http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1466421707/
1 :
◆SIevslU5sU 2016/06/20(月) 20:21:47.87 ID:
Oj+wL9zG0
※モバマスSS
※地の文あり、Pの一人称視点
2 :
◆SIevslU5sU 2016/06/20(月) 20:25:58.11 ID:
Oj+wL9zG0
「うわぁ、降ってるねー」
収録を終え、スタジオを出るか出ないかのところで、隣の少女が呟く。
「ほい、傘。車までちょっと距離があるから」
持っていたビニール傘を渡す。今日は夕方から降ると聞いていたので、事務所から適当に持って来ておいた。
予報は大当たり。数時間前は雨の気配すらなかったというのが嘘のような本降りだ。
「Pサンは?」
「俺は折り畳みがあるよ」
「ふーん……」
それを聞いた少女は、やや不満そうな顔をしていた。
「ねえねえ」
「却下」
えーっ、と不満の声が飛んでくる。
それほど長い付き合いではないが、今考えてることくらいは大体予想がつく。
「どうせ『相合傘しよう』とか言うんだろ」
「相合傘しよっ♪」
「却下」
再び不満の声が飛んできた。
「相合傘の何がそんなに面白いんだ」
「面白いじゃん!肩を寄せ合いながら、雨の中を歩くの」
「そうか?」
「お互いの距離が近くて、なんだか普段と違うフンイキ……いつもなら言えないような、あーんなことも言えちゃうカモ♪」
「お前にも『いつもなら言えない事』なんてあるのか、意外だな」
「Pサンヒドーイ!」
三たび不満の声を上げる、隣の少女ー喜多見柚。絶賛売り出し中の、俺の担当アイドル。
彼女は思いつきで喋ることが多い。言っていいことといけない事はちゃんと弁えているが、それ以外の事はわりと思ったままを話す。
だから、あまり本気で取り合う必要はないのだ。それは彼女も望んでいない。軽く話に乗ってやるくらいで十分だ。