、ハナコは毎朝こうして私を起こすべく、寝ている私の周囲をうろちょろとする。

時にはお腹の上に乗って来たり、顔を舐めたりするという、そんじょそこらの目覚まし時計にはない機能まである。

人生の半分以上をそうして過ごしたことから、自然と朝には強くなった。

寝坊であるとか、二度寝であるとか、そういった類のものと私が無縁であるのは、ハナコの働きに因るものだ。





渋谷凛「ただいまって感じのする場所」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531747184/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/07/16(月) 22:19:45.05 ID:/aS1s4K/0

撮影を終えて楽屋に戻ると、どっと疲れが押し寄せた。

様々な服をとっかえひっかえして、ポージングをして、と撮影のお仕事は未だに慣れない。

もちろん、撮られる側としての技能自体はそれなりに上がってきているとは思うけれど、やはりこれは性格的な問題なのだろう。

脳が糖分を欲している。

そして飛び込んでくる、目の前の机上に並んでいる色とりどりのお菓子とコーヒーポット。

この誘惑には抗えそうにないが、その気持ちをぐっとこらえ、まずは着替えに専念することにした。





[ 2018/07/16 23:25 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

モバP「おしぶ」渋谷凛「……何」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530810010/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/07/06(金) 02:00:10.75 ID:eFlU1x8P0

P「おしぶ」

凛「……それ、私のこと?」


P「そうだけど」

凛「そうだけど、じゃないでしょ」

P「あっ、不愉快だった?」

凛「不愉快……とはちょっと違うけど、ほら、普段は普通に名前で呼ぶでしょ?」

P「うん」

凛「ほら」





渋谷凛「夏がはじまる」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530383389/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/07/01(日) 03:29:49.71 ID:kdkVKxIA0

太陽が完全に姿を隠して、真っ暗になった浜辺を人工の光が照らす。

その光を頼りに、スタッフの人たちはてきぱきと機材を運んだり、ステージを解体したりしている。

ほんの一時間前に私が歌って踊っていた場所は、鉄の骨組みがあるのみで、もう跡形もなかった。

「終わっちゃった……なぁ」

呟いて、ストローに口を付け、スポーツドリンクを飲む。

この気温では熱くなっちゃったかな、と思ったけれど、ステージ前に飲んだ時と変わらずしっかりと常温で管理されていた。

プロデューサーが日の当たらないところに置いておいてくれたのだろう。

こういうとこ、ほんとにマメだなぁ、などと考えながら、ふたくち目を飲みこんだ。

汗を流して、疲れた体に塩分と糖分が染み渡る。

自然と、ふー、と息が漏れてしまった。

「お疲れさん。風邪ひくぞ」

そんなところに、声と共にばさぁっと雑に頭から大きなタオルケットをかけられた。

こんなことをするのは一人しかいない。

私がタオルケットから顔を出すより先に「ちょっと」と抗議した。





[ 2018/07/01 11:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

モバP「惚気を聞いてくれ」渋谷凛「惚気?」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529497081/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/06/20(水) 21:18:01.53 ID:48x+i87U0

P「そう。惚気」

凛「何? 何の惚気?」


P「いいから、いいから。とりあえず聞いて」

凛「よくわかんないけど……はい」

P「今日のことなんだけどさ、車で移動してたんだよ」

凛「うん」

P「そのときに一緒にいた相手に、お昼摂る時間作ってあげられなかったから移動中に食べて、ってサンドイッチあげたんだけど」

凛「……え」

P「ただのコンビニのサンドイッチなのにさ」

凛「……ちょっと待って」

P「わざわざごめん。ありがとね、って恭しく受け取ったんだよ」

凛「それ、私のことじゃない?」

P「で、律儀……かわいい……ってなったわけ」

凛「……ねぇ、それ私でしょ」

P「律儀かわいい……ってなるだろ、こんなの」

凛「それは、その、良くしてもらったらお礼を言うのは当たり前でしょ?」

P「そういうとこだぞ」

凛「……」

P「仕事のせいでお昼摂る時間なくなってるんだから、俺のせいみたいなもんだろ」

凛「まぁ、そうなのかもしれないけど。でも悪意があるわけではないし……」

P「さらに、それだけじゃなくて」

凛「……うん」

P「おすそわけ、とか言って笑いながらひとくちくれたんだよ」

凛「あー、うん」

P「顔には出さなかったけど、めちゃくちゃテンション上がってたし、なんなら事故りそうだった」

凛「何してるの」





渋谷凛「梅雨のおかげ」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528645534/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/06/11(月) 00:45:35.17 ID:m7wvDgMq0

