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◆TDuorh6/aM 2016/01/26(火) 00:36:18.95 ID:
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「では、お疲れ様でした」
パタンと事務所の扉を閉め、冷え切ったビルの群れへと足を踏み出す。
冬も盛りの2月上旬、吐く息は煙突から昇る煙の様に視界を白く染めた。
想像以上の寒さに一瞬心が折れかけるが、折れたところで何か救済があるわけでも無いので足を動かす。
道端の電信柱の元には一週間以上前に降った雪の名残がまだ固まっている。
早くこの刺す様な冷たさとお別れする為、少し足を速めて地下鉄の駅へ。
時刻を確認しようとスマホを起動。
液晶に示された数字は21と30。
事務所でプロデューサーと仲良くお喋りをしていたら思ったよりも時間は進んでしまっていた様だ。
時間の進み方は気分で変わるって言うけど、確かに全くその通りね。
楽しい時間は疲れ切った身体と心を1機分回復させてくれた気分…ふふっ。
…そんな下らない事を考え、余計に寒くなってしまい若干後悔。
前はこんなにセンスも笑いの沸点も低くなかった様な気がするのだけど。
歳をとるって嫌ね、瑞樹さんの言っていた事がわかるわ。
若い頃はこんな寒さなんて何て事なかったのに、最近はこれだけ着込んでも尚寒く感じるなんて。
こんな事ならマフラーとニット帽も持って来れば良かった。
ま、ふらーっと手ぶらで事務所へ来てしまった自分が悪い訳だけれども。