http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495191891/
1 :
◆K5gei8GTyk 2017/05/19(金) 20:04:51.56 ID:
5usAth110
地の文有りモバマスssです。
2 :
◆K5gei8GTyk 2017/05/19(金) 20:06:00.73 ID:
5usAth110
「……ねえ、周子はん」
ソファから気の抜けた声がする。
「んん、なに?」
流し読みしていた小説から目線を外して、声のした方に返事をする。
「お腹、空かへん?」
「あー。そだね」
あいにく手元に時間のわかるものがなかったから、正確な時間まではわからない。
それでもどうやら、とうに昼は過ぎてしまったらしい。胃が力なく訴えかけているのを無視できなくなっていた。
「うち、お腹と背中がひっついてもうて、動かれへん」
顔だけをこちらに向けた彼女が、柔らかく笑う。
「軽くなにか作る?」
「せやねえ」
ずっと、雨が降り続けている。知覚できないほど大きな装置によって、巡り巡った雨が循環しているんじゃないかと思うほどに。
いつかすべてが沈んでしまうんじゃないかと心配になったこともあったけど、一向にその気配はない。
昼と夕方の中間地点で、あたしたちはふたりきりで生きているような気分になる。