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1 :
◆J6sXPQ/xjk 2015/08/10(月) 15:24:58.72 ID:
0slTzf2Do
五十嵐響子(15歳)
4 :
◆J6sXPQ/xjk 2015/08/10(月) 15:30:59.03 ID:
0slTzf2Do
「響子ちゃん」
事務所に着いてドアをがちゃりと開くなり、プロデューサーがあっと声を上げ、嬉しそうに駆け寄ってきました。そうして何やら勿体ぶった態度を見せて、焦らしに焦らしてからまた焦らします。
何でしょう、何かあるのかな。多分あります、プロデューサーはそういう人だから。
八月十日、今日は私の誕生日。特別なようでそうでもない、何でもない日常の内の一日だけど、なんとなくそわそわするような、そんな日です。
身振り手振りを大げさに、だけど言葉遣いは恭しく、どうぞこちらへなんて言ってソファまで誘われる。お姫様みたいに手を引かれ、手が汗ばんでいたらどうしよう、ぺたぺたして嫌じゃないかな、と変なことが気になりました。
「外が暑くて、ちょっと汗かいちゃいました」
「ん? ほんとだ、なんかしっとりしてる」
手をにぎにぎして確かめられてしまいました。恥ずかしいです、言わなければよかった! でも今日は、ちょっと良い雰囲気になれるかも。なんて心情を隠し、漏れ出してしまわないように口元を指先で押さえます。
にこにこするのは良いけれど、にやにやしていたら格好悪い。まるでお祝いしてもらえるのを物凄く期待していたみたいになっちゃう、だめだめ、格好悪い。
まぁ、物凄く期待していましたけれど、はい、まぁ。