画面いっぱいに映し出された週間天気予報は、日本のどこの地名を見ても傘のマークだらけだった。

次に地図へと画面が移り変わり、キャスターの人が画面をぽん、と叩く。

『本日午前八時ごろ発生した台風――号は明日には本州に上陸する見込みであり……』

日本の左下当たりを指し示し、そこからの予想される進路を淡々と説明していった。

憂鬱だ。

小さくため息を吐いて、ソファへ深めに座り直した。

全体重をソファへと預けて、仰け反るように後方を見る。

私のプロデューサーは、自分のデスクで忙しそうにキーボードを叩いていた。

今はちょっと構ってもらえそうにないな、とプロデューサーで暇を潰すことを断念した。

座ったままの状態で、手の感触だけを頼りにマガジンラックから雑誌を抜き取る。

ファッション誌だった。

まぁ、なんでもいいかと膝の上で開き、ぱらぱらと眺めることにした。





[ 2018/06/11 11:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

渋谷凛「愛を込めて花束を」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524841203/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/04/28(土) 00:00:09.37 ID:P0hJ5EgM0

昔、父に連れられ花畑に行ったことがある。

思えば、私が両親の仕事を強く誇りに思うようになったのは、あれからだったのだろう。

もちろん、それまでも両親の仕事は子供ながらに素敵なものだと思っていたし、うちの花を手にしたお客さんの笑顔を見るたび両親に憧れや尊敬の念を抱いていた。

けれど、やっぱり。

私が花屋という職業のなんたるかを意識したのも、両親の偉大さを思い知ったのも、たぶん父と花畑に行ったあの日からだ。

そんなことを、胸に抱えた花束を見て、思い出した。





[ 2018/04/28 06:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

渋谷凛「ジャストライト」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523556473/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/04/13(金) 03:07:54.13 ID:NDASyQPp0

静まり返ったレッスンスタジオの廊下に、ぺたぺたという音が響いている。

同じアイドルの子や警備員の人たちは靴だから、来館者用のスリッパの音だとわかった。

そして、利用時間を過ぎたレッスンスタジオ、それも私のルームにやって来るのなんて、たぶん一人だけ。

私のプロデューサーだ。

ぺたぺたはだんだん大きくなり、やがてルームの前で止まる。

間もなく扉が勢いよく開け放たれ、予想どおりプロデューサーが入ってきた。

「お疲れー」

平常運転の意味なく楽し気な声色と表情だ。





[ 2018/04/13 06:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)

モバP「今日は凛に渡すものがあります」渋谷凛「え、何。急に改まって」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520955251/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/03/14(水) 00:34:11.86 ID:bsBodHjT0

凛「それで、何? 渡すものって」


P「ここだと問題があるから、第二会議室まで来て」

凛「……なんか緊張してる?」

P「してる」

凛「まぁいいや。私は第二会議室に行けばいいんだよね」

P「そう」

凛「プロデューサーは?」

P「あとで行く」

凛「ん。じゃあ、あとで」





渋谷凛「ハーゲンダッツさん」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520609463/

1 : ◆TOYOUsnVr. 2018/03/10(土) 00:31:03.38 ID:eLb1veNO0

「りんー」

プロデューサーが自分のデスクから私の方へと声を投げる。

「りーん」

私が事務所のソファで休憩していると、プロデューサーはいつもこうして横着に私を呼びつける。

「りんー?」

はじめのうちは「他の子とか社員の人とかもいるし恥ずかしいからやめて」と抗議したものだったけれど、今となっては半ばお決まりのよ

うになってしまっている。

「りーんー」

四度目のそれを聞いて、さて、と軽く息を吐き腰を上げた。





[ 2018/03/10 11:55 ] モバマスSS | TB(0) | CM(0)
ページランキング